とろみ

あなたと生きたい。

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いつかの乾杯の約束を。

冷蔵庫の一番奥に、飲みたいお酒を買っては貯めている。貯め始めてから一本も減ったことはないけれど、これからも多分増えていく。 春はいちご。 夏はラムネ。 秋はみかん。 冬はゆず。 お酒大好きなあなたが、宝石箱のように並ぶわたしの宝物に、手を伸ばしたことはない。 毎晩あなたは、一人で杯をあける。 家族が増えてからずっと我慢しているわたしなに、感謝の言葉を贈ってくれてから。 いつかまた、そう遠くない未来、子どもの寝顔を見ながら乾杯しよう。 #また乾杯しよう

    • 令和の時代に交換日記をしている。

      旦那と交換日記をしている。アナログで。LINEも勿論毎日しているけれど。 結婚前からだから、かれこれ2年以上になる。 旦那は手書きで物を書くのが好きじゃない。 医療従事者だから、毎日カルテも書いているだろうに、自分の字が綺麗じゃなくて好きじゃないから、って出会った頃に言っていた。 でもわたしは手書きが好きで、付き合う前から、手紙をよく送った。手書きの文字は、その時の雰囲気や気持ちを全て切り取れる気がして好きだ。そうしていつしか、分厚いノートに交換日記が始まった。結婚した特

      • あなたの右手。

        初めに好きになったのは、夫の右手だった。でも彼の右手は、世界のために在るようなものだった。 忘れられない夏がある。 夫に初めて出会った夏。 病院で働いていた夫は、患者様を車椅子に移すとき、患者様についていたカテーテルをわたしから見えないように何気なく隠し、トントン、とそっと叩いた。ほんの僅かな仕草。 そういえば、と後から質問したわたしに対して、「病室から出るのに、カテーテルの中身を見せたい人はいないからね。」と、自分がそうしていたことに気づいていなかったかの

        • 想像して進み続けることだけは、自由だ。銀の匙15巻。

          どんな時だってそれだけは自由だ!!って不意に叫び出したくなって、 このアカウントを作った。いつか誰かに届いたら嬉しい。 自分の好きな創作物には、傾向がある。 描写するんじゃなく、切り取っているもの。 語られるべき物語が先にあり、語られる話が、写真のように見せてもらえているもの。 描かれない世界も山程あることが背景からわかり、語られない世界にこそ思いを馳せ、完結した先でもずっとずっと、主人公達がその世界の中で生きているのだ、と確信の持てる物語。 そんな物語が、好きだ。 そ

        いつかの乾杯の約束を。