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日本文化学科・学生体験談-オープンキャンパス特別イベント

 本記事では、2023年7月16日(日)に開催したオープンキャンパスでの日本文化学科の学科紹介(学生体験談)をお届けします。
  当日は3人の日本文化学科の学生が登壇し、三つのテーマで体験談を語りました。一つは日本文化学科での学びについて、一つは資格教育課程での学びについて、そしてもう一つはキャンパス外での学びについてです。
 プレゼンテーションの内容を原稿に書き起こしましたので、参加できなかった方、「神大の日本文化学科って何ができるの?」といった素朴な疑問をお持ちの方など、ご覧いただければ幸いです。
 3人の学生が自ら修得した学びについて、それぞれの話に耳を傾けていただければと思います。                        
                       日本文化学科 澤口哲弥


日本文化学科での学び

        日本文化学科 3年 加藤大樹 

 みなさんは、日本文化学科の学びと聞いて、どんなことを、何を想像するでしょうか。「大学なんだから小難しい内容ばかり学ぶんじゃないの?」と思う方もおられるかもしれません。ここではもっと身近な内容から、私が日本文化学科で実際に得た学びをご紹介したいと思います。

 まずご紹介するのは、日本が誇る漫画『ワンピース』。海賊ルフィの冒険を描くこの少年漫画に、実は武士道精神が色濃く反映されていたのです。武士道精神といえば江戸時代以降の武士階級に見られた独特な倫理観で、例えば「主人のために忠義を尽くす」や「正々堂々」、「仲間の名誉のために戦う」というような考え方があります。こうした考え方は、ルフィやその仲間たち、海賊白ひげやエースなど、作中のキャラクターたちのセリフや行動によく表れていますよね。そして、私たちはそうした行動をなんとなく「カッコイイ!」と思ってしまいます。これは、今の日本社会に「武士道精神は尊ぶもの」という精神性が存在しているからだと考えることもできます。こうしてみると、漫画からも日本の思想の断片が読み取れることができて面白いですね。

 次にご紹介するのは、葛飾北斎の浮世絵『富岳三十六景 神奈川沖浪裏』。「浮世絵はよくわからない」という方でも、この浮世絵は見たことがあるのではないでしょうか。ところで、海外でこの『富岳三十六景』をモチーフにした『エッフェル塔三十六景』というものが描かれていたことはご存じでしょうか。この『エッフェル塔三十六景』を描いたのはフランスの画家アンリ=リヴィエール。エッフェル塔の建設と同時期に書かれたこの作品は、そのタイトルのみならず構図まで富岳三十六景を意識しているように思えます。ただし、ここでは皆さんが興味を持って実際に調べていただけることを願って、あえて比較画像は載せないでおきます。当時の外国人にとって、浮世絵とはどんな存在だったのでしょうか。気になりますね。

 ここでは二つの例を用いて日本文化学科の学びを紹介してきました。これらは、わたしが日本文化学科での授業から得た知識です。日本文化はすべて「ひとつなぎの学び」です(ワンピースだけに……)。それもそのはず、無数の日本の文化、その一つ一つが何もないところから突然生まれるわけがないですよね。ですから、自分の興味分野から全然違う分野の学びを得ることが出来たり、その逆も出来たりがあり得るわけです。そうした、想像だにしなかった学びを得ることができるのが日本文化学科です。興味があれば、是非日本文化学科にお越しください。


資格教育課程での学び

日本文化学科 4年 松下雄太朗

 国際日本学部日本文化学科4年の松下と申します。日本文化学科では日本語教師や学芸員などの資格を取得することができますが、私からは、その中でも特に教職課程(中学・高校国語)について話したいと思います。

 まず、私がなぜ教職課程を履修しようと思ったかを話します。私は、もともと国語があまり好きではありませんでした。子どもの頃から本をとてもよく読むわけではなかったですし、国語のテストでも点数は中の中ぐらいで社会や数学の方が好きでした。私の国語嫌いが覆されることとなったのは、高校生の時です。古典の先生が私の国語嫌いを払拭してくれました。その先生に、替え歌に乗せて助動詞を覚えるやり方や円滑に全容を理解できるような文章の読み方を教わり、私の国語力はぐんぐんと伸びるようになっていきました。また、その先生は一般企業での社会人経験があり、教育だけにとらわれない話も多くしてくれました。その時に、私もこのような先生になってみたいと思うようになり、大学で教職課程を履修することにしました。

