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中高一貫のバカ事情 第6話 ~共通の敵を作るのは一致団結の証~

高級肉によるBBQを終えたキノコたち。
マツによる霜降り牛肉転売事件を除いては満足だった様子。

無事食事を終えた後は、各クラスごとに分かれて
写真撮影と自由行動ということになった。
写真撮影/自由行動はクラスごとということもあり、
A組のマルキやルター、B組のキムとは別行動になった。
というかそもそも別クラスなのに
他のクラスの班行動に参加する時点でおかしい。

ましてや遠足でBBQという前代未聞の行事に。

ここで、今更だが各クラスの構成について説明しよう。

現在キノコたちは高校2年生。
クラス編成には文理選択が絡んでいた。

まずA組は、「特進クラス」である。
学年の成績上位30%の人が所属しており、このクラスに関しては
文系と理系が混在していて、男女比は1:2と女子多め。
主に学校の進学実績を上げるために作られたクラスだが、たまに
マルキやルターのような勉強だけそこそこできる異分子が紛れ込んでいる。

そしてキムがいるB組は、「文系クラス」だ。
文理選択で文系を選んだ生徒がこのクラスに所属している。
文系ということもあって男女比が1:3と女子が多い。
ただ、男子は陰キャが多い。(キムも陰キャ)

最後にキノコがいるC組は、「理系クラス」だ。
文理選択で理系を選んだ生徒がこのクラスに所属している。
理系なだけあって男女比は6:1と圧倒的に男が多い。
そして何より学年の問題児が集結したクラス
キノコはまさにその筆頭であった。

そのキノコたちが所属するC組で集合写真を撮影することになった。
A組やB組は問題なく終了したが、C組は違った。
学年の問題児達が素直に写真撮影を終えられることはなかった。

キノコ達が写真撮影のために集合した。
ただ、BBQをやってどうしても気持ちが晴れない部分があったらしい。
そう、マツによる女子への霜降り牛肉献上事件だ。

マツは肉が食べれなかったものの、
かわいい女子に囲まれるという一時的なハーレムを体験したという点
が男子の嫉妬心を燃やしたのだ。
キノコだけでなく男子が大半のこのクラスは結託して、

「なんとかコイツに痛い目に合わせたい」
とみんながそう思っていたのだ。

ここでキノコが学んだのは、クラスを一致団結させる1つの手段として

「共通の敵を作る」であった。

自分が買ってきた肉ならまだしも他人が買ってきた肉を自分の女子と話したい欲求のために犠牲にするという根性を叩き直す。

ということで、マツを集合写真のときに転げるようにしようと考えたのだ。

海が近いこともあって集合写真を撮影する場所の近くに大量のワカメがあった。
それを利用して海を背景に集合写真を撮影するタイミングでキノコがワカメが敷かれた地面に押して、転ばそうと考えていたのだ。

そしてC組の男子は、この作戦にほぼ全員参加した。

集合写真を撮影する番が来た。
撮影するまでマツに気付かせないようにみんな話しかけていた。
そっとキノコがマツの右に立つような形で撮影が始まろうとした。

マツの左隣には誰もおらず、あるのはワカメが散らばった地面だけだ。

撮影の瞬間にキノコがマツを押した。

マツは当然抗えることなくワカメの方に向かっていく。

マツは思いっきり滑って転んだ。

転ぶだけならまだよかった。
滑った拍子にポケットのスマホが宙に浮いたのだ。
当然遠足とはいえ学校にスマホを持ってくるのは禁止なので
先生に叱られるのが確定した。

そしてスマホは宙に舞い、海の中へ…

高校生男子の食い物の恨みはおそろしい。
このあと、泣きながら海でスマホを拾い、先生に叱られたマツ。

学校生活でみんなの共通の敵にならないように注意しようと心に決めたキノコ達であった。

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