見出し画像

大好きだった日経テレ東大学が終了してしまうらしい   

日経新聞が好きだった。小さい頃から我が家では日経一紙しかとっていなかったので、わたしにとって新聞とは日本経済新聞のことだった。毎日朝晩配達されてうっすらインクの匂いが残るざらついた新聞は なんだか大人の世界を感じさせた。インクの匂いも紙の感触も日経独特の活字の形も好きだった。子供には難しくわからない記事ばかりだったが、年齢が上がるにつれて社会面や生活関連の記事を毎日読むようになった。中学生の時 塾の先生に新聞のコラムを要約するという宿題を与えられた。「天声人語の要約」という宿題だったが、わたしは「春秋の要約」を持って行った。まとめたノートを見ながら先生は「ご両親は株式投資に興味があるのかな?」と言って笑っていた。日経一紙しか取っていないうちというのは珍しかったのかもしれない。

大人になっても日経新聞しか取り寄せていない。ようやく 内容がしっかり把握できなくても経済記事の一部が何について言っているかわかる年になった。特に政治関連記事が冷静で信頼できると感じてよく読んでいた。少し前からフィナンシャルタイムスなどから海外の新聞のコラムを日本語訳して載せているのも好きでよく読んでいた。日本での見方と海外での見方が違うのだなとよくわかり、面白いと感じた。

旅行先など自宅以外の場所で時たま見る他紙は、読んでいてなんだか物足りなさを感じた。政治記事でも判断の基準に乏しいふわっとした印象しか持てなかった。
日経信者と言ってもいい筋金入りの読者だったので、経済という判断基準から今の政治を見るとこう見えるという日経の政治面は信頼に足ると大いに思った。

いま そんなわたしが日経新聞の購読をやめようかと真剣に思っている。ここで今まで日経のことを過去形で語っているのもそのためだ。もちろんわたしが購読をやめても日経新聞には何の打撃もなく何ら影響を及ぼさないだろう。だから自分の気持ちをここに書いておきたい。

コロナになってからうちにいる時間が多くなり、たいくつなテレビにもすぐに飽きて 普段まったく見る習慣のないYouTubeをみ始めた。ほどなく日経テレ東大学という番組に行き当たる。もちろん最初は日経の文字に惹かれた、なんといっても幼い頃からの信者なので。それからは毎日必ず日経テレ東大学を見るようになった。まずコンテンツが良い。なんの制約もなく知りたいことを聞いてくれる。わからなかったことがわかりやすく提示される。テレビとはまったく作りの違う自由度と規格の違う深掘り度にワクワクしながら視聴していた。番組のプロデューサー高橋弘樹という人の 事前準備の入念さと人柄の良さ テレビマン的ノリの良さと深掘りと言ってさらに議論を進めようとする熱心さが 人並みはずれて素晴らしい才能と気づくのに時間はかからなかった。高橋プロデューサーのおかげでこのコロナ禍でも目の前を曇らすことなく目を見開いて世の中を見ることができていたと今でもそう思う。

そのプロデューサーが昨年の12月ごろから なんとなく元気がなくなった。Twitterにガラにもなく感傷的なつぶやきを残したりしていてちょっと変だった。もっとドライでノリの良いキャラクターだったのに、働きすぎて鬱状態にでもなったのかと思っていた。

その謎が最近急に解けた。週刊誌に経緯を書かれて、YouTubeでその内容が拡散された。日経本社から見れば亜流中の亜流の日経テレ東大学の再生回数や登録者数がすごいので 日経の中枢が見過ごせなくなったのが一因らしい。受け取る情報はあくまでも人伝てのまた聞きなので、どこまで本当のことかわからない。日経信者なので、こんなに人気コンテンツを潰すような真似を本当に幹部が判断するのかな?という思いもあった。もっと伸ばして収益を重ねる方が、合理的で説得力のある自然な流れのように思えた。社内の記者やテレ東の人気プロデューサーが相次いで退職しているのは、日経の体制と無関係ではないのではないか?という疑問も湧く一方、日経としてはもっと大事に育てたかったのに他からの圧力でそうせざるを得なかったのではないか とあくまでも肩を持つ気持ちもある。

報道されている通り 高橋弘樹プロデューサーは退職するのか、日経テレ東大学は終わってしまうのか、そしてその後どうなるのか。 今後をきちんと見届けて 自分の考えをまとめたい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?