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「本と絵画の800年ー吉野石膏所蔵の貴重書と絵画コレクション」展へ

練馬区立美術館で開催されている展覧会へ閉会ギリギリ(ギリギリ多いな^^;)滑り込んできました。

「オトナの美術研究会」のメンバーの方々もお出かけになっていて気になっていた展覧会。しかも、現在わたしはcourseraで中世装飾写本の講義を受けているので、行かないでどうする⁈案件でした。英語講義と課題調べに悪戦苦闘で時間は惜しいがやはりこれを逃す手はない、ということで初めて練馬区美術館へ出かけてきました。

シャルル・ペロー『眠れる森の美女・赤ずきん:ふたつの寓話』から
リュシアン・ピサロの原画・装飾/会場入口


展覧会の構成は、
第1章 ヨーロッパ中世・ルネサンスの美しい本の世界
第2章 近代における書物:美しい本が芸術となるまで
第3章 本と絵画でみる日本の芸術


約200点におよぶ展示作品はどれも見応えがありました。
大半が吉野石膏所蔵の作品でしたが、大学所蔵の写本の零葉もいくつか展示があり、わたしの学んだ大学からも10点ほど出品されていました。
第1章はほぼ撮影可能だったのですが、撮影不可だった東京大学の文学部美術史学研究室所蔵の『ボルソ・デステの聖書』の複製は、大型で装飾も豪華でこれぞ装飾写本という印象で、見られてよかったです。複製とはいえ、限りなく忠実に再現された高度な印刷技術によるものはかなり高額でコレクションするのは大変だったりします。

装飾写本やインキュナブラといわれるグーテンベルクに始まる活版印刷揺籃期の書物は大変貴重なため、なかなかみられる機会がありません。
大学在学中、図書館内の小さな展示室でたった4日間だけグーテンベルクの『42行聖書』を見る機会があってそれ以来写本に興味を持っているのですが、大学が所蔵しているからといって学生がいつでも気軽にみられるわけではありませんでした。

ちょうど貴重書閲覧についてはcourseraの講義にもありましたが、日時と閲覧したい資料を指定予約して、手順に則って閲覧する必要がありますし、一度に見られる点数も限られています。
展示会としての企画も多くはないため、ガラス越しとはいえ多数の貴重書をみられて、しかも撮影許可もあってありがたかったです。

いくつか撮影したものを紹介します。

時祷書 零葉:聖セバスティアヌス
1435年頃 吉野石膏コレクション
聖務日課書 零葉
1480年頃? 吉野石膏コレクション
時祷書 零葉:ダヴィデ王
1475年頃 吉野石膏コレクション
時祷書
1480−90年頃 慶應義塾図書館


また、15世紀の写本をもとに複製された写字台も展示されていました。
約60度の傾斜がつけられた台はペン先のインクの流れと姿勢の負担軽減にちょうどよいそうです。

写字台 Medieval Scribe’s Desk(Replica)
慶應義塾図書館


装飾写本に使われる道具やフラ・アンジェリコの祭壇画複写作品の展示もありましたが、このあたりについてはあらためて記事を書きたいと思っています。
フラ・アンジェリコのいたサン・マルコ修道院にある図書室はかつて写字生たちが写本した空間ですがフィレンツェで撮った写真とともにまとめてみたいと思っています。

おまけ。
先日の国立西洋美術館(4点の零葉が展示されていました)で購入した葉書と本日購入したクリアファイル。

持ってるだけでテンションアガル!



会期は2023年4月16日までです。
気になるなら、ぜひお出かけしてみてください!

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