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Day.7 らせんが好きだ

 わたしはらせんが好きだ。ぐるぐる渦巻いているのを見ると楽しくなる。子どものころカタツムリを手のひらにのせて、じっくりと殻の柄や渦巻き具合を眺めていた。サザエの中から出てくる中身も不思議だった。最後の方に詰まっている濃いブルーグレーの内臓が、ものすごくきれいならせんを描いていた。細く小さくなる先の先まで見事に美しいカーブを描いていたのを覚えている。

 らせんとは少し異なるが、ぐるぐる回るものにも興味があった。扇風機の前に座り、あきもせずにずっと見ていた。5枚ある羽が一つに見える理由を知りたかった。ついいろいろと実験したくなったので、箸をワイヤーのすきまから突っ込んで親から怒られた。洗濯機も好きだった。当時は二槽式でフタなんてあってないようなもの。洗い槽の中で勢いよく回る洋服を観察して、そのあとは脱水槽に入れて音を立てて回るのを楽しんだ。

 らせんや回るものにはエネルギーを感じる。同じ場所にとどまりながら、常に移動し続けるのが面白い。点から点への単純な平行移動、垂直移動でもなく、空間の中を駆け巡る自由運動でもない。ある一定の範囲の中で旋回しているのに、決して同じ場所にとどまり続けない。そして、ものが動き続けるだけでなく、旋回のエネルギーで周りにあるものも巻き込んで動き続けるそのパワーに魅力を感じる。

 らせんとぐるぐるが好きだからなのかわからないが、台風が発生するとなぜか高揚する。日本列島をおおってしまうぐらいの大きならせん。穏やかな日には何もない空に、それだけ大きな渦巻きを存在させていることを想像すると、そこに存在する莫大なエネルギーを感じる。そしてさらに、ぐるぐるまわりながら移動する。そこには、どれだけのもの凄いエネルギーが存在するのか。

 台風が接近したときのいつものわたしのパターンだと、完全装備で外に出かけて風のパワーや雨のパワーを肌で感じに行く。夕方になり本格的になってきた。雨音がが激しくなり、風が木を大きくゆらしている。あとどれぐらい続くのかわからないが、今日は静かにお家の中で自然現象を感じて過ごすことにした。

 普段は地球が回っていることもすっかり忘れて生きているけど、今日のように自然現象に出会うと、そのパワーに憧れるとともに畏敬の念を感じる。
 

 今日も読んでいただきありがとうございました。明日につなげようと思います。


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