デビュー前に肛門の手術したらうんこ漏らしかけた話

これはデビューが決定した撮影1ヶ月前、9月の話である。

ある日私は自分の股間を鏡で見ていた。

「うーーん。このま○こが世のみんなに晒されるのか…まぁ、これはモザイクかかるからええや。問題はこれや」

実は私には肛門にかつて痔のあった跡があった。

忘れもしない、高校生の時に語学留学の時。
便秘になって命懸けの出産をした。そして大量の血を吹いた。切れ痔になったのだ。

切れ痔で腫れた肛門は完治した後も伸びきった皮ができた。俗に言う「スキンタグ(肛門皮垂)」である。

ちなみにまぁまぁの確率で女性にある。たまに女優さんでも見かける。

昔から気になっていたのだが、治療するとなれば自費となり、どこかのブログで「美容外科で20万位で取ってもらった」と聞いていた。

そこまで人に見せるものでもなかったのでケツに20万かけるなら他に改善したい事があるのでスルーしていた。だが状況は変わった。


なぜこの世のAVは肛門にモザイクはかからないんだ…このままでは「鬼昆布さん痔じゃん!!」って皆に言われちゃう…

今なら20万でも出す価値ある。ということで取る事にした。

とりあえず自費診療なので値段にバラつきがある。料金の記載が殆どないので肛門科に電話問い合わせした。

1件目は「15万」と言われた。

2件目は「自費なので高いですよ…9万円です」

9万円!予算20万が9万円まで下がったなんて超お得!

と即予約。

電車を乗り継いでやってきた女性専用の肛門科。

「スキンタグ取ってください」と先生に説明し、診察。

するとおしりの中にもいぼがあり、「いぼを取るならその名目でスキンタグも保険で取れまるよ、どうします?」といわれたので保険で取る事にした。

ありがとういぼ痔!!お前は今日この日の為に存在してただろ!!
と謎にいぼ痔に感謝した。

ちなみにかかった費用は2万円。めっちゃお得。たった2万でコンプレックスが1つ消えるなら早くやれば良かった。


そう思いながら手術の流れなど先生の説明を聞く。

「質問ありますか?」


「ダウンタイムってどれくらいですか?」


「ダウンタイムってなんですか?」
先生はキョトンとしていた。そうだ、ここは美容外科じゃねぇ。肛門科だった。

「傷が自然になるまでに掛かる期間です。」

「うーーん。1ヶ月か2ヶ月位かな」

「1ヶ月…!!やばい、先生なるはやで取ってください!!」

「手術は予定が詰まってるから1週間後かなと…」

「私AV出るんです!!!」

「AV…!?」
目が点々になる先生。まさか肛門科でAVの話が出てくるとは思うまい。

「そうそう、アダルトビデオ!!だから肛門綺麗にしに来たの!撮影が来月なの!!」

「それはピンチですね…」

と考慮してもらい2日後の朝イチに無理矢理オペ予定を詰めてもらった(まじありがとう)

受付で「手術前日の患者様へ」と書いた注意書きと下剤を貰い、手術翌日の診察の予約をする。

「えっ、翌日は仕事があるので厳しいです」

「翌日仕事は厳しいと思いますよ…」

「いえ、きっと大丈夫」

「翌日も安静の方が傷が綺麗に治りますよ」

「休みとります(即答)」

と翌日に肛門の手術をするから休みたいと素直に言って休みを貰うことにした。




そして手術前日私はフォロワー達と飲み会をしていた。

「私のAVデビューに乾杯!!!今日は下剤めっちゃ飲むから実質カロリーゼロ!!ガハハ!


