国家財政を考えてみよう その9 「国の借金1100兆円超、国民1人当たり871万円」の嘘①

「国の借金1100兆円超、国民1人当たり871万円」2019年2月9日注目記事:NHK政治マガジン
https://www.nhk.or.jp/politics/articles/lastweek/14051.html

上記のような記事、マスコミでも、あるいは政治家の言葉からも、頻繁に見聞きします。でもこれ、本当なのでしょうか?

日本では国民が主権を持っているので、主語を「国」とするなら、それは政府だけでなく官民合わせた全国民のことであるはずです。その「国」に借金があるということは、「国」の外、つまり外国からお金を借り越しているという意味になります。では日本は外国からどれくらいお金を借りているのでしょうか?

平成30年末現在本邦対外資産負債残高の概要 : 財務省
https://www.mof.go.jp/international_policy/reference/iip/2018_g.htm

上記リンク財務省の公表数値では、平成30年末の日本の対外負債残高:676兆4,820億円(対前年末比▲7兆5,800億円、▲1.1%)となっています。同じ年の日本の総人口は1億2644万3千人と公表されているので、国民一人当たり534万円の借金です。あれれ?NHKの記事と数字が違います。

さらに同じ財務省のページには対外資産残高も掲載されています。それによると平成30年末の日本の対外資産残高は1,018兆380億円(対前年末比+4兆6,740億円、+0.5%)となっています。これは日本が外国に持っている(預けている、または貸している)資産の総額です。日本は国民一人当たり805万円の資産を外国に預けている(または貸している)ことになります。

これを差し引きすると、日本の平成30年末の対外純資産残高は341兆5,560億円(対前年末比+12兆2,540億円、+3.7%)で、国民一人当たり270万円の資産を外国に預けている(または貸している)ということになります。

この対外純資産残高は、世界的に見るとどれくらいの立場なのでしょうか?

日本が一番の対外純資産保有国…世界全体で対外純資産額の実情をさぐる(2019年時点最新版)
https://news.yahoo.co.jp/byline/fuwaraizo/20190106-00110053/

数字が一年ずれますが、上記リンク記事のグラフを見れば、一目瞭然。日本の対外純資産は世界一です。つまり日本という「国」は世界一の金貸し国なのです。日本の国に借り越しという意味での純粋な借金などありません。

政治家やマスコミがしばしば囃し立てる、増税しないとハイパーインフレや円の暴落が起こるというのは、全くの出鱈目だということになります。

何故なら、日本国内で資金が窮乏したら、外国に預けてある資産を円に換えて日本に返してもらえばいいからです。その時には「円買い」が大量に発生するので、円暴落どころか円高圧力になるのです。対外純資産が世界一ということは、通貨暴落に対するリスクが世界一低いということです。

通過暴落を伴わないハイパーインフレなどあり得ませんから、日本は世界一ハイパーインフレが起こりにくい国ということです。

さらに言えば、リンク内グラフの通り、世界一の借金大国はアメリカです。しかもアメリカには(国税としての)消費税はありません。でもドルの暴落もハイパーインフレも起きていません。それどころか空前の好景気です。

こうして見れば、主語を「国」としている冒頭のNHK記事のような記述は、全くの出鱈目であり、デマゴーグであることが確認できます。

また、増税しなければ円の暴落とハイパーインフレが起きる、という政治家やマスコミや(えせ)識者の言説も、すべて出鱈目だということになります。

日本国は借金まみれというのは真っ赤な嘘。日本は世界一の金貸し大国というのが正しい事実、ということを確認して、さらに続きます。

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