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国家財政を考えてみよう その17:潜在的国民総負担率の国債比較の意味するところを考えてみよう

先週、財務省が、国民や企業が所得の中から税金や社会保険料をどれだけ払っているかを示す令和3年度の国民負担率が48・0%となり、過去最大になるとの見通しを発表した、と報じられた。

3年度国民負担率48・0% 財務省推計、過去最大:産経新聞 https://www.sankei.com/article/20220217-J5X264AVBRLARD2IAUXAXBEB5E/

財務省は国民負担率の国際比較も発表していて、令和3年度は未だですがコロナ禍以前の元年度の負担率44・4%に対応する国債比較は下記リンクの通りです。

国民負担率の国際比較:財務省
https://www.mof.go.jp/policy/budget/topics/futanritsu/sy202102b.pdf

この国債比較のグラフから読み取れることがいくつかある。

日本の国民負担率は欧州諸国より低く、アメリカより高い。いわゆる中負担中福祉となっている。
しかし日本は国民負担だけでは賄いきれず、財政赤字が発生しており、その分を含める「潜在的国民負担率」は56.5%となり、イギリスやドイツより高くなる。
財政赤字分は2018年から2020年への変化でも増加している。

私が見聞した複数の「識者」の解説では、財務省はこのデータを示すことで、他国に比べ日本の財政赤字が大きいことを問題だと広め、増税・社会保険料値上げの根拠を終止させようとしているのだ、という趣旨が多かった。

でもこのデータが示していることは、本当にそういう意味なのだろうか?

財政赤字分というのは、主に国債で賄われている。

国債の買い手は日銀及び国内の金融機関が全体の9割程度を占める。

国内の金融機関が国債を買う原資は、日本企業や個人の資産である。金融機関に預金を積み上げている企業や個人は、即ち資金に余裕のある大企業や、個人の富裕層である。

つまり、財政赤字とされている部分は、個人企業合わせた富裕層の余剰資金で賄われているわけだ。

だとしたら、これこそが合理的な富の再配分であると考えられるのではないか?

岸田政権や、日本の「識者」が言う再配分は、大企業や富裕層に対して増税して貧困層に配るというもの。しかしそれを実行すれば大企業も富裕層も節税の手段を講じるだろう。増税と税逃れのいたちごっこが始まるだけだ。そんなことをするより、むやみに増税などせず、資産を金融機関に積み上げてもらって、それを原資に国債を買ってもらった方が、合理的な富の再配分だと考えられるのではないだろうか?

そう考えれば、この国際比較が示していることは、無闇な増税よりよほど合理的な資金繰りを日本が実現できている、ということであるように思える。


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