アートもマーケティングが必要

日本の洋画家である、中村健太さんの「完売画家」という本を書店で見て、何気なく読み始めたらとても面白かったので、簡単にその感想を書きたいと思います。

先ず、この中村さん、「完売画家」という本を出版するくらいですから、絵を売って生計を立てています。

アートって儲からないよねとか、買う側からしてもへのアートは難しくて評価が出来ないとか、アート作品をどこで買ったら良いのか分からないとか、そういったイメージや声ってありますよね。

この中村さんは、アートの世界のそういった点に疑問を持って、では、どうやったらアートで儲けることができるのか。
その点を必死で考えて、実際にアートを完売するプロセスや「完売画家」に至った経緯をこの本のなかで語っています。

ただ、アートで儲けよう、アートはお金儲けだというような思想や考え方ではなくて、アートも儲けられるような仕組みを構築しないと、アート文化は廃れていくし、才能溢れる優秀な若者も芸術業界を目指さなくなる。
そのような憂いを払拭すると言う意味も込めて、「アートを売る」というところに拘って、この世界で活躍されているそうです。

なので、実際に芸術の世界で生きている人やこれからそんな世界の入口に立とうとしている若者や学生さんなんかは必読の書だと思います。

では、売るために大事なことはなにか

詳しくわ書籍を読んでもらいたいのですが、まずは、当然ですが、作品のクオリティーです。

デッサンを何度も何度も繰り返せって言ってます。あと、普通は3つくらいの色の絵の具をパレットに乗せて、それを使って絵を描くそうですが、中村さんは、5つくらい使ってたそうです。
初めから、そういう使い方をすれば、必然的に他の人とは違った表現ができたり、作品も味わい深いものが可能だと、初めてからそういった戦略を考えていたそうです。こういうところ、マーケティング戦略ですよね。

あとは、女性をモデルにした写実画家に拘ったそうです。
これは、日本のマーケットに対象が絞られてしまうリスクもあるし、こういった作品は好き嫌いがハッキリするから大衆には受け入れられない。一方で、気に入ってくれたらお金を出してでも所有してくれるひとがいる。
そのような業界構造やトレンドなんかもしっかりと読んでらっしゃいます。

あとは、アートって、突き詰めたら「かわいい」ものが大事なんだそうです。

草間彌生さんの作品も奈良美智さんの作品も「かわいい」が作品に含まれていますよね。村上隆さんの作品だって、そうです。

こういった実利的な話はもちろんのこと、アート業界を取り巻く専門的な話なんかも簡潔に、分かりやすく書かれていますので、アートに興味がない方にとってもおすすめです。

また、マーケティングやビジネスに関わる方に関しても、なるほどねと思える内容が詰まってますので、そういった方にも一読をおすすめします。

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