 さて、ここからは日本文化学科の教職課程においてどのような授業を受けることができるか話していきます。みなさんはこれまでにおそらくではありますが、先生が教壇に立って教えるスタイル、いわゆる講義形式で受けてきたのではないでしょうか。現在、文部科学省の学習指導要領には、「主体的・対話的で深い学び」ができる授業を目指すことが掲げられています。つまり、講義形式を採用するというよりもむしろ、学習者がお互いに意見を交わすことで様々な視点を持ち新しい価値を生み出すような授業を目指すということです。日本文化学科では、このような授業実践を行う力を身につけるため、教科に関わる専門的科目、教科教育法、ゼミなどで基本的な理論から具体的な発問の仕方などのテクニックを学んでいます。また、授業見学や模擬授業を通して、よりよい授業づくりのノウハウを実践的に学んでいます。

 教育実習に行った際に、大学での学びが生かされたエピソードがあります。私は、実習校(中学)で短歌を扱った授業を任されたのですが、正岡子規の「くれなゐの二尺伸びたる薔薇の芽の針やはらかに春雨のふる」を扱った際に、「なぜ子規は薔薇の棘を“針”という表現にしたのか」という問いを立てました。すると、学習者から、「棘よりも針の方が細く鋭いため、細かく棘を描写しているように思う」とか、「針なのに“やはらか”いから、自然のやさしさも表現している」などの意見が出ました。教師が何度も問いを投げ掛ければ出るような意見だと予想はしていましたが、学習者のディスカッションだけでこれらの意見が出たことに私は驚かされました。その時に、講義形式の授業にはない良さを知り、私の作った授業において大学での学びが生かされたと感じることができました。

 このように教職課程では、学習者の成長を肌で感じる機会も得られますし、自らの成長も実感することができます。

 最後になりますが、日本文化学科に入学して学習者を最大にサポートできる教師を目指す人が一人でも多くいればよいなと思います。


キャンパス外での学び

日本文化学科 4年 渋川翔太

 学びはキャンパスの外にある。大学生活はキャンパス内で学修、研究すること以外にも外で学べることはたくさんあります。今回は、現在4年生である私が大学生活での課外活動を通して学んだことを伝えたいと思います。

 まず一つ目はアルバイトです。大学生になったら深夜まで働くことができたり、泊まりこみで働くことが可能であったり、働ける時間と場所、業種の幅は大きく広がります。ではアルバイトの意義とは何でしょうか。

 対価としてお金をもらえることは当然ですが、大学生活におけるアルバイトの本当の意義は、世の中にどのような人がいて、企業や社会がどのように機能しているかを少しでも知ることだろう思います。大学生活を終えると社会にでて働く人がほとんどです。様々なアルバイトを通して将来の自分により多くの選択肢、やってみたいと想像を膨らませることができれば、なお良いでしょう。アルバイトは、より深く社会を知り、そこに参画する目を養う機会となります。

 次に紹介することは旅についてです。私は高校生の時にヒッチハイクを経験し、そこから完全に旅好きな人間になりました。大学生活では、自転車で神奈川の自宅から広島まで旅したり、イギリスを40日間一人で旅をしたり、あちこち海外旅行にいったりと、とにかく旅が好きです。

 個人的な考えですが、行ったことのない地に足を踏み入れることは、仮にそれが軽い旅行だとしても私はそれを旅と呼んでいます。未知の経験や新しいことを見ることが旅の醍醐味です。どのようなものもネットで検索して「知った」つもりにはなれますが、実際自分の目でその地を確かめ空気を浴びることには遠く及びません。

 大学生活は、時間的なゆとりを生み出すことが出来ます。私は、その期間を活用して海外に行くことを強くおすすめします。留学でも旅行でもどのような形でも良いです。行くことそのものに意味があります。留学というと「語学力を付けるため」のように、目的を明確化している場合も多いと思います。たしかにそれは意味のあることです。しかし、「とりあえず行ってみる」という、行くことそのものを目的とする無目的な旅も素晴らしい経験をすることができます。自分がこれまで生きてきた環境や文化から離れて異国の地で生きることは、既存の概念を壊し、新たな世界を見せてくれます。そしてその経験は個人を変えるきっかけになりやすいです。私自身も異国で生きることを通して自分のちっぽけさ、狭い世界しか見ていなかったことに気づかされました。将来、なにがしたいか決まってない人は、一度、外の景色を見に行くべきです。

 大学生活はこれまでよりも自由な時間が増えます。その時間を無駄にせず多くの新しいことに挑戦し、たくさんの失敗と共に成長する最高の大学生活になるように自分から動くことを意識してみてください。

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