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東京のタクシーのお話2

今日もタクシーのことを書きます。

一応、前回からの連番という形にしておきますね。


5.乗務員へのクレーム

お客としてタクシーに乗って、嫌な想いをしたことのある方は多いと思います。

挨拶をしない、返事もしない、運転が荒い、遠回りされた、タバコ臭い、などなど。

そういうときに泣き寝入りしている方も多いと思われ。

タクシー乗務員はほとんどの時間を一人で過ごすので、仕事も自己流になりがちです。

会社によっては、社員による覆面モニターを実施したり、車内をドラレコで録画しておいて帰庫してからチェックしたりしていますが、まだ一部です。

人間、厳しくチェックされていないと、どうしても緩むものです。


では実際に、困った乗務員に当たってしまったときはどうすればいいのか。

東京の場合は、タクセン(タクシーセンター)に連絡するのが一番です。

嫌な想いをしたときに、料金を払ったら必ずレシートを受け取ってください。

そのレシートの一番下に、タクセンの電話番号が載っています。

また、タクシーの会社名や車番、日時も載っています、これが証拠となります。

レシートを受け取らなかったとしても、自分でいつどこでどういう状況だったのか、乗務員は誰だったのかを覚えておいて、忘れない内に記録しておきましょう。

(スマホで声だけでも録音しておくといい)

(カメラを向けると乗務員が激昂したりする可能性がある)


タクセンは業界が作った組織であって、業界の各社のことを監督する立場にあり、強力な権限も持っています。

昔のタクシーは今以上に荒れていて、それをどうにかするためにできました。

(昔は「タクシー近代化センター」という名称だった、「近代化」って一体……)

ですから、電話してクレームを言ったところで、仕返しなどの心配はありません。

電話したらまずクレームであることを伝え、分かっている情報は全て伝えます。

そして大事なのは、自分の個人情報を伝えること。

匿名の通報は、他社の乗務員の嫌がらせの可能性があるため、まともに取り合ってはくれませんから。


クレームの内容にもよりますが、タクセンは該当する会社の乗務員と担当者を呼び出し、面談します。

双方の言い分を検討し、NGとなれば罰則が与えられます。

(会話を録音したデータがあれば、有無を言わせぬ証拠となる)

普通は一定期間の乗務停止で、あまりに悪質な営業所は営業停止になる可能性もあります。

だからタクシー会社も乗務員も、タクセンを恐れているのですよ。


もしタクシー会社に電話して文句を言ったらどうなるか。

そういうのに慣れた職員が謝り倒して、後でその乗務員に、

「ダメじゃないかー、気を付けてくれよー」

と言って終わりですよ。

そしてその乗務員は、

「すんませーん」

とか言うだけ。

仲間ですからね、乗務停止なんてしたら会社の儲けが減るのですから、まずしません。


6.超ロングの良し悪し

乗務員生活を何年もしていても、滅多に当たることのない超ロング

私は当たったことないです、残念。

私の同期は東京駅から浜松まで行ったことがあります。

彼がたまたま東京駅にいたら新幹線が止まってしまい、慌てた様子で乗ってきた男性が「浜松まで」と言ったとか。

どうしても行かないといけない商談があったそうで、料金は十万円を超えたとか。

彼の帰路はさぞかし、気分のいいドライブだったでしょうねぇ。


実際にそういう超ロングに当たった場合は、お客さんの許しを得たうえで会社に電話して、指示を仰ぎます。

(今のタクシー乗務員はみんなヘッドセットを付けてます)

場合によっては途中で別の乗務員を乗せて、交代で運転できるようにすることもあるし、お送りした先の地域に連絡をして、ガスを入れられるように手配することもあります。

東京の場合、神奈川県や埼玉県を超えてしまうようなときに、会社に電話するようになっているようです。


怖いのは、降車のときに、

お金を持っていない、警察に連れて行ってくれ」

というパターン。

こういうのは実際にあります、お金はないけど田舎に帰りたいって人が犯罪だと分かって乗ってくるのです。

こうなると乗務員も会社も大損ですし、そういうことをする人から後でお金を取れるとは思えません。

もし自分が浜松まで行って、警察署で色々あって、そこから東京まで帰って、その間は営収¥0って…… 泣くしかないです。


7.「タクシー乗務員が行くお店」の条件

よくテレビで、

「タクシー乗務員は色々なお店で食事しているので、いいお店を知っている

とやっていますが、それは昔の話。

今は緑のおじさんが違法駐車の取り締まりをやっていて、そこらに車を停めて食事なんてしていられなくなっているのです。

だから駐車場がないか、近所に車を置ける場所がないお店で食事することはほとんどありません。

環七沿いのラーメン店なんかだと、多くは駐車場がありませんから無理。

余程気に入っているお店なら、コインパーキングを使うことはありますけどね。

タクシー乗務員は仲間と情報交換をして、車を置けるお店の情報を集めています。

そのお店が美味しいとは限らないのは当然ですよね。


8.タクシーメーターの秘密

タクシーの料金は、走行距離時間により決まります。

渋滞にハマって止まっていても、メーターは上がっていくのです。

(速度0で何分経ったら1メーターという計算方法)

ただし、高速道路では走行距離だけで料金を計算します。

何故なら、高速道路上では渋滞したからといって、別の交通機関に乗り換えたり、徒歩で移動したりすることが不可能だから。

逃げ場がないのに時間でメーターを上げるのは、さすがにマズいということなのでしょう。

高速の入り口を通過するときに、乗務員はメーターの「高速」というボタンを押して、時間での計算を止めています。

そして高速を降りたところで、また「高速」を押して計算を再開させているのです。

(渋滞しなければ関係のない話)


タクシーのメーターは公的機関での検査が義務付けられていて、検査で合格した後に封印されています。

なのでメーターをいじった違法営業はできないのですが、中にはタイヤの空気圧をわざと低くして距離を稼ぐ者もいます。

そんなの微々たるものなのに、「塵も積もれば」ですか。

しかも車の動きが不安定になって危険です、首都高なんて怖くて乗れやしない。


タクシー乗務員がお客さんから行き先を聞いて動き出すときに、メーターをスタートさせますよね。

ある会社の乗務員は、このときに別のボタンも押しています。

お客さんには分からないように、ボタンには別の言葉が書いてありますが、実はお客さまの性別による人数を記録しているのです。

男性何人、女性何人というふうにボタンを押すのですが、そのデータが何かの役に立ったという話は聞いたことがありません。


この話を新人研修で聞いたときに、私は質問しました。

「お客様が男性か女性か分からない場合はどうしますか?」

すると教室は笑いに包まれ、講師の方も笑いながら、

「そうしたら男性を押しておけばいいんだよ!」

だって。


今回はここまで。

まだまだネタはありますので、次回へ続きます。

最後まで読んで頂き、ありがとうございます。


--- 追記1 ---

続きはこちら。


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