フツーの会社員が転職エージェントと面談してみた話

自動車部品メーカーの原価企画部門で働き、現在第二子育休中の私。思うところがあり転職エージェントと面談をしてみたところ、思いかけず大切な人生観を教えてもらった。

転職を考えた理由

同じ会社の設計部門で働く主人と仕事の話をしていた時、ふと「定年退職が65歳として、会社員人生意外と残り少ないな」と思ったのだ。

今の会社での成長に限界を感じていた私。さらに電気自動車化やシェアリング化により縮小傾向にある自動車部品業界に身を置く私としては、今後のキャリアプランの一つとして転職も考えておこうとなんとなく思った。

転職エージェントとの面談は、ビジネスパーソンとしての健康診断のようなもの。定期的に自分の市場価値を把握しておくべき。という話を聞いた事がある。転職エージェントのサイトには、今すぐ転職を考えていない人でも面談できると必ず書いてある。

今回2つの転職エージェントに登録し、面談をした。

そのうちJACリクルートメントの面談が印象的だったので、その事について書いてみたいと思う。

意外すぎる最初の質問

面談担当者は私と同年代と思われる男性。

面談が始まって最初の質問は、「なぜ転職を考えたのですが?」ではなかった。

「大学の時に夢中になった事と、学生時代どう会社を選びましたか?」

意外過ぎる質問に面喰ってしまった。アラフォーの私にその質問?

リクルートスーツに身を包み、一日何回も面接でロボットのごとく喋っていた、カナダ留学の話と日本人として誇れる仕事がしたくて製造業を選んだという、今となっては青臭すぎる入社理由を面談担当に話した後は、

「今の会社でどんな事を成し遂げましたか」

「その時はどんな気持ちでしたか」

「辛かった事はありますか?」

となかなか転職理由を聞かれない!!

約1時間喋り続け、やっと今日の面談に至った経緯を聞かれた。

育休前に携わった仕事で自分の限界を感じ、今の会社でこれ以上成長出来るのか分からない。残り少ない会社員生活、どう過ごすべきか考えている。

自動車部品業界全体の閉そく感や、縮小傾向にある会社に居続ける不安を話した。

すると面談担当者は急に厳しいトーンになり、

「仮に成長著しい業界に転職して、その会社が成熟して成長が止まったり、縮小していくようだったら、また転職しますか?」

横からガーンと殴られた様な衝撃だった。頭がフリーズして何も答えられなかった。

そういう考えの人は企業側からするとまたすぐ転職してしまうと判断される、という事を暗に突き付けられたのだ。

「ここで答えられないという事は、そこが本質じゃないという事だと思います。自分なりにもっと深堀します。」と答えるのが精いっぱいだった。

意外過ぎるおすすめ求人

そして、面談担当者がここでやっと求人票を出してくれた。

実は4年前に子会社出向の話があり、リクルートエージェントと面談をした事がある私。その時の求人は大きく2パターンだ。

・製造業の原価企画、経理、事業企画

・コンサル会社

しかし、面談担当の彼はここでも定説を覆してくる。

グロービスの人材開発部の企画業務です

人と会話する時は、だいたい相手が次に何を言うか予想をする。予想に反する言葉を投げられると、理解するのに数秒を要す。

「あまりにも予想とかけ離れ過ぎていて・・・お勧め理由は何でしょう?」

「赤木さんは業務を通じて、プロジェクトを立ち上げたり関係者を巻き込んで遂行されるのがお得意と判断しましたので、原価や経理にこだわらないのであれば、色んな分野の企画業務に適されているのではと思いました。」

転職は、元の会社での実績の再現性が問われるものと思っていたが、目からウロコの考え方だった。

「ただし、他業種へ転職というのは今のご年齢ではなかなか厳しいので書類通過率はとても低くなるというのはご理解下さい」

「今お勤めの会社規模の会社はなかなかありません。少し規模の小さい会社で、原価面をてこ入れしたい、御社での経験を活かして欲しいという会社は沢山あると思います。でも、今より小さいスケールで、同じ原価の事をやるのって意味ないんじゃないかと思いました。」

「今赤木さんが悩まれている事って、今の会社で解決できない事なんでしょうか?まだ自分なりに工夫して解決する余地はありませんか?」

「お子様がいらっしゃいますよね。より具体的に働き方を考えて下さい。例えばコンサル会社だと、数カ月単位で県外の顧客に常駐もあります。それは可能でしょうか?今の生活に照らし合わせて年収は最低いくらまでと許容値を具体的に決める必要があります。」

と矢次早にグサグサ刺さる質問が。

転職エージェントのビジネスモデルは、転職者を就職させた企業から料金を取るシステムだ。つまり転職させないと儲からない

なのにどうだろう、この面談担当は転職を進めるどころか、私にもっともっと深く考える事をお勧めしている。

そして、手っ取り早く転職できそうな小ぶりな製造業の原価部門ではなく、ビジネススクールの人材開発部門という転職としては茨の道を進めてくる。

どうなっているんだこの会社は?

転職の判断は心の叫び待ち

私が突き付けられた課題は以下だ。

今の会社で悩んでいる事は転職しないと解決しない事なのか考える。

業界の事、売上の事 自分要因じゃなく外部要因の理由は本当の理由なのか、もう一度深く考える。

原価にとらわれず、自分の得意な事、やりたい事を見つめ直し、他分野も視野を広げて考える。

今どき転職は当たり前、自分のキャリアアップの為にどんどん会社を変えて行くのが現代のビジネスパーソンの在り方といっても、私にはまだまだハードルの高い世界だ。転職したい!この会社に入りたい!自分はこうなりたい!という心の叫びを聞くまで、転職に踏み込むのはよそうと思う







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