信者から見た陰謀論1|別世界
信者には何が見えているの?
同じ景色を見ても、視点を変えると全く違った景色に感じることがある。
陰謀論にハマった信者には、信者以外には見えない世界が見えているのでしょうか。信者個人の視点に立って陰謀論にハマるプロセスを考えてみます。
信じる理由がある
陰謀論者は信者が外部の情報と接触することを許しません。
教義を疑わないように世界は危険だと警告します。
「新聞、テレビの言うことは、嘘だ」
「悪の組織に企業や行政や警察も操られている」
「凶悪な連中が暴力で服従させようとしている」
「世界が危険にさらされていて、我々だけが真実を知っている」
「我々が世界を守らなければならない」
このような発言を何か月も続けている人がいたら、妄想が激しい人だなと思いそうなものですが、それは事後的に、客観的に現実と陰謀論を比較できる状況にいて、初めて気づくことです。
情報源の選択肢を限定されると、客観的視点を奪われてしまいます。
陰謀論者のメッセージには、情報を限定する誘導が含まれています。
「他のメディアを信じるな」
「外部の人と接触するな」
「我々の仲間になれ」
予防線を張る
信者が外部の情報に触れれば、説明の矛盾に気づいてしまう。
信者が離脱しないように事前の予防線として、陰謀論を批判する人たちを
悪の一員に認定します。
信者が批判的な意見に触れる前に「悪は我々を黙らせようとしている」
という先入観を刷り込むことで、SNS上のやり取りを見た時、信者には
本当に敵対勢力との情報戦が行われているように感じられます。
批判と言っても実際は、おかしなことを言う人に注意をしているだけです。「デマを流さないで」
「誹謗中傷しないで」
「迷惑行為をしないで」
このような指摘が先入観で歪められて、信者にとって別の意味を持ちます。
「真実をばらすな」
「反抗するな」
「抵抗するな」
信者からすれば批判的な意見を持つ人が全員、悪党という陰謀論者の言った通りの世界が見えます。自身の経験によって警告が証明された。自分たちだけが正しい情報を知っていると勘違いし孤立した環境に入り込んでしまいます。
「こんなに攻撃されているのはおかしい」
「こんな大問題を新聞、テレビが報道しないのはおかしい」
「実際に危機が迫っている」
信者は、陰謀論そのものに確証がないことは理解しているのに、
先入観を打ち消す情報にアクセスできず、偏った情報源に依存します。
陰謀論への批判を見かけたり、自分が批判される側になることで
信念をより強固にするのではないでしょうか。
まとめ
陰謀論にハマる原因として信者の属性や認知能力の問題が考えられますが、
それを理由に、信者を批判してしまうと逆効果が生じるように思えます。
信者からは異なる世界が見えていると考えれば、外部の意見に対し
聞く耳を持とうとしない態度に説明がつきます。
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