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最後の悪あがき

家に着いてエンジンを停めた途端、気絶するように眠った。気付いたら三時間くらい経っていた。慌てて印鑑と受給者証を持って市役所に向かう。

今まで低所得で障害児サービスも無料で使えていたが、8月からは有料に変わる。頑張って働いてきた証でもある。
正社員で働いている、養育費も支払われてる、児童手当ももらっている。
申し分はない。無一文になった4年前に比べたら、子どもと何不自由なく暮らせるようになった。

なのに、なんですべて壊そうとしてるの?

夜勤中、泣き疲れて椅子で眠っていると、誰かがバスタオルを身体にかけてくれる。そしてまた起きて泣いて、そのバスタオルで安心して涙を拭く。

〝苦しみを楽しめ〟
〝生きることは人を愛すること〟

SNSを開くと人生の教訓が乱立している。誰かが言った教訓はその誰かが人生から得た教訓であり、同じ人ならばその教訓が役に立つこともあると思う。今の自分は誰かの言葉ではなく自分で答えを見つけなければならない。

想像だけは自由だ。よくドラマや映画などで結婚式当日に花嫁が他の男に奪われるシーンがあるじゃないか。何通りも何通りも、今ある選択肢以外を想像する。結婚式当日まで奪うことを悩んでいいか?

彼が言った「ぶっ壊してよ」って何?
真面目に子どもたちのために十数年生きてきたわたしが、自由に倫理を蹴飛ばしてやってしまっていいの?わたしはもうズタズタに壊されて何も残っていない。

「言うだけはタダだから言いたいこと言っていい?
わたしと結婚しよう?
一緒に暮らそう。
子どもは1人作ろう?
子どもたちはわたしが説得する!」

神様は、わたしたちが命を失くすその時まで、いくらか自由に生きていいという心を下さった。

心だけ、あなたが自由に操ればいい。

誰もが幸せな結末を迎える物語はあるのかな。


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