審査員として思っていること
ピアノは発表会・演奏会だけではなく審査をされるコンクールやテストの場もあります。
先日、講評提出有りで審査をする機会がありました。
「審査」という言葉だけ見ると、有りか無しかの冷たく厳しい世界に思えますが、実際はそんな風に切り捨てるような気持ちではなく、どこをどう変えるとさらに良くなりそうなのかをよく聴いてアドバイスさせていただく・・そんな気持ちです。
合否は、数学のように答えは一つのものではないから個性は尊重した上で曲がきちんとまとめられているか、曲として成り立つレベルのテクニックはあるかなど、仕上がり具合は判断として重要部分。
仕上がり的に未熟だとなかなか難しいということです。
みんな安くはない受験料を支払って参加しているし、目標があるので完成度の高い演奏が多いです。
ハイレベルな演奏が続く中でどんな部分に注目して聴いているかというと
・楽譜を正しく読んで理解した上で弾けているか。音楽の流れ。
強弱記号、アクセント、スタッカート、スラー、まず基本です
・音色
表現したい音が出せているのか。ドルチェなのか、マルカートなのか音色までを指でコントロール出来ているか。
・曲全体的なまとまりが感じられるかどうか(曲想やストーリー的に)
・音のバランス的なこと。
メロディーに覆い被さるほど伴奏が強かったらコントロールができていないなと感じます。
・テクニック的な部分。
素早く弾く部分など、特定の部分だけ辿々しいとすごく気になります。テクニックが曲のレベルに追いついていないと感じます。
ここまでは基本的なことです。
審査に関係なくても正直ここまで聴いているという部分もあります。
それは、もう1音目始まり方で大体わかる。
そして終わり方でもレベルが分かる。
脱力して弾けているかはもちろん、うまく使えてない指があるとか・・そんなことも分かります。
私自身も学生時代には色々コンクールに出て苦い思いもたくさんしてきました。
悔しい思いをしてもまた次受けよう!って思うのは、次こそさらに良くしよう!それで絶対受かってやるー!という気持ちにさせられるから。
モチベーションアップになるんです。
失敗して良い結果にならなくても、あくまでそれは演奏している人の評価ではなくて曲の仕上がり具合の評価。もっとよくなる伸び代があります。
とは言っても、一生懸命練習したのに結果がついてこないとショック・・
私も涙流したこと多々。
しばらく離れたくなるかもしれないけど、ピアノが好きならまた弾きたくなるし、もしかしたらまた挑戦したくなる時が来るかも。
ピアノで何かに挑戦してみることの一つにコンクールも一つの選択肢としておすすめします。