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ダチョウはアホだが役にたつ~塚本康浩~(幻冬舎)

塚本さんは、京都府立大学の学長さんなのですが、経歴が非常に面白い方で、小学生の時は、鳥の世話をするために引き籠って不登校となり、高校卒業後は、大手エアコン会社に就職し、工場で室外機の組み立てをしていたものの、やはり大学に行きたくなったとのことで予備校に入り、一度社会に出てから獣医大学に入り、そのまま研究の道に進んだという異色の経歴の方です。

また在学中に起業してビジネスもやっていたりと、なかなかこんな学者さんはいません。文部科学省の指導要領に沿った画一的な教育しかしない義務教育を受けていなかったのが良かったのかもしれませんね。

あとがきで、塚本先生は、学生や若い研究者に望んでいることとして、学問とビジネスをどう両立させるかという感覚を磨いて欲しいと書いています。以前は、学者の世界はお金に執着せず研究に邁進すべき、という空気がありましたが、今はもうそんな時代ではないとのこと。このままでは年々研究費が減っていますし、自分で研究費を得る能力がないといい研究が継続出来ず、グローバルで勝っていくことは出来ないと危惧しています。なかなかこんな感覚を持っている学者さんはいないですよね。

また最後の次のようにも書いています。

”子ども時代は不登校でまわりからアホやと思われた僕でも、大好きな鳥にかかわりたいと思って生きてきた結果、感染症から人を守るという形で人の役に立てるようになりました。ダチョウはアホやけど、その驚異的な生命力で人間の命を守ってくれ、ごっつ役に立ってくれています。もしかしたらちょっとアホなくらいのほうが、けっこう世のため人のため、役に立つのかもしれませんね。”

高学歴の政治家達がコロナ禍で、バカの一つ覚えのように何度も緊急事態宣言を出し続け、一向に効果が見えないのにまた緊急事態宣言を出すという繰り返しで国民が疲弊した現在の状況を考えると、本当に塚本先生の仰る通りだと思います。

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