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人事考課の公正さ

1.公正とは
 辞書によると、公正とは「かたよりなく平等であること。公平で正しいこと。また、そのさま。」ということである。多くの人は道徳として、公正であって欲しい、公正であるべきだと思っている。また、個人の損得に影響がある場合は、公正であることをさらに強く要望する。

2.人事考課における公正
① 分配的公正(結果の公正)

 自分の評価と他人の評価が釣り合っている、あるいは、自分の投入した努力と得られた評価の度合いが他の人と釣り合っている場合に公正さを感じる。
しかし、これは自分を中心に他人と比較して公正さを感じるわけであるから、「自分が一番かわしいい」と思っている人間の本性から、全員が公正と感じることはほとんど不可能であると思われる。仮に公正な評価であっても、自分の評価結果が悪いと、「○○さんより自分はよくやっている。それを上司はわかってくれない。」とか、「私はこれだけ努力しているの、○○さんはラクして良い評価をもらっている。」など、公正でないと感じてしまう。

② 手続き的公正(プロセスの公正)
 そのような評価になった理由がわかっており、定められたルールや基準に基づいて行われたものであれば、その結果にかかわらず、公正さを感じる。
 例えば、どうしても意見がまとめられない時に、多数決を取って決定することがある。この場合の合意は、多数決という決め方に対してされたのであり、決定された結果に対してされたのではない。なぜなら、多数決という決め方が、民主的であり、手続きとして公正であると考えたからである。(本当に多数決が民主的であり、手続きとして公正であるかどうかは別にして)
このように、決定までの手続きが公正であれば、結果についても公正であると考えるものである。ルールや基準など評価の手続きだけでなく、評価者との信頼関係や日ごろのコミュニケーションがよければ、さらに公正さを感じる。

③ 人事考課の公正さの限界
 上記①のように、「結果の公正さ」を追求するのは非常に難しく無理がある。「結果の公正さ」を高めるために客観的な数値で判断できるものが評価項目になり、判断しにくい行動やプロセスより判断しやすい結果の評価になってしまう。それでも、「結果の公正さ」が実現できるかどうかは難しく、また、結果重視の評価は別の問題を引き起こし企業業績に悪影響を及ぼしてしまう。
 「結果の公正さ」はもちろん大事ではあるが、それを過度に追い求めるのではなく、ある程度の「妥当な結果」にとどめて、「手続き的公正」を徹底する方が、最終的に皆が公正と感じるようになる。

すなわち、大事なのは「ルールや基準に則った人事考課であり、その評価結果に至った丁寧な説明」である。

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