若い頃の飲み歩きのこと
私が就職したのは、プラザ合意の年です。
つまり、日本経済がバブルに向かって坂を登り始めた頃ということ。
横浜の会社に就職し、張り切って通勤していました。
当時は何かにつけ手当が付いて、若い内からそこそこもらえていました。
そして3,4年経って入ったプロジェクトで、まだ若いリーダーと仲良くなりました。
その方は凄いお酒マニアで、当時の横浜のバーを何軒もご存知でした。
その内、金曜日の夜になると私を連れてバーに行くことがその方の習慣になり、あちこちに連れて行ってもらいました。
前にもちょっと書いたかな、私は末っ子のせいか、年上の方に話を合わせて盛り上げるのが得意で、それで気に入られたのかもしれません。
それにしたって、金曜日の夜に男二人でバー巡りとはね、女性に声もかけずに(笑)。
若い私にはちょっとだけ厳しい出費でしたけど、ときにはその方が奢ってくださって、いいお酒を色々と飲むことができました。
お酒のことだけじゃなく色々な知識も教えて頂いて、今でも貴重な経験だと思っています。
例えば、ボージョレ・ヌーボーというのは普通のワインと製法が全然違っていて、ワインもどきだということ。
(「もどき」は言い過ぎだと思いますけどね)
バーの常連になると、オムレツとか焼きそばとかの隠れメニューが食べられるようになること。
(実際にいくつか食べさせて頂きました)
「バーテン」というのは言ってはいけない言葉で、「バーテンダー」と言わなければいけないということ。
(「フーテン」に掛けた差別用語だから)
ウィスキーはストレート(「生(き)」とも言う)で飲むのが一番味が分かるということ。
(一番美味しい飲み方でもあると思います)
ウィスキーのような蒸留酒は糖質0で、カロリー量も少なく、カウンターに置いてある豆類でも食べながらチビチビ飲んでいたら、太るわけないこと。
(ヤバいのは日本酒とビールね)
自分の飲みたいお酒のことをバーテンダーに相談すると、ちゃんと合ったお酒を出してくれること。
(イギリスやアイルランドでは多くの醸造所が廃業してしまい、当時教えて頂いたウィスキーの多くは絶版になっています)
こういうのって、商売にしたら結構当たるんじゃないですか。
お客様が指定した場所へハイヤーで迎えに行き、お酒に詳しい人がいいバーでレクチャーして、程々に酔ったところで家までハイヤーで送り届ける、そういうツアー。
バーに憧れがあっても、二十代では中々入れないですもんね。
この頃の私は蒲田に住んでいて、近所に何人か友達がいましたけど、一番気が合うヤツとよく待ち合わせるバーがありました。
今は無くなってしまいましたが、カウンターと、列車のボックスシートを模した席があって、薄暗くて、洋楽のレコードが大量に置いてあるお店でした。
私が仕事が終わって飲みに行く気分のとき、彼の留守電にメッセージを残し、それを聞いた彼がお店にやってくるという段取りでした。
(携帯がまだ普及していなかった時代の話です)
横浜で先輩に連れて行って頂くお店とは違って、庶民的でロックの話で盛り上がるような楽しいお店でした。
(ママさんがいい方でね、リクエストすれば何でもかけてくれたし)
レゲエが好きだった友達はマイヤーズ・ラムばかり飲んでいて、私はそのお店ではバーボンを取っ替え引っ替え飲んでいました。
(そもそも高いウィスキーがそのお店にはなかった)
どちらかといえば、先輩や懐具合のことで緊張しなかった蒲田のバーが私は好きでした。
リーマンショック後に貧乏になってしまった私はもっぱら部屋飲みですけど、お店で飲む楽しさもたまには味わってみたいと思うのです。
ここに書いた他にも、楽しくお付き合いさせていただいたお店があって、ああいう出会いとかお付き合いは貴重だなって思います。
もし、近所に良さそうなお店があって、入るかどうか迷っている方がいたとしたら、「入ってみてよ!」と言ってあげたい気分なのです。
(ネットでの飲み会も一度やってみたい!)
最後まで読んで頂き、ありがとうございます。
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