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リクルートでプレトタイプのまま商品化していた話

「センターをつくりましょう」と言われたらなんのことかわかりますか?


はじめに

プロダクトマネジメント界隈ではもはや常識になっている「インタビュー → プロトタイプ → プロダクト開発」の流れ。
近年ではプロトタイプではなく「プレトタイプ」という、システム開発を伴わないようなもので最初に価値検証すべき!ということも言われています。

私が以前働かせていただいていたリクルートでは、プレトタイプを「商品」として販売していたんだな…と気づきました。
とあるPdM会で話してみたら反応が良かったので、noteに書いてみようと思います。

※リクルートと言っても大きな企業なので、すべてのサービスがこのようになっていたわけでは無いと思います。もしかしたら、私が経験したのはマイノリティだった可能性もあります

流れ

  1. インタビュー

  2. プレトタイプを作成

  3. センターを構築

  4. 枠数を設置して営業 (企画商品)

  5. 枠数をあげるためのシステム開発 (本商品化)


1.インタビュー

ユーザーに話を聞きに行くのは同じです。
リクルートの場合、商品開発部のメンバーが営業上がりであることが多い気がします。(日本一営業が多い会社だと思いますし…)

すでに関係構築できている企業も多く、インタビューだけでなく 検証に付き合ってくれるお客様を見つけるのも簡単でした。


2.プレトタイプを作成

協力いただける企業に、プレトタイプを提供します。
とある分析をしてレポートをお渡しするサービスだったのですが、まずは人力で分析し、Excelでレポーティングです。
お客様と議論しながら、どのようなレポートを出すか決めていきました。


3.センターを構築

十分に価値を出せるレポートができあがったら、そのレポートを見られるシステムを構築…するわけではありません。

社内や派遣会社などから人を集めて、「分析センター」を構築するのです。
人力だから人手が必要   →    人を増やそう!!   というアプローチが、システム開発より先に来ていたのです。IT畑から転職してきていた私としてはかなり衝撃でした。

もちろん、誰もがすぐに動けるわけではないので、教育が必要です。
センターの構築、といったら、具体的には

  • 人を集める

  • 教育プランを作る

  • 運用手法を固める

の3つをすることになります。


4.枠数を設置して営業 (企画商品)

この状態で、営業を通じて商品を販売していきます。
ただ、センターを作ったからと言っても無限に対応ができるわけではないので、「枠数」=「この商品なら1ヶ月あたりN企業にしか売ってはならない」というものを設定します。

枠数が少ないことから、メインの営業パンフには載せず、パワポで作った資料を限られたお客様に見せる、というスタイルになります。企画商品、などと言われていました。

この企画商品状態で、商品のblush upをしていきました。


5.枠数をあげるためのシステム開発 (本商品化)

最後に来るのがようやく、システム開発です。
ただ、通常のシステム開発と大きく違うのは…「枠数をあげるためのシステム開発」になるということ。

人の手が介在しているところを、重要なところから順にシステム化していくのです。たとえば、これまでメールのやり取りだったところを、入力フォームにするようなイメージです。

システム投資効率なども、簡単に算出できます。「この機能を作れば、枠数をN件に増やせる」「この機能を作れば、センター人員をN人減らせる」といった具合。

十分な量の枠数が確保できたら、メイン営業資料に載る…「本商品化」することになります。


おわりに

大企業ならではですし、適用できない商品も多数あると思いますが…

「システム開発にプレトタイプを足し算する」のではなく、「プレトタイプにシステム開発を足し算する」というアプローチは、これからのプロダクト開発に活かしていきたいです。

ではでは。

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