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【ドラマを執筆の手順④】ドラマの構成を固める

前回の【手順④】では、ドラマに執筆する「エピソード」に関する記憶を掘り返し、時系列順に整理しました。「あとは執筆するだけ!」と意欲が湧いてきた方も多いかもしれません。
 
ですが、ここから一気に文章を書くとなると気合のみが頼りです。勢いによる執筆は、文章の方向性を失う原因にもなりがち。
 
そこで本記事では、文章を執筆するときの構成の考え方について紹介します。言い換えれば、執筆するドラマ全体のイメージが出来上がる工程です!

1. アークカイブは【三幕構成】を採用

さっそく構成を考えていきたいところですが、その前に一つだけ補足点があります。それは、構成を考えるうえでアーカイブは【三幕構成】を採用していること。
 
【三幕構成】は、その名の通り、3つのパート(【第一幕】、【第二幕】、【第三幕】)に分けて考えます。
 
3つのパートに必要な内容を含めることで、ドラマのストーリーが自然と出来上がります。プロの脚本家も採用している万能フレームワークになります。
 
そんな【三幕構成】について、アークカイブ流の使い方を紹介します!

2. 【三幕構成】とは

まず、【三幕構成】の各パート(【第一幕】、【第二幕】、【第三幕】)に記載する内容は次のとおりになります。

つまり、【三幕構成】を一言でいえば、

最初に「エピソード」当時の自分や周囲の状況を説明し、そこから「エピソード」が起きてから終わるまでを記載。最後に「エピソード」を通じた自分なりの「趣旨」で締める。
 
になります。とてもシンプルです!

3. 【三幕構成】の使い方

ここからは、【三幕構成】の使い方を具体的に紹介していきます。本記事の例を参考にして、読者の皆さんも進めていきましょう↓

3.1.「エピソード」の記憶を【三幕構成】に当てはめる

まず手始めに、【手順③-2.】で行なった「掘り返した記憶を時系列順に並び替える」作業を活かし、「エピソード」の記憶を構成の各パートに当てはめていきましょう。↓

コツは、実際のドラマ文章の全体像をイメージすること。「この記憶について書いたら、この場面を描写しよう・・・」と、流れを考えながら記憶を各パートに割り振ります。このとき、ドラマ文章に不要だと思う記憶は、構成に含めず除外しましょう(赤字)。

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(<※補足>最初は各記憶を【三幕構成】のどのパートに分類すれば良いか迷う方もいるかもしれません。あるいは、記憶を除外すべきかためらうこともあるでしょう。そんな時は考え過ぎなくてもOKです!後からいつでも修正が効きますので、まずは直感を頼りに進めていきましょう。)

3.2.【第一幕 前半】 「エピソード」が起きる前の自分や周囲の状況を考える

「エピソード」の記憶を【三幕構成】に当てはめてみたところで、すでに構成の大半が完成したようにも見えます。ただ一つ注意点として、このままでは「エピソード」についていきなり書き出すドラマ文章になってしまいます。
 
これでは、あなたのドラマを目にした読者を置いてきぼりにするでしょう。演劇で例えるなら、ナレーションが無いまま役者による芝居が進んでいく様な状態。
 
そこでまずは舞台装置となる当時の状況について整理をし、ドラマ読者が文章に入り込みやすい状況を整えましょう。
 
具体的には「5W1H」の考え方を使いながら、「エピソード」が起きる前の自分や周囲の状況について整理。その内容を【第一幕 前半】に記載し、最初にドラマの舞台装置が目に入るようにしましょう。

<※補足>「5W1H」は、「when(いつ)」、「where(どこで)」、「who(だれが)」、「what(なにを)」、「why(なぜ)」、「how(どのように)」の頭文字を取った過不足が生じにくい情報整理の考え方。これらの質問を自分に投げかけたのち、しっかり抑えることで、読者にとって理解しやすい文章になります。)



<具体例>
【エピソード】
(フィリピン留学でお世話になった)ホストファミリーの家はお風呂からお湯が出なかったものの、わざわざお湯を沸かして準備してくれた(【手順②-3.】で決定)
 
