見出し画像

職業観の人事考課

 どのような職業観を持っているかは自由である。価値観の多様化により、管理職を目指して仕事をする人もいれば、仕事は仕事と割り切って仕事する人もいる。
どんな仕事でもやってみたいという人もいれば、慣れた仕事、同じ仕事を続けたいという人もいる。どのような職業観を持っているかは自由であり、それを理由に人事考課に差をつけることは許されることではない。
人事考課は行動事実や仕事の結果を評価するものであり、本人の価値観や職業観を評価するものではないからである。
 
 しかし、仕事の与え方となるとどうであろうか。
仕事には高度の判断を伴う仕事もあれば、単純な定型業務もある。仕事の完結までに長期間かかるものや、短時間で終わるものもある。一旦任せるとなかなか代わりを作れない仕事もあれば、すぐに代わりが見つかる仕事もある。

 そうなると、営利を目的とした企業である以上、個人の職業観に合わせて仕事を与えることが必要となってくる。すなわち個人の職業観を尊重した上で、その職業観に見合った仕事を与えるということである。その方が本人にとっても会社にとっても都合がよく幸せである。アンマッチはお互いに負担と不満を残してしまう。

 コース別人事などで選択できるようになっているとよいのであるが、そうでない場合や、仮にコース別になっていても機能していない場合は、日ごろの行動や言動から判断することになる。原則的にはその人の職業観はその人の行動に現れると考えざる。

 単純に考えれば、よく休む人、残業をよく断る人は職業観が低いと考えられ、その職業観に見合った仕事しか与えられなくなる。それはそれで本人は気楽でいいし、会社もそれで都合がいいということになる。(そのような仕事があればの話であるが)

 その結果、職務遂行能力はどうなるだろうか。
職務遂行能力とは、基本的には仕事を通じて向上するものであり、職業観の低い人に、それに見合った仕事を与えていると、能力開発を促すような仕事に携わることができない場合が多く発生する。
 そうすると、職業観の低い人は能力が低いとか、職務価値が低いとかという事実が発生するため人事考課が悪くなるということになる。

職業観とは自己の責任において形成されたものであり、その職業観を尊重した結果が評価に結びつくわけですから、これはこれでヨシとしなければならないであろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?