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今こそ試される日本人の美徳の真価

 新型コロナウイルスの猛威に晒され、人類史上に残るであろう脅威と対峙している全世界。各国が様々な対応を講じているが、総じて、多くの国が、ロックダウンと言われるいわゆる外出禁止令を発令し、”ステイホーム”を強制し、破れば厳格な罰金等の処罰科している。一方、我が国日本は、外出自粛を”要請”するという、はっきり言えば、強制力も何もない、あくまでも市民の裁量に委ねるスタンスを取っている。もし、他の諸国の多くが、日本と同じ対処法を取ったとしたら、恐らく、各国の被害はもっと甚大なものになっていただろう。何故なら、彼らは日本人ほどには、自粛や要請というトーンでは、意に介してくれないからだ。欧米は性悪説、日本は性善説のスタンスがそれぞれベースになっていると良く言われるが、欧米諸国では、人々は利己的に行動してしまい、ルールを守らないのを前提に物事を考え、今回の事態に対しては厳しい措置で臨まないと収拾がつかなくなると分かっていて、上述のような対策を講じているわけだ。

 一方、性善説派の日本では、基本的に人々はルールを守ってくれるという前提で物事を考えている。だから、外出を控えましょう、自粛しましょう、という要請でも、多くの市民がそれを念頭に行動し、実行してくれている。

 だがしかし、東京都を筆頭になかなか感染者の数が減っていかない現実、町のあちこちで三密状態が散見される実態を見る限り、この性善説に基づいた政府の対応は、決して成果を上げているとは言えない。専門家の試算によれば、皆んなが普段の8割の人との接触を減らさなければ、一向に感染の度合いは収まって行かず、今のままの6割程度では、延々とこの事態が続いてしまうという。もしそうなって行けば、益々人々は身も心も疲弊し、経済も取り返しのつかない深刻なダメージを受けて行くだろう。

 今こそ、日本人の美徳である、ONE TEAMの結束で、この苦境を打開する事が求められている。それが出来るのが、日本人の良さであり、強さであり、魅力であるはずだ。

 もし、現在日本以上にコロナの深刻な影響を受けている米国やイタリア、スペイン等が厳格なロックダウンによって日本よりも早く事態を収束させ、日本が未だコロナに苦しむ事態が続いていたとしたら、間違いなく日本のコロナに対する対応は失敗という事になり、既に批判を浴びている日本のやり方は、悪例として歴史に記録される事になるだろう。そしてそれは、日本人の美徳の瓦解を意味し、国を統治する上では、所詮、人間の自律性や自己判断、良心に委ねるやり方では限界があるという事を証明してしまう事になる。そして、日本人の美徳とされていたその要素は、綺麗事を言っていられない窮地にあっては、何の役にも立たなかったと評されてしまう事だろう。そして、将来、再び新たな脅威が訪れた時、日本政府は二度と今回のような惨事に至らない為に、厳しいロックダウンや、中国や韓国が採用したようなIT技術を駆使した行動管理、プライバシーを鑑みないコントロールを行わざるを得ないという事になるかもしれない。

 人権を二の次とする強制的な施策の下でなければコントロールが効かない人種と同化してしまうのか、それとも、一人一人が自分たちでより良い解決策を考え、自発的に行動出来る分別ある人種であり続けられるのか。

 今、日本人の真価が問われている。

 




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