若いとき思ったより輝いていた

憧れの先輩がいた。

髪もお肌もピカピカ、キレイ目系の服もカジュアル服も品よく着こなして、ブランド物も百均の物も大切に扱い、忙しくても丁寧に対応する、外見も内面もお手本にしたいザ・美女。

その先輩と洋服の話になって、「ここのサイトのワンピースかわいいよ」って教えてもらったサイトがある。私にとっては、宝物の場所を教えてもらったようなもの。しばらくはそのサイトに夢中になった。


ワンピース専門のネットショップで、理想の女性になれそうなものばかりで、見ているだけでワクワクした。しかも、デザインが素晴らしいのに値段が安くて、私と憧れの女性との距離をグッと縮めてくれた。

私の洋服は、あっという間にそのネットショップの服でいっぱいになり、お気に入りのワンピースを着て過ごす日々が続いた。


そのワンピースは、どこに行っても恥ずかしくないデザインで、その頃ハマっていた、都内のホテルのアフタヌーンティーや、背の高いビルの夜景のキレイなレストラン、合コンなんかにも着て行った。

友だちから「そのワンピースどこの?」って聞かれることもしばしば。毎回「めっちゃキレイな先輩に教えてもらったんだ」って自慢を交えてネットショップを広めていた。


そんな時期も終わりを迎える出来事が起こる。

それは、アラサー(28~29歳くらいだったかな)になった頃。ぶくぶくと太りだした。そのときといえば、憧れの先輩はすでに退職し、会社の方針が大きく変わって、新しいことを覚えなくてはいけなかった。

別の先輩と新体制を巡って毎日愚痴大会を繰り広げていた。ランチと仕事終わりの食事の時間を使って。文句を言いながらの食事は、エネルギーが莫大で、量が多くても食べ尽くしてしまう。


もっていたワンピースがきつくなって、新しいものを買おうとネットショップをのぞくと、私を包み込んでくれるサイズはない。会社も私も、大きく変わってしまった・・・

つい先日、そのネットショップを思い出してアクセスしてみた。
最近、3か月かけて10キロ痩せられた私は、もしかして・・・って淡い期待を胸に秘めて。

すると、想像をはるかに超えることが起こっていた。


なんと、並んでいるワンピースが若い!もう40を超えている私は着られない。もし着たら、絶対に浮く。変な目で見られるの確定。むしろ恥ずかしくて電車に乗れない。

それにしてもステキなワンピースばっかりだった。ホテルのアフタヌーンティーに着て行けるし、カフェ巡りしていっぱい写真撮りたいし、あまり行かないけど美術館に行きたくなる。

そんなワンピースで溢れていた。不思議だけど、「若かったら着れたのにな」って戻らない若さをうらやむ気持ちにはならなかった。


むしろ、ここにあるような華やかで愛らしいワンピースを着て、思い出しても微笑んでしまうくらい楽しい時間を過ごした、若かったときの私を愛おしく思えた。

はー、楽しかったな。

そのときは、その時間を楽しむことに夢中だった。だけど、憧れが形になったようなワンピースを着て、充実してたなって。

若いとき、もっとこうしておけばって悔やまれることもあるけど、過ごして気が時間は間違いなく満足だ!

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