【地主さんと私】㉔新農法爆誕

「やぁやぁこんにちは」

人懐こそうな笑顔でYさん夫婦がやって来た
Yさんはうちの近くに畑を借りてる人で
地主さんを10割わかんねぇと言い放った
「地主さんの愉快なフレンズ」だ

そして地主さんの最新情報を教えにやってきた
こちらは聞きたくもないのに

今日の地主さんは機嫌が悪くて
Yさんに挨拶もしないで畑から消えたそうだ

たぶん、作業に飽きてたんでは？

「あいつさぁ、トラクターで畑の真ん中に行って
何してるんだろうって見たら、ちまちま手で草抜いててな
それをバケットに綺麗に並べていたんだ」

…トラクターという機械を発明した人に
土下座で謝って欲しい使い方だ

「そんで、次に何するんだろうと思ったら」

うん？まだあるの？

「トマトをな」

ああ、もう寒くなるから片付けに？

Yさんはそう思うだろう？とニヤリと笑ってこう続けた

「支柱に縛りだしたんだ」

え、ぇえええええええ
あの世界一野放図なジャンゴーになってるトマトですか？

「そう、あのトマト」

今更？もう霜が降りるって騒いでるのに？
もう10月の半ばですよ？？

「俺もそう言ったんだよ、そしたらあいつな」

【トマトはな！霜に当たると甘味が増してな！】

寒締めトマトとか聞いたことねぇわ！
霜当たったらぶよぶよになるじゃんよ

「で、某焼肉店にサラダ用に売る！って言うから」

どうして何でもかんでも焼肉店に売ると言うのか
たとえ事実として行われてなくても
焼肉店は訴えれるんじゃないのかコレ

私もね　と奥さんが口を開いた

『私ねぇ、それはなんぼなんでもおかしいって言っちゃったのよ』

あー、いーっちゃったいっちゃったー

地主さんは自分の話を否定されるのをものすごく嫌う
正しい正しくないは全く関係なく

なるほど、それで怒ってどこかへ移動してしまったんですね

「とりあえずあいつが農業まったく理解してないのはわかったわ」

大丈夫、どうせ数日経ったら機嫌治りますよ

『治られたらうるさいからそれはそれで迷惑なんだけどね』

奥さん・・・(大汗）

とにかく、地主さんは今日も
新しい農業への試みを模索しているらしい

追記

焼肉屋さん全力で逃げてー！

おしまい