見出し画像

砂付きの秘密を探る

イワシに砂をまぶして出荷する「砂付きイワシ」については本ブログ知る人ぞ知る究極のメニュー”落ちイワシ”で紹介した。冷蔵庫のない時代に鮮度を保つためにきなこ餅のように砂をまぶして地域の外に売りに出たという。
ここで疑問が出てくる。一つはどのような理屈で鮮度を保っているのか、もう一つはどのくらいの効果があるのかである。

鮮度を保つ一番重要な要素は温度である。砂をまぶして身の温度の上昇を防ぐとすれば日除けか水分が蒸発する際に気化熱現象で冷えるかなどが考えられる。とりあえず砂付けにどういう効果があるのか検証してみる。

比較①

天気は曇り、気温20℃・湿度45%・風速1mと春らしいコンディションの中、エラのところに温度計を刺して両者の温度変化を調べていく。
まずは実験開始直後のデータである。少し見にくいが計測開始時は何もしていない方が15.8℃、砂付きが16.0℃である。これがどういう変化を見せるか。

比較②

1時間半後再び計測する。天気は相変わらずの曇りで気温21℃・湿度40%・風速3m。少し風が出てきた。何もしていない方は16.9℃、砂付きは17.0℃と両者とも1℃ほど上がったがハッキリとした違いは出ていない。

比較③

2回目の計測から3時間後。子供と公園から帰って計測。気温は23℃まで上がったが湿度は20%、風速6mと水分が蒸発しやすい条件になってきた。
何もしていない方は17.1℃、砂付きは16.3℃と結構な差がついた。このまま続行すると両者とも捨てなければならないので実験終了。もとはピンピンに新鮮なイワシだったので貧乏性が出てきてしまった。今度やる時はおつとめ品などで実験して最後は畑の肥やしにするなど、自分の中でもったいないと思う余地のないように行っていこう。
最後の計測で結構な差が出たが、魚の表面を触ってみると何もしていない方は表面が乾いていたのに対して、砂付きの方は砂はもちろん魚の表面もまだみずみずしかった。ものが腐る3要素は「熱」「水」「栄養分」である。表面が乾いてしまえば水分の蒸発で冷やされることもなく、しかも身の水分はそのまま保たれもちろん栄養も豊富なので腐りやすい条件がそろう。一方砂付きの方は表面の湿度が保たれ気化熱現象で冷やされ、さらに身の水分も飛ぶことになる。その分何もしないよりかはイワシの持ちが良くなるのかもしれない。なんにしろ今回の結果を踏まえてまだまだ要検証である。

さて、実験に使ったイワシは多少なれてしまったので酒粕と一緒に味噌汁にした。イワシを骨ごとぶつ切りにして酒粕と味噌を加えるだけである。骨からいい出汁がでてほっこりする味である。

イワシの粕汁
①イワシは一口ほどに骨ごとぶつ切りにする。
②酒粕はぬるま湯であらかじめといておく。
③鍋にお湯を沸かしたら①のイワシを放り入れ3分ほど煮る
④②の酒粕と味噌を入れて完成。お好みでネギを散らす。

※酒粕の代わりにおからを使っても美味!

イワシの粕汁2


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?