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人が怖くて、苦手になってたけど、やっとスタート地点に立てた【金曜の夜エッセイ】

ぽつり、ぽつりと人が集まってきた。


ひとりひとりが懐かしくて、温かい。


懐かしい、と感じてしまうまで、加工所竣工までのいろんな書類仕事や段取りに追われていて、ゆっくりと一人一人の顔を見れてなかったのかもしれない。

先日、完成した加工所の見学会を、今までお世話になった方向けに限定的に招待制で開催した。

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空き家を改修した、小さな加工所だけれど思いがたくさん詰まった場所。
投資額は約3,000万円…!恐ろしい…


この日、しばらく雨曇り予報が続いていたけれど、直前になって晴れた。

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朝、山の裾野の街から、霧がゆったりと立ち上っていた。
暴風雨あれる心に、少しだけ空白の時間が流れた。
忙しかった。でも明日からも、忙しい。
そんな言葉を使いたくないけれど、頭の中にいろんな項目が流れて処理して、赤ちゃん抱えて、ちょっといっぱいいっぱいな感じ…

ずっと曇天広がり、不安がドロドロ滞在する心も、
青空がふうと流してくれるようだった。


秋晴れの下、やさしい気持ちが広がってきた。
大切にしたい人たちが、ぽつり、ぽつりと加工所に集まってきた。


移住した時からお世話になっていた農業の先生たち、
干し芋を始めたときから、さつまいもを作り続けてくれた地域のかた、
事業を応援してくださる販売先のかた、取引先のかた……


もうすでに、みんなの顔が並んでいるのを見た時点で胸がいっぱいで泣くのをこらえるのに必死だった…。。


3年前に加工所建設に失敗したときは、辛い出来事が多すぎて
もう誰も信じたくなくて、誰も好きになりたくなくて、「生まれ育ったわけでもないこの街で、この地域のために地域の人のためにだなんて言いながら、私なんでこんな辛い思いをしてまで頑張るんだろう……」と正気に戻り、正直早くこの街から出て、誰かのためにじゃなくて自分のために違う人生を生きたいと思っていた。

でも実際そんな勇気は出なかったし、この場所から身動きが取れなかった。
まだ独身で自由で、身軽にどこにでも行けて、いろんな未来の可能性があったあの頃に戻りたいと思った。


でも、3年経っていま、私はここにいる。
振り返れば、苦しいときにもらってきた言葉ひとつひとつが宝物になっていった。
それが小さな点となっていって、その点を辿っていったら、この場所でこれからも大切にしたい人たちが増えていった。


今までのメンバーもそう、
生産者さんもそう、
農業の先生たちもそう、
チームとなって干し芋を応援してくれてる販売先の方々もそう。


大切なものが増えてしまった。
大切なものや、大切な時間を、もうこれ以上、壊したくない。


だから怖い。
関係性ほど維持するものが難しいものはないから。


先日研修で「人生を幸せにするものは何か?」というTEDの動画を見た。

724名の男性に75年にわたる追跡調査を行った結果、もっとも人生を幸せに過ごしてきた人たちの特徴は、人間関係に頼って生きてきた人たちだったと分かった。


人生を豊かにするものと一見思われるお金や仕事の充実や実績は、手っ取り早く手に入れられるけれど、人間関係の維持はとても難しい。だからそこに力を注がない人は多いとのこと。


一人で引きこもってモクモク作業することが好きで、しかも加工所が失敗してから人が怖い、人が苦手、誰も信用できない…と思うようになってしまった私にとっては、衝撃的で自分自身が不安になる研究結果だった。人間関係と聞くだけで、拒否反応が出た。


どうしよう。


でも逆にこうも思えた。


そうだよね、努力なくして繋がり続けられるなんてことはないんだ。
それが軽々できる人もいるけれど、私は他の人よりちょっと頑張らなければならないだけ。努力するんだ。叶えたい未来に向かって、成長し続けるんだ。


まずはこの小さな場所から、大きな夢を描いてくんだ。

そっか、そっか……。


たくさんのありがとうで満たされた1日。
たくさんのやさしさで満たされた1日。


この加工所は、たくさんの大切にしたい人たちとのたくさんの出会いや繋がりで完成することができた。点はちゃんと、繋がっている。


ここからがスタート地点。工場も、私自身も、ここからがはじまりだ。

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オンラインストアは12月オープン!お楽しみに✨

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