とめっちゃハイテンションで唐揚げと餃子とレモンサワー専門店でバカ騒ぎした。


酔っ払いながら帰宅したのは0時。当時同棲していた彼氏(元彼)とハイテンションで帰宅。


「さて、手術前日の患者様への手紙読んじゃうか〜」

と内容を見ると

「18時に下剤を飲んで、20時から何も食べないで下さい」

と書いていた。

時すでに遅し、もう0時である。

「なぁ、これうちが明日うんこ出なかったらどうなるん…」

「確か肛門括約筋が麻酔で緩んでうんこ垂れ流しやで」

「ピンチや…(酔いが醒める)」

ひとまず下剤と便が出やすいように水を一気飲みした。

朝7時。ひとまず便は出た。

「いや〜良かった!!」と上機嫌に私は出ていった。

日帰り手術なんていうから美容外科でいうと埋没手術のようにすぐやってすぐ終わって帰れると思っていた。

「終わって帰ったらジム行って〜家事して〜」
と久しぶりの2連休にテンション上がっていた私。

検査着に着替え「じゃあ点滴の針入れますね」と言われた時に「ん?これもしかしてちょこっと的なやつじゃなくね?」と思い始めた。

点滴が始まり、オペ台にうつ伏せに寝る私。

なんせケツがでかいから別の機材でめっちゃケツを広げられた。

「痛てぇ…ケツが裂けそう」

しかし、こんなの地獄への入り口に過ぎなかった。

そしてオペは始まった。

ケツに4回麻酔の針が刺さる。超絶痛い。

そのうち麻酔が効き痛みはなくなった。

うつ伏せで顔を手術台にベタっとつけてるのも苦しいので横を向いていた。

すると物品棚がガラスなので反射して自分の姿が見えた。

「こんな手術するの暫くないし見とこう」と眺めていた。

するとケツから要らないケツ肉(痔)がボロンと出てきた。

「ぎゃー!!痛そう!!」

と思いやっぱり目を瞑ることにした。


20分程でオペは終了。

肛門部に止血の為のガーゼの塊をテープでガチガチに固めて貼られ

「午前診が終わるまではここで休んでください」
とベッドルームへ案内された。

「朝からなんも食べてないから腹減ったな〜」

と彼氏にLINE
「ピザ食べたい。1時頃帰る。宅配は高いから注文して取りに行って」

と連絡した。そして眠くなって寝た。


1時間後目が覚めた。

麻酔の切れた。
メスでケツ肉を切り取られた後の肛門は激痛だった。
さらに加えて下剤を飲むのが遅すぎた。まだ下剤が効いていたのである。

私の肛門周囲で争いが起きていたのである。

うんこ「出ますよ〜」

肛門「無理無理無理!!今ガーゼで栓されてるし!!切られたばっかだから清潔にしたいし無理無理!!」

肛門痛と腹痛で私はうずくまって苦しんだ。
完全に身から出た錆である。



なんとか腹痛の波が収まった後、無事退院となった。

歩く度に肛門が痛い。こんなに痛くて大変だったなんて知らなかった。

私は駅のど真ん中で突然去勢手術を受けさせられた猫のような顔をしてがに股で歩いていた。

そして無事帰宅。

が、マンションのエントランスに入った途端、腹痛の波がまた押し寄せた。

ドアを開けようとすると開かない。彼氏はピザを取りに行ったからだ。カギも見つからない。

「なんでピザ取りに行ったんだよコンチクショウ!!」

私が頼んだからである。

まじでうんこ漏らすかと思った。

25歳女性、看護師
医療従事者と思えぬコンプライアンスの悪さでうんこを漏らしそうになる。絶体絶命だ。

なんとかドアをこじあけトイレに座ろうとするが止血のテープが固くて取れない。

ここで無理矢理感剥がすとおしりにバツ印の皮膚トラブルができる…それがAVとして世に出たら…やばい、やばいぞ!!!俺!!


と、慌てながらもゆっくりと剥がした。


なんとか間に合った。

よく「手術の後の初めての便は緊張した」という話を聞くのだかそれどころではなかった。

腹痛も収まり安堵の表情を浮かべる私。

先生に最後に「トイレの後は肛門部を清潔にする為ウォシュレットで洗って消毒してね」と言われた事を思い出した。

普段ウォシュレットは使わないタイプである。使うのは彼氏位だ。
「いや〜ウォシュレット付きで良かった〜」とおしりモードのスイッチを押した。


するとなんということでしょう。
彼氏だけが愛用するウォシュレット

「最強モード」で普段使用していたようだ。


「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!」

術後4時間しか経っていない肛門に最強モードのウォシュレット。

私は地獄を見た。いや、天国に逝きそうになった。

「ただいまー!!ピザ貰ってきたよー!!」
と声が聞こえる。

「ゴラァァァァァ!!!お前!!トイレのウォシュレットは普通モードに戻しとくのが常識やろうが!!!!」

デビュー作までの道のりはまだまだ遠そう。

そう思った9月某日であった。


おわり!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?