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『文房具を買う』ってイコール『勝負』だしだいたい負けてる


3回は勝負してる

私の場合、文房具コーナーに足を踏み入れると、おおよそ3度、たたかう瞬間が訪れる。
たたかう、は、購買欲求に抗う、という意味で相違ない。

まずは目があった瞬間にゴング。

文房具と「目が合う」とはどういうことか説明しづらいが、ある文房具が目に留まってしまった瞬間に、手に取るか否か、の選択肢が出現する。

手に取ると購入へのハードルがかなり低くなることを経験上知っているので、慎重に距離を取る…ことができればいいのだが、大抵は条件反射のような速度で手に取ってしまう。
「やだ、あなたかわいくないですか?」

敗北。
手に取った文房具と、第二ラウンドの開始。

第二ラウンドは、使っていることを容易に想像できるか、という問いかけから始まる。

今持っている手帳に、ノートに、この文房具はすんなりと、あるいは新しい形でも構わないのだが、馴染んで楽しめるだろうか?

ペンやマーカーであれば、すでに所持しているものの色味や組み合わせはどうだろう?

シールやマスキングテープなら、同じような柄のものを持っていなかっただろうか?

そういうことを考えながらたたかって、
「楽しく使えそうじゃない? かわいいし」
とか結論を出してしまったら、二度目の敗北。

第三ラウンドは最後の勝負どころだ。
手に取った文房具が楽しく使えそうなことはわかった。
だが、それを収めておく場所はあるだろうか?

文房具というものは、ひとつひとつはそうでなくとも、気づいたらかなりの数になっているものだ。

手帳を並べる棚の、あるいは収納する引き出しの余裕はあといかほどだっただろう。

いつのまにか3冊目まで増えてしまったシール収納のバインダーには、まだ収納用のリフィルが入るだろうか。

ついこの間もマーカーを追加した気がするペンスタンドには、まだこの子の入る余地は残っていただろうか。

なるべくなら、かわいいものはかわいく、そして使いやすく収納してあげたい。
その最低限の決まりごとだけは、絶対に守りたい。

「まだいけた。はず、たぶん」

守れる、大丈夫。
激闘の末、そう結論づけてしまったら3回目、最後の敗北だ。レジで金銭と引き換えに、たたかいを繰り広げた相手、文房具が私の手の中に収まっている。

3度敗北しても逃走する(※商品を戻して足速に店を出ることの意味)ことはできるが、後日再び出会った時は問答無用でレジに並ぶのでもう諦めた。

3度敗北したのち逃走し、しかしてそれから二度と出会うことの叶わなかった文房具に涙を流した経験もあるので、負けたなら潔く懐を切ることにしている。

3回敗北してのちに逃走し翌日お迎えした文房具


収集癖があることには自覚的な方だ。
収納場所も、財布のなかみも、無限ではないことをじゅうぶんすぎるほど承知している。

100円ショップのシールたちだって、買い物に行くたびに追加していては、1ヶ月の間にちょっとびっくりするくらいの量と金額になってしまう。

わかっては、いるのだけれど。

先日、100円ショップの文房具コーナーで、もちろん見るだけ、と自分に誓約を課してうろうろしているとき、未就学児と思われるお子さんと、その親御さんらしき方とのやりとりが耳に入った。

「このシールほしい」
「あなた、この間買ったばっかりでしょう。
 まだおうちにあるから、それではダメなの?」
「だってこれ、おさかなだよ?」
「おさかなだね」
「おうちのは、むしだもん」
「全部使ってから買うって約束だったでしょ?」
「…わかった…。つかったら、買ってもいい?」
親御さんはうん、と頷き、お子さんとその場を去って行った。

わたしはなんてだめな大人なのだ…。

多分買ってしまう。
私がお子さんの立場なら、きっと買ってしまう。

少しだけ落ち込んで、今日はやめておこう、と手に取っていたシールを売り場に戻していく。

……でもこれ、手帳にこんな感じで貼ったらかわいいと思うんだよな…。

そしてこの日も3度敗北した。

おまけ〜文房具増殖の過程〜

これくらいなら大丈夫
の、繰り返し
からの増殖
さらに増殖

現在収納方法を勉強中です。

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