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入管法の退去強制について_20231115

1:入管法の退去強制事由


退去強制事由(入管法24条各号)に該当する外国人は退去強制手続の対象となります(入管法27条以下)。また、退去強制事由(入管法24条各号)に該当すると疑われる外国人は収容される可能性があります(入管法39条1項)。

退去強制事由(入管法24条)

  • 3条違反(1号 不法入国:有効な旅券なく入国)

  • 上陸許可等なし(2号 不法上陸:上陸許可等を受けず入国)

  • 在留資格を取り消された者(2号の2、2号の3)

  • 不正に上陸許可等を得る目的での文書の偽造・教唆・幇助(3号)

  • 国際約束により本邦への入国を防止すべきとされている者(3号の3)

  • 不法就労助長行為等・教唆・幇助(3号の4)

  • 在留カード等の偽造・変造等(3号の5)

  • 資格外の収入を伴う事業運営活動又は報酬を受ける活動を専ら行っている者(4号イ)

  • 人身取引等・教唆・幇助(4号ハ)

  • 不法入国・不法上陸を煽り、唆し又は助けた者(4号ル)

  • 国際競技会等に関する不法行為者(フーリガン)(4号の3)

  • 仮上陸条件違反(5号)

  • 退去命令違反(5号の2)

  • 出国命令を取り消された者(9号)

  • 難民認定を取り消された者(10号)

  • 在留期間経過後滞在(オーバーステイ)(4号ロ等)

2:代表的な退去強制事由

(1)不法就労助長行為(24条3号の4)
事業活動に関して、外国人に不法就労活動をさせること、不法就労をさせるために外国人を自己に支配下に置くこと、業として外国人に不法就労活動をさせる行為等は退去強制事由になります。正犯だけでなくこれらの行為を教唆、幇助することも退去強制事由です。就労資格がない外国人(例えば短期滞在で入国した者)を就労させることなどがこれに当たります。
(2)資格外活動(24条4号イ)
資格外活動違反の定義は「19条1項の規定に違反して、収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を専ら行っていると明らかに認めらる者」です。
資格外活動がよく問題になるのは留学生のアルバイトのケースです。原則として、留学生が行うことができる活動は学生として「教育を受ける活動」だけであり、収入を得る活動を行うことはできません。但し、資格外活動許可を得ることにより、一定の条件の下での就労が許可されます(19条2項)。
一定の条件とは、例えば、留学生は資格外活動(包括許可)を得ていたとしてもキャバクラやスナックなどの風俗営業を営む店舗で就労することはできません。
また、就労活動に従事することができる時間は「1週につき28時間以内」という制限があります。
外国人留学生がこれらの条件を無視して、資格外活動を「専ら行っている」ことが「明らか」であると入管当局が判断した場合、退去強制令書が発布されます。
(3)薬物関連(24条4号チ)
薬物関連の法に違反して有罪の判決を受けた者は、その判決が確定すると退去強制事由に該当します。また、執行猶予付き判決を下された場合であっても、判決が確定すれば退去強制となります。

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