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オーナーくんの話(ケニア日記①)

人間は、自分以外の人間に対して、
その外側しか見ることができない。

でも、どんな人間であっても、
その人の中には自分が主人公の人生がある。




今のハウスのオーナーくん。
私と同い年でこの間大学を卒業したばかりだ。

田舎の出身で、家庭は貧しかったという。
17歳だった頃、家族のために自分が働かないといけなくなって。
でも働くには、国民のIDが必要。IDは18歳から取得できる。
当時、彼は年齢を偽ってIDをゲットし、働いていたらしい。
だから、本当の年齢は私と同い年なはずなのに、ケニアの戸籍上は一個上らしい。笑
(自分の名前も変えたらしいw)


大学に入学してから、自分で家賃や生活費を払わないといけなかった。
日本みたいにアルバイトや仕事の仕組みが整っているわけではなかったから、

農家の人に「手伝えることありませんかー?」って声をかけて農作業の仕事をしたり、
小魚を仕入れて各家庭に売り歩いたり、
いろんな仕事をしてなんとかサバイブしてきたらしい。

ある仕事は、オーナーが約束していた報酬を3ヵ月分も払ってくれずに辞めたこともあったという。
早朝から昼まで5時間働いて、報酬は40円とかもあったらしい。
(参考に、たしか家賃は月2-3千円って言ってたかな。ケニアの中でもこれは安すぎ。)

それでも、考える暇もなく、働いて何とかしてお金を稼ぐしかなかった。



彼の家には、大学の卒業式のガウンを着た彼の写真が飾ってある。

「これを見たら、たくさんのハードなことを乗り越えてきた自分を思い出す。そして、いつも自分をモチベートさせてくれるんだ。」



ああ、
人間を見ても、
私は人間の外側しか見ることができない。
きっと他の人間がみても、そうだ。

彼は、外から見たらごく普通の、都会に住む青年。

でも、
その笑顔の裏側には、
努力と忍耐力と数々の苦労があって今があるんだということを知った。


そしてそれは、彼だけの話ではなくて、
この世界のどんな人間にも当てはまりうるのだということも。

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