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美しきシモネッタ展へ

丸紅ギャラリー会館記念第3回展『美しきシモネッタ』展へ行ってきました。

サンドロ・ボッティチェリが描いたイタリア・ルネサンス期を生きた一人の女性、シモネッタ・ヴェスプッチの肖像画たった一枚だけの展覧会。

西洋美術作品において過去には1964年に《ミロのヴィーナス》、1974年に《モナ・リザ》、1999年に《民衆を導く自由の女神》の三作品が、それぞれ一作品のみで展覧会が開催されたそう。

今回のボッティチェリの《美しきシモネッタ》一作品での展覧会は実に20年以上ぶりということなんですね。しかも、ボッティチェリの作品群には《ヴィーナスの誕生》や《プリマヴェーラ》といった知名度の高い作品がある中で、この《美しきシモネッタ》だけで展覧会を構成することそのものにわたしは惹きつけられました。

つまり、日本の鑑賞者の目が確実に深く養われている証左である!と。

ごめんなさい!上から目線すぎ。
でもね、展示内容と図録の内容は、まさに美術史を学ぶ学生が卒論を執筆する時に必要とする基礎知識であるし、一つ一つのトピックはそこからいくらでも掘り下げられる宝の山であり。文献から文献へと何時間だって浸っていられる恍惚ゾーンへの案内書みたいなものです。図録とは、美術史学徒にとって眺めるもの、愛でて楽しむ以上に読み尽くして血肉にすべき文献なのです。

たった一枚の絵画から広がる世界。こうした展覧会にみんなが足を運ぶってほんとに素敵なことだと思うのです。

さてさて、《美しきシモネッタ》展をあとにしたわたしは、そのまま図録を片手に大学図書館へ直行!
真贋騒ぎで取り上げられた八代幸雄著『サンドロ・ボッティチェルリ』の該当箇所を早速読みました。講義でボッティチェリを扱った時に読んだことがあるんですが、新しい視点が加わって新鮮に読み返せました。こういった、なんていうか、連鎖反応が楽しい。


今回の展覧会だけでもいくつか書けそうですが、小分けにして手に負える範囲でおいおい記事にしていけたらいいなと思います。

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