【地主さんと私】㉘ 準備する男
「え、休憩所へ?自宅じゃなくて?」
地主さんに糠をわけてあげる約束をしていたのだが
自宅ではなくて休憩所へ運んでくれという話だった
私は地主さんの巣(畑横の休憩所)に向かった
彼はしばらく来ていないようで畑は薄っすら緑になりつつある
なんで休憩所へ持っていけって言ったのかな・・・?
休憩所は相変わらずごちゃごちゃで
色々アルバイトで貰った資材を運び込んでいるようだ
地主さん曰く、「俺のファームレストラン用の資材を集めてるんだ!」
だそうで(汗
とりあえずこの潰れた喫茶店から運んできた
消費期限のはるかに切れたレトルトは捨てて欲しい
「あれ?こんなのあったっけ?」
旦那が変な白い板を見つけた
「なんだろこれ」
裏をひっくり返して見ると何かマジックで書かれている
「これ、地主さんの字だよね?」
こちらへ向けて見せてくれた
その板には
***************
有機無農薬 蕎麦 大根
地主っさ~んとみなさ~んの
❤チロット ダ〇シュ村❤
直売所は こ ち ら ☛
***************
(原文まま)
ちょwwwww
なに、ダッ〇ュ村ってwww
某TVの番組企画そのままパクッてるじゃないですかww
看板を抱える旦那の手も小刻みに震えている
我慢しきれずに二人で笑いだす
「カッ、、、カメラ、、、もってないのが残念」
「『地主っさ~んとみなさ~ん』って、、、
ちょ、ダメ、、、もう耐えられない」
二人でひとしきり大笑いし そっと看板を元に戻した
ああ、だから、自宅のほうじゃなくて
休憩所のほうに運んでくれって言ってたんだね
これを見せたいがために・・・
日々 新しい発想の世界が広がり
地主さんの俺ランドは
彼だけの希望に満ち溢れている
「ま、しばらく会わないどこうな」
夫婦で意見が瞬時に会うのは久々だった
久々に見た旦那の笑顔は
これ以上がないほど晴れやかだった
おしまい
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?