見出し画像

エピソード2 (日進月歩 輝&輝の15年)

名古屋大会


これまでの輝&輝を語る上で、名古屋大会の存在は欠かせません。私たちのデュオ結成の最初の目標になっていたのが、名古屋大会デュオの部出場だったからです。

津軽三味線全国競技会 名古屋大会は2007年に始まり、この大会が他と違うところは2人1組で演奏するデュオの部という部門があるということでした。

私たちは2008年〜2016年の間に大会に出たり出なかったりしながらこのデュオの部に6回出場し、6回優勝をいただきました。

そんなに出なくても…とお思いになるかもしれないのですが、当時の私たちにとってなんだか出場することが使命のような感じで、毎回気持ち的にものすごく追われながらのチャレンジでした。


6回の出場のうち、5回は新曲を作り挑戦していました。


出場曲

2008年 輝&輝
2009年 星合
2010年 睡蓮
2012年 笑いボヤ
2015年 星合
2016年 本調子リミックス


曲を作るということ


初年の「輝&輝」を作った時は、前述した通りお互いの持っているフレーズを繋げたらすぐに曲が完成しました。

それは多分、津軽じょんがら節をベースに作っていたので、ある程度じょんがら節合奏曲の曲構成のイメージが共通していたからだと思います。

一の糸から入って、
二の糸から三の糸に入り、
三の糸の高いツボに移動して盛り上げ、
最後はかき回しでフィニッシュ

大体こんな感じです。

この時、デュオの曲だから生きる何か仕掛けが欲しくて、曲の途中にそれぞれ一小節のソロを入れました。

まだ、そんな形でしか2人で弾いていることの主張をすることができなかったけれど、最初からちゃんとそういう意識があったことに関しては若かりし頃の自分たちを褒めてあげたいです。

しかし、このあと私たちが活動を続けるにあたり、デュオということの意味、輝&輝というデュオで何がしたいのか、なんで白藤ひかりと武田佳泉なの?ということをとてもとても考えなくてはいけなくなります。


2回目の挑戦曲は「星合」でした。
2008年の初出場の時、演奏した後にブワッと心の中に熱くなるものがありました。それは、2人で決めた大会出場という目標を達成できたからなのか、弾いた後の会場の盛り上がりからなのか……

明らかに、何か新しいものを作った!という感覚になれました。

個人の大会出場の曲作りとはまた違う、唯一無二の何か。

色んな方から「また来年も!」という声をいただき、本当は一回だけと思っていましたが、なんだか悪い気もしないし、もう一回やってみようと次の年も出場を決めました。

さて簡単に決めたのは良いのですが、いざ曲を作ろうと思うと、「前年より良い曲を作らなきゃ、いや、作りたい!」と勝手にプレッシャーに駆られてなかなかに苦戦していました。まだ、この時の私たちは作曲の術をわかってなかったので、大会で勝負できる合奏曲はじょんがら節ベースと決めていました。

そうすると、盛り上げ方や構成が初年度の「輝&輝」に似てしまうのでどうしたら良いか、同じじょんがら節ベースで新しい曲の特徴をどうやったら出せる?というようなことを考えに考えて、ようやく大会ギリギリに完成したのが「星合」でした。

この時にとても嬉しかったのが、「また来年も!」といって下さった方が優勝を一緒に喜んでくれたこと。そして、曲を気に入ってくれたこと。

作るのにとても苦労しましたが、チャレンジして良かったと、ここから大会用のデュオ曲を作る沼にハマっていきました。


本調子リミックスという曲


その後も大会に出場できる年にはデュオの部に出場し、じょんがら節以外のアレンジ曲も作ることに成功しました。

三連覇目の津軽あいや節ベースの笑いボヤ。
その次の津軽三下りベースの睡蓮。


聴いてくれる方の「今年はどんな曲で来るのかな?」という期待に応えたいと思う一方で、この頃になると津軽三味線のプロ奏者がこのデュオの部に続々と参戦してきていたので、ハードルがさらに上がりより良い曲を作らなくてはという焦りもありました。この頃のデュオの部は演奏技術と作曲センスの両方を磨いていかないと上位にはいけなくなっていました。

