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子どもを授かることは奇跡みたいなものだと、誰か教えてくれたっけ?

子どもができてしまうことが怖かった。
本当は今でも怖いのだけど、昔話をしようと思って過去形で話を進めている。

高校に入るときに母が提示した約束事のひとつか「子どもは作らないこと」だった。そんなこともあって、子どもを授かると自分の人生が変わってしまうことはなんとなく予感していた。母もきっとわたしを腹に宿してから人生が自分のものではなくなってしまったと感じている。だから、妊娠しない方法については知識を得ていたつもりだ。

でも一方で、いざ子どもを授かりたいときにはどうしたらいいかなんて考えたことがなかった。だいたいの人が結婚をすると子どもを授かっていたように、避妊をやめたら自分も同じように人生を進めることができると思っていた。まわりの友達も会社の人も、テレビの中の人だってそうだったから。

現実はそんなにかんたんではなかったらしい。

そもそも排卵日の付近、つまり28日のうちの数日しか、月に1回程度しか妊娠できるタイミングがないなんて考えてもいなかった。深く考えたこともなかったのだ。なんで気づかなかったんだろう。だれか教えてくれたのかもしれないけれど、わたしには関係ないと思っていたのかもしれない。

そしてさらに、生理管理アプリの範囲外に自分がいると知ったのは、割と最近のことだ。

振り返って、来た道を眺めて、随分遠くに来てしまっているんだなと途方に暮れている。

とはいえ、結婚してもしばらくは子どもがほしいと思えなかったし、夫の病気のこともあって本気で子どもがほしいという気にもなれずにいたのも事実。

もう少し早く気づいていたら、なんて思うけれど、あのころの自分は子どもがほしいとは思えなかったんだから、今がタイミングだよと言い聞かせているところ。

ジレンマに挟まれて動けないのは、今も昔も一緒なのかもしれないな。

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