国家財政を考えてみよう その4 アベノミクスを振り返る① 行政の長が中央銀行の仕事を自分のものかに言う愚

現在の財政を考えるうえで避けて通れないのは「アベノミクス」でしょう。

ではアベノミクスってなんだったのでしょうか?首相官邸の公式ホームページでのアベノミクスの定義を読んだことがある人、どれくらいいるのでしょうか?

アベノミクス「3本の矢」 | 首相官邸ホームページ

第1の矢 大胆な金融政策:市場のお金を増やしてデフレ脱却!金融緩和で流通するお金の量を増やし、デフレマインドを払拭

第2の矢 機動的な財政政策:政府支出でスタートダッシュ!約10兆円規模の経済対策予算によって、政府が自ら率先して需要を創出

第3の矢 民間投資を喚起する成長政策:規制緩和でビジネスを自由に!規制緩和などによって、民間企業や個人が真の実力を発揮できる社会へ

https://www.kantei.go.jp/jp/headline/seichosenryaku/sanbonnoya.html

これを見て、何か変だな、と思いませんか?私は思います。

財政や規制緩和は行政が立案することなので首相官邸が語っても良いと思いますが、金融緩和は中央銀行・日銀がやることであって、日銀の政策を首相官邸が公式に表明することは、日銀の独立性を定めた日銀法に触れる違法行為・越権行為ではないのでしょうか?

国会(立法)は総裁の指名・承認という点でだけ唯一日銀に関与できます。しかし日銀に対して政府(行政)が公式にとれる行動は、何もないはずです。にもかかわらず、首相官邸という行政機関の公式ホームページで、中央銀行の権限範囲のことを政策として掲げているのはとても不思議です。

しかし、このことを大きな声で指摘した例を一般のマスコミで私は見たことがありません。アメリカでは、いや日本でも、トランプ大統領がFRB議長の発言を批判するだけで、マスコミで大バッシングが起きます。それなのに日本ではアメノミクスの第1の矢を安倍首相が語ることに批判はおきません。本当に不思議でした。

しかしその後の安倍政権7年間で分かったことは、安倍首相・安倍政権は三権分立や中央銀行の独立性を無視した行為を繰り返すということです。その最新版は「桜を観る会」でしょう。行政府の行事に、国会議員の推薦枠があること自体が、もう完全な出鱈目です。行政と立法の境目が無視されている、または分かっていない行為です。

安倍首相は「私は立法府の長」と発言しています。出鱈目もいいところです。首相・総理大臣は行政の長であって、立法府の長ではありません。しかし、安倍首相の発言や行動を見ていると、三権分立が無視されている行動があまりにも多い。私は今では安倍首相は三権分立を無視しているのではなく、三権分立を理解していない人なのだと感じています。

アベノミクスの中身を見る前に、大脱線して長々と書いてしまったので、安倍首相は三権分立を理解していない、という点だけ確認してこの稿つづく、とします。

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