笑いボヤも、睡蓮もじょんがら節以外の曲をベースに作ったという点では面白い試みだったのですが、いかんせん大会で新曲初披露となるととても緊張。。

思うように弾けないところ、2人の呼吸が合わないところがあり、優勝をもらっても悔しさが残りました。

そんな中、私たちはやってしまう。
この悔しさをバネに変えられず、次の年の2015年にもう優勝をもらったことのある「星合」で出場してしまいました。

「弾き慣れている曲で上手に弾きたいから」という理由だったのですが、もう曲ができているという安心感から完全に練習も怠けていましたし、大会に対する熱意が他の年に比べるとすごく薄かった記憶があります。
そんな状態で演奏したものだから、優勝したものの自分たちの中で燃焼しきれず、周りからの反応もあまり良いものではありませんでした。

この年が過去5回の中で1番悔しかったかもしれません。

ものすごく後悔したので、もう一度デュオの部に2人で真剣に向かい合い、大会が終わった直後から翌年の作曲をスタートさせました。



私たちが話し合ったこと
①大会向きのデュオの曲とは?
②今まで誰もやってないことをやる
③わかりやすく聴きやすい曲にまとめる


計画
①→きちんと津軽三味線の奏法が入っていること。ちょっとマニアックで玄人ウケする仕掛けを作る。
②→民謡メドレーなんだけど、ただ繋げるだけの曲にしない。気づいたら変わってたくらいスムーズな流れの曲を作る。そのためにはどうするか考える。
③→大会初披露ではなく、人前でたくさん弾いて盛り上げたいところがちゃんとお客さんに伝わるか事前に検証する。


実行
①→音源をたくさん聴いて、古典らしさが出せるように工夫。撥付や間、リズムを意識。
②繋ぎはDJの曲切り替えのようにスムーズに。曲調が変わるところが1番自然になるフレーズやリズムを試していく。基本の調弦は本調子と決めたので、ニ上りの曲で入れたい曲は本調子で弾けるか検討してみる。テクニックを見せられる難しいフレーズを自然な流れで投入。
③一年前から取り掛かったので、ライブやコンサート、色々な会場でお客さんのウケを確認。母たちに聞くなどして、わかりにくいと言われたポイントをよりシンプルに修正。盛り上がったところはより熱が入るように演奏する。


一年かけて準備したら、本来私たちがやりたかったこはこれだ、と思える曲が完成しました。

これまで、大会だからという理由で津軽民謡を合奏曲にアレンジしてきたけれど、私たちは津軽三味線を津軽三味線らしく弾くことが好きなんだ、ということにやっと気づきました。

民謡をオリジナル曲に昇華させても、ちゃんと津軽三味線の音を出したいし、撥付などの奏法を守った上で新しい何かを生み出したかったんだと。

2016年、曲作りとしても演奏としてもベストを尽くして結果を残すことができたので、私たちは燃え尽きたようにデュオの部を卒業しました。

宣伝させてください!

只今【ちょー必死コンサート宣伝月間】なので、コンサートお知らせをさせてください!ぜひ足を運んでいただけたら非常に嬉しいです!!!

よろしくお願いします(土下座)

津軽三味線 輝&輝 15周年コンサート 「日進月歩」  東京公演 太陽編  


  日時:2023年7月23日(日) 13:15開場/14:00開演

  場所:紀尾井ホール小ホール 

  チケット:一般5000円 学生(小〜大学生)3000円 *未就学児無料


  出演:輝&輝(津軽三味線)

     福士豊桜(民謡)

     瀧北榮山(尺八)

     佐々木忍弥(津軽三味線)


  ■イープラス購入ページURL

  https://eplus.jp/sf/detail/3840860001-P003000


====================

津軽三味線 輝&輝 15周年コンサート 「日進月歩」  名古屋公演 

日時:2023年8月27日(日) 15:00開場/15:30開演 

  場所:のぶながホール 

  チケット:一般4000円 学生2000円 *未就学児無料


  出演:輝&輝(津軽三味線)

     正調津軽三味線(津軽三味線)

     福士豊桜(民謡)

     伊藤辰哉(キーボード)

     鈴木良教(パーカッション)

■イープラス購入ページURL

  https://eplus.jp/sf/detail/3848820001-P0030001