では、ここからはドラマ読者のため、この具体例の「エピソード」を取り巻く「5W1H」を整理していきます↓
 
【when(いつ)】 フィリピン留学はいつ頃行き、期間はどの程度だったのか?「エピソード」は到着していつごろ起きたのか?
【Answer】
・高校一年生の夏休みに行き(2012年の8月)、数週間ほどの留学期間だった
・飛行機でフィリピンに到着後、そのままホストファミリーの家に滞在し、その初日の夜にエピソードの内容は起きた
 
【where(どこで)】フィリピン留学中は主にどこで過ごしたのか?お世話なったホストファミリーの家はどんな所にあったのか?「エピソード」のシャワーは家のどの場所にあったのか?
【Answer】
・ホストファミリーの家で衣食住を過ごし、昼間は学校、休日はショッピングモールなどで過ごした
・ホストファミリーの家は、市街地の裏通りの住宅街にあった
・シャワーは家の3階にあった
 
【who(だれが)】フィリピン留学には誰が行ったのか?ホストファミリーの家と宿泊したメンバーは誰だったのか?「エピソード」の内容に絡んでいた人物はだれか?
【Answer】
・私を含め、学校の同級生や先輩合わせて6人で留学に行った
・ホストファミリーの家に滞在したのは私・同級生1人・1個上の先輩1人の合計3人
・エピソードの内容に絡んでいた人は、滞在していた日本人留学生3人・ホストブラザー・ホストシスター
 
【what(なにを)】フィリピン留学で何をしていたのか?ホストファミリーの家では何をしていたのか?
【Answer】
・留学の目的は現地の学校にホームステイ先から通い、異文化に触れること(英語能力の向上も)
・ホストファミリーの家では歓迎会をしてもらい、ときにはカードゲームやカラオケもした
 
【why(なぜ)】なぜフィリピン留学に行くことになったのか?そこでなぜホストファミリーの家でお世話になることが決まったのか?
【Answer】
・フィリピンには姉妹校があり、毎年留学生を募集していた
・自分の姉が以前留学したことがあり、自分の将来を変えうる貴重な経験ができるかもとのことで真剣に応募してみた
・学校側で生徒に安全な留学をさせるため、姉妹校の生徒の自宅で留学中は滞在することになった。留学担当の先生が、留学生をそれぞれのホストファミリーの家に振り分けた
 
【how(どのように)】どのようにしてフィリピン留学に行くことが決まったのか?どのようにして留学中は過ごしたのか?
【Answer】
・留学に応募をして、面接と小論文テストで留学生が選出された(募集人数に対して2倍ほどの応募があった記憶が)
・ホームステイ先のホストファミリーと衣食住を共に過ごした



<※補足>「5W1H」で自分に投げかける各質問は、あなたのことを知らないドラマ読者の目線に立って考えます。最初はこの客観的な視点に立つことが難しいので、できる範囲で進めていく感覚でOK。他の方のドラマを参考にしつつ、徐々に客観的な視点を磨いていきましょう!)
 
それでは「5W1H」について出揃った回答を要約し、【第一幕 前半】に追加します↓

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(<※補足>なお、ここでは構成を固めるために深掘りした「5W1H」の内容を要約しましたが、詳細はドラマ文章を書く際に使用します。)

3.3.【第三幕 後半】「趣旨」を当てはめる

ドラマ文章の構成を考えるうえで、最初と最後がとにかく肝心。さきほど最初の【第一幕 前半】の内容が決まったので、ここでは最後の【第三幕 後半】をおさえましょう。
 
復習になりますが、【第三幕 後半】はドラマ文章のまとめを記載する箇所。簡単にまとめる方法として、【手順②】で考えたドラマの「趣旨」をそのまま持ってくる方法があります。

<※補足>アークカイブがオススメしているドラマ文章の「趣旨」のまとめ方は次の通りでした↓(【手順②-4.】を参照)


『Aは、Bを通して、Cだ。』

A:自分(自身、の家族、の人生、の価値観、との関係、などの主語)
B:エピソード
C:思い(思ったこと、考えたこと、感じたこと、気がついたこと、など)




<「趣旨」の具体例 >
A: 私は、
B: フィリピンでのやかんのお湯のエピソードを通して、
C: 困っている人がいたら可能な限りその人のために行動し、助けたいと思った



