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「読み手の立場になって文章を書く」とは?


「読み手の視点に立って、もう一度自分の文章を読み返しなさい」

提案書や企画書、報告書の文面について上司から修正指示を受ける際、しばしばこのようなアドバイスを受けています。

「読み手の視点に立って」文章を読みなおす際、具体的には何をすべきなのか。どのような意味があるのかを整理してみました。

① 前提条件や予備知識の理解度を読み手に合わせる

 自分が議論の前提として考えていることも、読み手にとっての前提ではないないことがよくある。簡単な例として、担当者が営業部長に提出する以下の提案の骨子を見てみる。

  課題:0‐40馬力帯製品の市場シェアが、3年連続で40%を切った
  提案:0‐40馬力帯製品での価格競争力を補う値引きプログラムを実施する


まず課題について、
「0‐40馬力で」「市場シェア40%を切る」ことは問題だという前提を、読み手が理解しているか。或いは読み手にとっても前提となっているか。

「0‐40馬力帯製品」という市場の持つ重要性、「市場シェアが40%を切る事のインパクト」を共有できていないとすれば、まずはその点を明記し、前提条件を共有しなければならない。

次に提案には、
 ・シェア低下の原因は価格競争力の低下である
という隠れた前提が存在している。

一般的にシェアが下落している原因としては、「価格競争力」の他に「製品力」、「製品の供給不足」、「販売店舗数・市場カバー率」など、さまざまな原因が考えられる。
事前にシェア下落の原因は価格競争力の低下であることを共有できていない場合、なぜ価格競争力の低下が原因なのかを説明し、前提を共有する必要がある。


上記のプロセスを通じて、自らの文章が持つ隠れた前提を検証できる。同時に、隠れた前提が単なる思い込みであったり、検証が不十分な前提となっていないかをチェックすることができる。
シェア下落の文章は極端な例であるが、問題に対する原因分析が不十分なために、誤った対策を打ってしまうケースはごまんとある。

読み手の立場になって=自分が持っていた前提条件を排して文章を読み返すことで、
「本当にそれが原因なのか?」、「ほかにも原因はないのか?」
「原因に対する打ち手は、本当にそれでよいのか?」「ほかに打ち手はないのか?」
といったポイントを今一度振り返ることができると感じる。

②読み手の関心事や疑問を想像する

①の提案では、書き手と読み手の間に以下の様な関心のずれが考えられる。

・書き手である担当者は、台数とシェアの増加に関心を持っている
・読み手である部長は、利益額と利益率目標の達成に関心を持っている

営業部長に対する社長からの指示事項が「利益目標の達成」ならば、
利益を削ってでも台数を売って、シェアを回復しようという提案に耳を傾ける可能性が極めて低くなる。
従って、読み手が今どのようなことに関心や課題意識を持っているのかを把握し、あるいは想像して文章を読みなおすこと。文章が読み手の関心や問題意識とずれているならば、修正を入れることが重要となる。


※提案をまとめ、伝える際に参考としている書籍

考えをまとめ、伝えるコツを学ぶための教科書として、以前の上司からこの本を紹介されました。非常に参考になっています。
「ロジカル・プレゼンテーション」高田貴久



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