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※過去記事 高熱が急に...風邪?デング熱?家にある解熱薬は飲まないで!

※この記事は、日本科学未来館で科学コミュニケーターとして活動しているときに執筆したブログ記事です。【2014年9月22日に投稿】を編集・追記。当時の活動を振り返る”編集後記”を載せて再掲載しています。

2014年8月27日にデング熱の感染が報告されてから約2週間、急速に患者数が増加しています。

" もし自分が、家族がデング熱にかかったかな?と思ったときの対処方法について " お伝えします。

中でも、一番伝えたいこと。それは...

デング熱にかかったときは、"アセチルサリチル酸(アスピリン)、イブプロフェン、ロキソプロフェン(ロキソニン)"が入った薬は飲まないでください。そのお薬、みなさんのご自宅にある可能性があります! 

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これらの成分は解熱鎮痛薬や風邪薬によく含まれている成分です。
成分名が商品名にもなっているアスピリンはもちろんのこと、バファリンシリーズのほとんどやエキセドリンなど、おなじみの解熱鎮痛薬にもアセチルサリチル酸は含まれています。ロキソニンやイブプロフェンもごく一般的な痛み止めです。
なぜ、デング熱にかかっている人が飲んではいけないのでしょうか。まずは、デング熱にかかった場合に、どんな症状が出るかについてお話します。

■ 症状
 【蚊にさされてから発症するまで 2~15日(多くは3~7日)】

  急な発熱(38 ~40℃)、頭痛、関節痛、筋肉痛、目の奥の痛み、倦怠感

 【さらに3~4日】

  はしかのような発疹

 【さらに1週間程度で症状が消失】

  後遺症なく回復する

しかし、まれに患者の一部に出血症状を発症することがあり、体の細かい点状出血、鼻出血、歯肉からの出血、生理出血の過多が現れることも。また多くの場合、胸やお腹に水が溜まります。このとき適切な治療が行われないと死に至ります。致死率はその国の医療レベルにもよりますが、1~数%とされています。


初期の症状だけを見ると、風邪かな?疲れが出たかな?と思ってしまいそうですね。

そして、デング熱にかかると、まれに出血傾向になる人がいます。実は、この部分がアセチルサリチル酸の入った解熱薬を避けるべき理由とかかわってきます。

どうしてこのような症状が出るのか、少し詳しく見ていきます。

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正常な細胞では物質Pが合成され、生体内の様々な反応を調整しています。その働きの中には、血液中の血小板を凝集させ、ケガをしたときなどに血液を固まりやすくする作用があります。

一方、デングウィルスに感染すると、まれに血小板数が減少して、出血しやすい状態になります。

この状態で、アセチルサリチル酸を服用するとどうなるのでしょうか(下図)。

アセチルサリチル酸は高熱や痛みを緩和する作用がありますが、同時に物質Pの合成を妨げるため、血小板の量が減少します。

つまり、ただでさえ出血しやすい状態にある患者の出血傾向をさらに強めてしまう可能性があるのです。

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では、アセチルサリチル酸でなければ飲んでもいいのでしょうか?

実は、市販の解熱薬や風邪薬に含まれる成分の中には、アセチルサリチル酸ほど強くはないですが、血液を固まりにくくする作用があります。イブプロフェンやロキソニンにも、胃炎や出血をひどくする懸念があります。

そのため、市販の解熱薬や風邪薬は安易に服用しないのが無難です。
実際、病院でデング熱だと診断された場合、アセトアミノフェンが成分の解熱薬が処方されます。ドラッグストアでも販売されています。お店にいる薬剤師に相談してみましょう。

ちなみに、体内のデングウィルスを排除する特効薬はありません。あくまでも出てきた症状を緩和するための治療(対症療法)が基本です。

熱かな?風邪かな?と思ったら、アセチルサリチル酸などの入った解熱薬は飲まずに、しっかり水分補給をして、早めに内科を受診しましょう。すぐに病院に行けない場合は、アセトアミノフェンが成分の解熱薬をおすすめします。


【参考文献】

デング熱に関するQ&A(厚生労働省HP)

感染症の話 デング熱(国立感染症研究所 感染症情報センター)

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