この【手順②-4.】で決めた「趣旨」を【第三幕 後半】に追加します↓

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4. 【三幕構成】のなかで不足している内容を補う

さて、ここで一度

  • 3.1.「エピソード」の記憶を【三幕構成】に当てはめる

  • 3.2.【第一幕 前半】 「エピソード」が起きる前の自分や周囲の状況を考える

  • 3.3.【第三幕 後半】「趣旨」を当てはめる

の内容をまとめてみましょう。すると、このようになります↓

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ここまでの手順を通し、構成の内容が十分に固まったと感じた読者も多いと思います。一方、構成の内容が未だ曖昧に感じてしまう読者もいるかもれしれません。
 
もしあなたが後者の場合、要因は【手順③-1.】で「エピソード」の記憶を十分に掘り返せていなかったことにあるかもしれません。
 
具体的にどういうことか?詳しくは、さきほど完成した構成の内容を確認しながら解説します。
 
では、構成を通し読みします。すると、【第二幕 後半】で、ホストブラザーがお湯を運んでくれた後、【第三幕 前半】で、いきなりその様子に感動した構成となっていることに気がつきます。これらの間に、お湯を浴びたときのことを記載する方が自然でしょう。つまり、現時点で【第三幕 前半】の内容が不十分と言えます。
 
一見すると「あれ!?どこかで手順の考え方を間違えたか?」と焦るかもしれませんが、全く問題ありません。こんなときは【手順③-1.】で行なった内容を見返します。そして同じ要領で、不足している「エピソード」の記憶を掘り返し、構成に加えればOK↓(赤字で追加)

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どうでしょうか?簡単に構成の内容を充実させることができ、ドラマ文章の全体像も固まりました。
 
以上、ここまで本当にお疲れ様でした。構成が決まったところで、いよいよ実際の執筆作業です!構成内の項目(当てはめた記憶)からドラマ文章が成り立つように、記憶の詳細や前後の繋がりを補いつつ、執筆していきましょう。
 
本記事の例から執筆されたドラマを載せましたので、ぜひ参考にしてみてください↓

( ドラマ「やかんのお湯が教えてくれた思いやりと優しさ」)

すでに執筆が待ちきれない方は、ぜひドラマを書きはじめてください!
 
なお、文章を書き慣れていない方に向け、ドラマの「大事なポイントを詳細に書く」方法について【手順⑤】で解説しました。気になる方は是非見てみてください。

<補足説明> ドラマの執筆に慣れたら【手順②】と【手順④】だけでもOK

ここまでの【手順①〜④】までお疲れ様でした。「ドラマの執筆のたびにこんなに大変なのか?」と感じた方もいるかもしれません。
 
結論から言えば、「徐々に簡単になるので安心してください!」という答えになります(笑)
 
というのも、【手順①〜④】はドラマの執筆方法をかなり詳しく説明していたため、慣れれば簡略化できる箇所も出てきます。

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そもそも「文章を執筆する感覚」は人によって異なるため、他人と共有することは難しいでしょう。特に、書く内容を「脳がどのように捉え」、「どのように書き出しているか」を表現することは不可能に近いといえます。
 
そこでアークカイブでは、「ドラマの思い出を掘り下げる深さ」だけは読者の皆さんとしっかり共有したいと考えました。なかでも【手順①】と【手順③】は「思い出の深さ」を分かりやすく補完する意味で記載された記事となっています。そのため、慣れれば【手順②】と【手順④】を意識するだけでドラマが書けるようになるでしょう。
 
たとえば、
慣れによって、ドラマに記載する「エピソード」と「趣旨」が頭の中で整理できるようになったとします。
すると、「趣旨」を要約するフレームワークから、以下の「A」・「B」・「C」の内容が自然に決まります↓(【手順②】の内容)


『Aは、Bを通して、Cだ。』

A:自分(自身、の家族、の人生、の価値観、との関係、などの主語)
B:エピソード
C:思い(思ったこと、考えたこと、感じたこと、気がついたこと、など)



あとは決定した「A」、「B」、「C」を【三幕構成】に当てはめるだけで、ドラマの全体像が出来上がります(【手順③】の内容)

今後ドラマの執筆に慣れてきたら、このような手順で執筆過程の簡略化に挑戦してみてください!

【手順⑤】大事なポイントを詳細に書く

募金していただいたお金は、自伝を未来に届けるために使わせていただきます。この度は心よりお礼申し上げます。