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初めてのプロレス、初めてのDDT、初めての飯野“セクシー”雄貴

お友達の尾崎ムギ子ちゃんにプロレス観戦に誘われて、初めて行ってきました。
ムギ子ちゃんは千住大橋界隈の飲み友達なんだけど、ライター/作家で、プロレス本も出せるくらい才能に満ち溢れていて、でも努力も怠らない才女。なのにお金儲けのセンスが致命的に欠けていて、いつも崖っぷちを歩いて生きている子。
かの有名な「散歩の達人」でもエッセイの連載をもっていて、私もついこの間「かなえちゃん」という回でモデルとして書いてもらったばかり。読んでない方は読んでみてね。

正直に言うとプロレスにこれっぽっちも興味はなかった。見たら見たで楽しんでしまう現金な自分の性格もわかってるけど、争いとか闘いとか根性、男らしさとかこれまで無縁で暮らしてきた。

でもまぁ、ムギ子が一緒ならいってもいいかなと思っていた。そんなムギ子から「しげるくんと麻美子ちゃんも誘ったよ」と追撃があった。しげると麻美子。なんて良い響き。


じゃあ皆でお酒飲みながらたまにちょこちょこプロレスでも観ましょうかね、と舐めた気持ちで観戦に挑んだ私の浅はかさは否めなかった。

でも両国国技館に入った瞬間、写真集の販売会をしていた赤井沙希が目に入ってきた。美しい顔面、艶やかな髪型、筋肉を纏った肢体。本当に美しかった。
過去に元水泳選手の青木愛を直接見た時に受けた衝撃をまた赤井沙希から受けた。全体的にしっかりとしながら、でもメリハリのある、スポーツ選手だけがもつ身体の美しさ。そんな販売会には長蛇の列ができていた。

いきなりテンションがあがる。さっそくビールを飲もう。席は幸運にもマス席。広々としていてくつろぎながらリングを観戦できる。
会場が暗くなり、派手な照明と音楽と共に試合は始まった。

試合が始まってすぐに思ったのは「プロレスはエンタメなんだ」と言うこと。「はっ」や「やっ」といった技の掛け声も観客に伝わるように大きく発声している。また、技をかけられたときの「うわぁ」みたいな呻き声もきちんと響いていて、その観客を楽しませようとする姿勢が素晴らしいと思った。

闘う男たちの身体もまた美しかった。鍛えあげた肉体。殴られ、投げられても耐えるための身体。
プロレスは意外と、間合いとタイミングの闘いだった。リングの上では相手の出方を探りながら淡々と技をかけあっていた。しかし突然、技を連続して繰り出したりして激しい攻防戦になったりする。
知識のない私は「あれなんて技だっけ」としげるに確認しながら見ていた。初めて生で見るブレーンバスターは荘厳でとてもかっこよかった。相手と手を組みながらも前転しながら逃げる様子なんかもスポーツ要素が垣間見えて面白かった。
気がつけば歓声を上げていた。プロレスに魅了されていた。maoや佐々木の強さに心が震えた。ヨロヨロになって観ているこちらが「もう無理しないでいいから」と思うくらいだったのに、最後の最後で大技を繰り出して勝ってしまう選手もいた。

でもやっぱり一番輝いていたのは赤井沙希だったな。男女ミックスされたマッチ戦。どうしても体格差が出てしまう闘いの中でそれでも負けずに闘う赤井沙希が本当に美しくて格好良かった。体格差があるから何をしてもコンパクトに見えてしまう。しかし急に大技を決めてしまったりする。引退してしまう前に一度試合を見れてよかった。

そして特筆すべきはフェロモンズ。男色ディーノと飯野さんと今成さんのユニットなんだけど、本当にセクシーすぎた。
しかもフェロモンハウスなる出し物をしていたので私は果敢にもフェロモンハウスにムギ子と遊びに行ってみた。

フェロモンハウスで私は飯野雄貴のフェロモンを浴びてしまった。男色ディーノが「良いか、今日起きたことは忘れるんだぞ」と暗示をかけたせいで、私の身に何があったか全く覚えていない。思い出そうとするとモワモワっとしたぼやけたものしかでてこない。まるで昼下がりの浅い眠りの中で見た遠い昔の夢。しかしそれはとても淡くて甘美な夢だった。急性フェロモン中毒かもしれない。


そして私は飯野雄貴に恋をしてしまった。
これが「推し」という感情なのかと我ながら感動している。飯野雄貴を手に入れたいという想いはないが、飯野雄貴に全てを捧げたいという押し付けがましい想い。これが推しというものなのね。

飯野さんは本当に美しかった。
筋肉も脂肪も備えた、ダイクマよりもダイナミックなバディ。アメリカの東海岸の金持ちの庭の芝のように綺麗に刈り上げられた髪。的場浩司や和入道にも通ずるヤンキー顔も茨城育ちの私には魅力的に映ってしまう。なによりもプリプリの、犯罪級に淫らな尻。まだ28という若さで肌もテカテカで、もうため息が出てしまう程美しかった。

私は今年40歳になるにあたり色々なものを諦める準備をしていた。自営で始めた店は半年で潰れた。なんとか職は見つけたがライターとしても会社員としても中途半端なキャリアしかない。パートナーはいるんだかいないんだって感じだし。若い頃に色々夢を見たことはあったが、何一つ叶っていない。昔はそこそこの美貌もあったが今はその原型すら残っていない。
もう多くは望まない。友達がいるだけで幸せよ。あとは週に何度か飲む酒と、そこいらで済ませる安上がりなセックスさえあればいいと思っていた。

しかし推しができると毎日が変わる。
朝起きてまず飯野雄貴のことを考え、歯を磨きながら飯野雄貴のことを考え、糞をしながら飯野雄貴のことを考える。飯野雄貴のことを考えながらバスに揺られ、会社でも飯野雄貴のことを考えながら仕事をする。飯野雄貴という活力を得た私は無敵だ。これが推しの力。


仕事もがんばっていつか飯野雄貴のパーソナルジムに通おう。DDTも見に行こう。そしてまたフェロモンズに会いに行こう。

だから私はいつか飯野雄貴をまた拝みにいくという夢を抱えて今日も必死に生きている。
この駄文がどこまで読まれるかは不明だが、これを読んでくれた人が飯野雄貴のセクシーさを知ってくれたら本望である。

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