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【NZワーホリ恋愛体験談】①足りないワタシ

1年間のオーストラリアでのワーホリを終え帰国した私。
何でもない普通の日本食の美味しさに改めて感動し、久々に合う家族や友人達にどれほどオーストラリア生活がクレイジーだったかを熱をもって語る毎日を送っていた。
出会いと別れの連続だったあの日々が遠い昔のようだった。

まだまだ足りない。

すぐに私は、あの刺激的な日々に戻りたくなっていた。

それなりに海外旅行は経験していたし、オーストラリアでがっつり1年間滞在した。
これで満足するかと思っていたけれど、私はもっと世界を見たくなっていた。

もう30なのに。

世間ではもう脂がのっていい年だ。
友人たちはバリバリとその努力でキャリアを積み上げていたり、結婚してすっかりお母さんの顔になっていたりする。
友人たちがキラキラして見えた。


幼い頃の私は早く大人になりたかった。
大人になりお金を稼いで、図鑑で見た珍しい動植物や、テレビで見た遺跡を間近で見るのだと夢見ていた。

お金を稼いで、英語も修得して、あちこち行く前にいろいろ経験を積んで…
そう思っていたらあっという間にアラサーとなっていた私は、このままではいかんと慌ててオーストラリアへ飛んだ。
それがこの1年前のこと。

頭の中は幼いままで夢の世界を生きていた。
その夢を確かに少しずつ叶えていたというのに。

私は焦っていた。

大人になりきれなかった私はずっと一つのところに居て、友人たちは遥か遠くを行ってしまったような感覚に襲われていた。
それが急に恐ろしくなった。


いつか満足することはあるんだろうか。

この渇望感がどこまでも終りがないような気がして不安になり、世界中を旅して周ったという人に尋ねてみたことがある。

「ある日急に、仕事を休んでまでどこかに行きたいと思わなくなったんだよね。
今は何より家族が大事。」

この彼女の言葉は私の希望となった。

いつかこの乾きは終るかもしれない。
それなら満たされるまで旅をしよう。

そうして帰国して2か月も経たない内に、私はニュージーランドへワーホリで旅立った。

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