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【本との出会い31】雑誌「世界」1月号~ケア:人を支え社会を変える


1.ケア・ジェンダー 民主主義

コロナ禍のこの2年間、世界はケアの不足を思い知らされることになりました。
まず、その前に、ケアの位置づけ、定義についての疑問点を筆者は展開していきます。
そのひとつが、「なぜケア従事者は女性が多いのか」そして、「歴史的な家庭や社会での女性の位置づけ」でした。

介護、保育に従事する女性の賃金が低いのは、家庭内でのケアの役割が歴史的に女性が担ってきたことを今もひきずっている、関連しているからだという指摘には、自分の周囲を見てもうなずけます。

女性にとっては、有償労働と家庭内でのケア(子育てなど)は、切り離せない営みであるということです。
それだけ、ケアを前提とした限定的な選択を女性は強いられてきている、今も強いられていることが、このパンデミックでの多くの失業者が女性で占めることにつながっているロジックは正しいでしょう。

興味深い、背景分析ですが「ケアの受けてがその対価を払う実際の購入者ではない」ことが、仕事としての成果物を感じるしづらいというものです。

そして、こう結びます。「ケアする人とされる人だけでなく、第三者のケアがなければ成り立たない」と。

女性を家庭に入れ社会から断絶することで、ケア不足を招いているのだという指摘には、強烈なインパクトがあります。

2.「失敗という選択肢はない」地球で起きていること。

地球温暖化についての連載記事。人工衛星から見た地球について、事例をもとに危機を警告しています。

①グリーンランド~セイウチが遠距離通勤のサラリーマン~

10年間で、3.5兆t。日本が10メートル浸水する水量の氷が解けたなんて恐怖です。

結果、陸で生活するしかなくなったセイウチは、200キロも歩いて海に行かないと餌を捕獲できないでいるとのことです。

②カナダ ~ 空に川がある ~

アマゾン川より水量の多い大気の川が、カナダにかかって、大雨災害を引き起こしています。
このままだと、農作物の産地としての影響も甚大で、世界的な食糧危機も危惧されるようです。

3.メディアの批評

小記事の部類になるのでしょうけど、今月号の記事の中で「政治とメディア」についての識者座談会など、興味深いというか、私ら市民もこういう視点を持ち、メディアに流されないようにしないと、という気づきになりましたので紹介します。

①自民党総裁選と総選挙、そして五輪

総裁交代は、安部、菅政権の9年間の総括であるべきものが、結局は「解散総選挙」の自民党のプロパガンダに乗せられたような報道をしたメディアの責任は大きいという指摘。

そして、そういえば、最近大阪の吉村知事の露出が多いと感じてはいたものの、維新の躍進にそれが無関係とは言えないですね。

我々、市民、メディア露出に、選挙の票が動かされているという認識を持って、自分の政治観を構築していく必要があるな、と感じた次第です。

そして五輪。
あれだけ開催反対の動きがありながらも、メディアはその露出は意識的に少なく、やはり推進に動きました。

スポーツとメディアは表裏一体なので、やむを得ないという見方がある一方、マスコミ各社が五輪のスポンサーに名を連ねている実態は、確かに重大な問題でしょう。

この政権の9年間に、特に、政治からのメディア介入は著しかったし、それにメディアが団結して立ち向かう動きもなかった。

新聞、テレビのニュースで時事を知るとはどれほど危ういことか。

②眞子様のご結婚について

これも、この記事読むまで気にしていませんでした。一般市民の私は。

眞子様は、ご結婚されたら「眞子さん」になるということを。

日本の家制度が崩壊した現代でも、このような配慮というか、ならわし、のようなものが成り立つわけですね。
もちろん、皇室ですから、憲法にならうとこうなるのでしょう。

眞子様、のお言葉。

今、心を守りながら生きることに困難を感じ傷ついている方が、たくさんいらっしゃると思います。周囲の人のあたたかい助けや支えによって、より多くの人が心を大切に守りながら生きていける社会になることを、心から願っております。
会見より

日本的なるものへの、さよならの言葉だと。

こうしたことが、新聞を読むということだけでは、逆に気づけないように今のメディアは整えている。
読者が、「これでいいのか」という気づきを持たないように、持ちにくいようにプロの文書と構成、動画、画像で整えている、と思います。

そうであるならば、なるべく、有識者が意見する「世界」のようなメディアをテキストとして片腕に持ちながら、洪水のような情報の流れに対峙しないといけないと思いました。

皮肉にも、この「世界」のテーマが「ケア」。
眞子様のお言葉からの願いに、それが込められているように思えてなりません。

4.赤木ファイルを読む

そして、このnoteを書いている途中で、突然のニュース。


雑誌「世界」で今月号から2回にわたって連載される「赤木ファイルを読む」(上)~良心の叫びと「悪」の構造~

TBS「報道特集」キャスターの金平茂紀氏のレポートです。

このレポートの取材、執筆中は、まさかこのおとといの裁判結審を予想してはいないでしょう。
既に(下)は書き上げたのでしょうか。
今頃、大幅に執筆なおしていることでしょうね。

ここについては、別でnoteを書いてみようと思います。
政治のことを書くのは好きではありませんが。



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