見出し画像

□ハンコについて(これからのしるしより)

最近何かと話題になる日本のガラパゴス文化の一つハンコについて調べてみました。

・印章の歴史…
紀元前7世紀〜6世紀頃には遺跡から印章が発掘されている。
紀元前5世紀ごろからメソポタミア文明で印章が用いられるようになり、証印や権力の象徴など様々な用途があった。
その後インダス文明からシルクロードを伝わり春秋戦国時代の中国へ、ここでも権力の象徴として使われることがあったが民間に浸透する広くことはなく、7世紀頃(遣唐の時代)には印章自体が芸術の一環として扱われるに留まった。
中国から日本に伝来した印章文化はこの芸術的側面が強く、印章文化そのものはアジアで広く見られるが日本ではまた独自の進化を遂げている。
14〜15世紀、室町時代の日本では署名文化も同時に広まっていたものの、簡略化するために判子を用いることが常とされていた。
江戸時代には実印登録の文化も始まり、明治政府は署名文化を推し進めようとしたものの、識学率の低さから断念。
同じ頃西洋では徐々に識学率が高まり署名文化が一般的に、一部貴族の中では権力の象徴としての印章が残っていたが、第一次世界対戦によりそのほとんどの名家が没落し印章自体もなきものとなった。

・印鑑の種類…現代の日本では実印、認印、訂正印、銀行印など様々な印を使い分けるのが一般的。
多くの場合は白抜きの陰刻ではなく文字を浮かび上がらせる陽刻が用いられている。

・シャチハタ…
1941年から名古屋で創業した会社であり、当初はスタンプ台を作っていた。
シャチハタ浸透印で話題になり、正式名称は「xスタンパー」とされるが「バンドエイド」同様に「シャチハタ」は浸透印全般の通称として広く用いられている。
なお社名の由来はシャチホコの旗を略してシャチハタとされる。

・印鑑とは…
現代では認証システム、アイデンティティ、情報と物質と言った3つの視点から考えられる存在。
これからの時代AI、VRが日常化し印鑑文化そのものが消失する可能性も大いにある。
(むしろ今時印鑑文化の残る国として日本は少数派。)
認証システムとしては署名による筆跡鑑定が確実であるし、アイデンティティとしては指紋や虹彩、静脈、声紋、顔認証が普及し、物質的にはデジタル印章も一般化しつつある。
記し、標し、識し、徴し、印すためのしるし。
何のためのしるしか。
誰のためのしるしか。

・しるしとは、
そこにあった証。
そこにいた証。
残したい気持ち。
存在の証明。
命の残像。
足跡の気配。

・私とは何か。
私が私であることの証明は、この手の中には何もない。
寝て起きて中身が入れ替わっていることだってあるかもしれない。
それは記憶、それは感情、そして身体。
傷跡ですらもしるしであり、それは立派なアイデンティティとなる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?