自分のミシン

私の2023年はかなり濃い年だった。でも1年を通してみるとそこには明らかに濃淡があって、途中はしばしば揺らぎつつもざっくり年末にかけて淡くなっていった。

原因ははっきりしていて、年末にかけて「締め切りがちょっと遠い」「モチベーションがない」「ちょっと時間がかかる」成分を含んだタスクが増えて脳のリソースが圧迫されたからだ。年末だし気合いでいくらか消化したが若干持ち越していたのが、今日やっと一段落した。


誕生日プレゼントとしてずっと欲しかったミシンをいただいたのだが、タスクが気がかりで遂に今日まで開けられなかった。ミシンは小学生の頃から好きで、家庭科の授業や実家にあったものを使ったり、昨年はユザワヤのミシンレンタルですこし大物を作ったりしていた。

そんなわたしのもとについに自分だけのミシンがやってきたのだ。すごく嬉しかった。なのに10日も手をつけられなかったので、今日こそがようやくその時だと思った。


ミシンというものは少なくとも家庭用のものはどこのメーカーでも基本的な部分は似ていて、小学生の頃に教わった知識で大体なんとかなる。でも初めての自分だけのミシンを万が一何かの間違いがあって壊してしまったらとても悲しいので、今日は説明書をちゃんと確認しながらセッティングをした。

指示通りにセットできたので、手芸箱を漁って、以前刺繍をするために買った適当な布を手頃な大きさに切って、さて何を縫おうかなと悩む。


最初は針に錆止めのための油が付いているので作品らしいものは縫わない方がいいと書いてあった。また、わたしのミシンは直線ぬいも4種類の縫い幅から選べるため、それを試してみようと思い立った。

それで、担当アイドルである速水奏さんのサインを布に書き写した。彼女のサインは、さまざまなカーブのある線で構成されているからぴったりだと思った。チャコペンを少し探したが見つからなかったので、その辺にあった鉛筆を使った。


15センチ四方ほどの布を針の下に挟み込み、押さえを下ろす。ミシンでステッチをするにはいささか小さめにサインを書き写してしまったため、針の下りる位置と始筆の位置を合わせるのにちょっと苦労した。

記憶する限り多分初めて使うメーカーのミシンだったため、スタート・ストップのボタンの仕様が特に、これまで使ったことのあるものと異なっている。何度かはずみ車を手回しした後、わくわくしながらスタートのボタンを押した。

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