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タイパ至上主義の今だから、演歌に勝算があるのではという話

ここ数年、イントロのない曲が増えているそうで。どうやら、サビまで待てない人が多いのだとか。クリックひとつで、いくらでも次の曲が聞けるのであれば、早い段階で曲の良しあしを判断したい気持ちはよく分かる。

だとすれば、イントロもカットして、いきなりサビから始まる曲が増えるのも仕方ないといえば仕方ない。タイパ至上主義な今だから。

ポップスのヒット曲を思い浮かべるとき、ほとんどがサビのフレーズ。一方で、演歌や歌謡曲のヒット曲を思い浮かべるとき、ほとんどがAメロの、つまり出だしの一節ということは多くないだろうか。

例えば、一年おきに大晦日に歌われるあの歌。

♪上野発の夜行列車降りた時から 青森駅は雪の中

津軽海峡冬景色

昨年亡くなられたあの人のヒット曲も。

♪お酒はぬるめの燗がいい 肴はあぶったイカでいい

舟唄

お酒にまつわる歌なら、この歌も。

♪飲ませてくださいもう少し 今夜帰らない帰りたくない

氷雨

子供の頃は古臭いなんて思っていた演歌や歌謡曲。何十年経った今でも口ずさめるのは、きっと出だしの一節の強さなのだろうなと思う。ここが決まれば、あとは最後まで一気に引き込むことができる大切な一節だから。

そんな、出だしで勝負が決まるこのジャンル。さすがにイントロをカットできないものの(する必要もない)、タイパ至上主義な今にハマらないだろうか。

TikTokで倍速で再生されたり、みんなで踊ったり。それがベストな形とは言わないけれど、何かきっかけをつかめれば、ヒットが生まれるだけのポテンシャルがあると思うのだけれど。


演歌が特別好きな訳ではない自分でも、このままだとまずいのではと思ったのは去年の大晦日。

毎年恒例のけん玉チャレンジはもちろん、寒空の下で裸の芸人と歌ったり、QRコードの衣装で配信サービスの宣伝ついでに歌ったり、ドミノが倒れる中ワイプで歌ったり。

さすがにこの扱いはいかがなものかと。そんな今だから、ヒットが生まれて見返してほしい。本当に。


かつての自分がそうだったように、古臭いなと聞き飛ばしていた曲が、何十年経ってその良さを知ることもある訳で。それはきっと、色々なジャンルが満遍なくヒットして、耳にする時代だったからなのだろうなと。

好きなジャンルで好きな曲だけ、という聞き方も決して悪くない。だけど、後になってから「あれ?この曲いいかも」と思うことも少なくないので、もっと色々なジャンルに触れる機会が増えてほしい。

タイパとは矛盾するけどね。

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