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きみが会いにきた(返歌)

きみのこえが


聴こえた気がした





光はもう とうに見えず


音はもう  とうに遠いけれど




きみの足音は いまもこころに薫り


きみの声は  いまもこころにまたたく


姿が変わろうとも

その かりそめのイレモノの中に
きみの気配を たしかに感じる

水面を走る鳥は きみに似ている
やまにこだまする風は きみに似ている



きみの朽ち果てた肉体は
舞い散る枯れ葉とともに豊かに醸し
木々の根から吸い上げられ
この山の一部になり
豊かな風を生み
ささやかないのちを育み
喰い喰われ またたく間に生を全うし
また枯れ葉とともに水底に深く沈み


永久に祈りつづけるおとめたちのこころを癒やすために眠りにつく


次の息吹のために
彼方の子らのために
いのちを繋ぐための その循環の名は




キズナ



その意味は 誰もが思うよりも
重く暗い咒だということを
気づかないままに
浮かれた歌をうたう人びとは
きみを
きみたちを今日も踏みしめて
此処へ来るよ



わたしだけが知る  きみ

わたしだけは 知っている  覚えている





きみが来たこと  ちゃんとわかったよ







※フィクションです


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