鴨井 / kamoi

日常に溶けて彷徨っています。幼少期のあれこれに今さら向き合ったり、背を向けたり。子ども…

鴨井 / kamoi

日常に溶けて彷徨っています。幼少期のあれこれに今さら向き合ったり、背を向けたり。子どもがいない生活をするはずだったのに妊娠したり。

マガジン

  • 母になるのかも日記

    30代折り返し。母になってしまうのかも、という気持ちをぽつぽつ綴ったnoteです。

最近の記事

都落ちするかもしれない妊娠21週目

この1週間で状況がどんどん変わっていく。 先週の、いや今週前半までのわたしは「引っ越すほうがコストだから」という無職になった夫の言葉に「それもそうだな」と納得して、今の家が狭くても家賃が高くても、無痛分娩ができるこの街の産院で産むと改めて覚悟を決め直していた。その前に上司に相談していた「もしかしたら地元に帰るかも」が杞憂で終わりそうだなあ、それならばこの街で保活はどうするべきかなあ、と悩んでいたところ。 それがどうだろう。 一昨日に物件を探し、昨日は里帰り出産できそうな病

    • マタニティレギンスを買った妊娠20週目。

      あっという間に20週になった。 この数週間の間に夫が帰ってこない夜が続いたり、夫が無職になったり、出生前診断が陰性だったり、久しぶりに出社したら妊婦だと気づかれたりしていたけれど、気づいたら今日になっている。 妊娠期間もちょうど半分らしい。「あと半分です!」と告げるアプリ画面を見て、これからを思うと頭がパンクしそうだ。赤子を迎えるには狭い1LDKの住まいをどうするかとか保育園どうしようとか固定費下げるとか、考えることは山ほどあって正直仕事どころではない。わからないことが多

      • 人生のプランニングなんか信じられないのよ、でも

        大谷翔平が高校生のときに書いたというマンダラートや人生プランをテレビで見たわたしは、冷ややかな感情を抱いていた。「よく大きな目標を掲げられるなあ。何歳で子どもが産まれるとも書いているけど、男子高校生だから無邪気に書けるんだろうな」と思っていたから。*1 あのような人生プランをわたしは作ったことがない。人生プランを作ったことのある人を何人か知っているけれど、どうして人生という操縦不可能なものをプランニングできると思っているんだろう、そんなのエゴだよ、と話を聞くたび感じていた。

        • とにかくお寿司が食べたい妊娠15週目

          食べたいものがわからない。 普段の食事が楽しくない。 栄養素や食べちゃダメなものを考えたり食べると具合が悪くなったり、そんなことを繰り返しているうちに、自分が食べたいものや食べられるものがわからなくなってしまった。先週までシャインマスカットに救われていたけど、今週は食べる気持ちになれない……みたいなことも続いている。これがわがままなのか、体調のせいなのか、判断がつかないのもあって落ち込む日々。 そんな感じなのに、先週末にふらりと入った牛タン屋で厚切り6枚の牛タンが盛られた

        都落ちするかもしれない妊娠21週目

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          5本

        記事

          不調と抹茶フラペチーノと12週目のわたし

          しばらく間が空いてしまった。妊娠はすでに12週を終えようとしている。そろそろつわりが終わる時期なんだろうけど、何がつわりだったのかわからないし原因が他のことのような、とにかく不調の日々が続いた。頭が痛い日、立ちくらみがする日、とにかく悲しい日。すべてを妊娠のせいにしてしまえば楽なんだろうけど、きっとそうじゃない。じゃあなんなのかと問われても、答えは見えなかった。 調子の戻し方をしばらく考えて、見失った自分の立ち位置0番に戻るための動きを意識的にしている。好きな音楽を聞いてみ

          不調と抹茶フラペチーノと12週目のわたし

          気づいたら妊婦ロードの7週目

          不妊治療クリニックを卒業した。治療をしていながらの感想かよ、とは思うんだけど、こんな形で去るとは思っていなかった。この先も子どものいない生活しか考えていなかったし、その覚悟を固めていた。なのに、いざ看護師さんや先生に「元気に産んでください」と言われるとちょっと目頭が熱くなったし、何度もお世話になった受付担当の方々に最後のいつもと同じ「お大事にお過ごしください」の見送りの中にさよならの雰囲気を感じ取っては少し切なくなった。わたしは本当にその場の感情に流されやすいな。 翌日。い

          気づいたら妊婦ロードの7週目

          妊娠したら、めでたいのだろうかの6週目

          6週目。 心拍の確認でクリニックへ行くと、問題なく心拍は確認できたらしい。多少の胃の不快感を抱えながらも自分が妊娠していることがどうも信じられず「割と順調なんですか?」と聞くと、医師は「普通に順調です」と微笑んでみせた。 そうか、普通に順調。 そう聞いてからも、この胃の不快感とメンタルの弱り具合がホルモンのせいなのか悩んでいる。いつもこのくらいメンタルは弱っているじゃないかと思いながら、わかりやすい妊娠という言い訳がそこにあるので、つい甘えてしまう。 通勤がしんどすぎ

          妊娠したら、めでたいのだろうかの6週目

          妊娠ってなんなんだろうね、という気持ちで5週目

          「体調大丈夫ですか?」 予約していたいつもの不妊治療クリニックに着くと、すぐに診察台へ通された。いつもなら採血して30分待たされてからなのに、というのが素直な感想。看護師さんが冒頭のようにすごく体調を気遣ってくれて、でも逆に体調に変化がなさすぎて申し訳ない気持ちになった。 それから台に乗り、エコー検査。どうやら順調とのことでそのまま終わり、診察で少し話してこの日のクリニックはお会計まで20分もかからなかった。早すぎる。 てっきり時間がかかると思っていたので、拍子抜けして

          妊娠ってなんなんだろうね、という気持ちで5週目

          不妊治療しているけど妊娠するなんてありえないと思っている、思っていたのに

          「妊娠していますね、おめでとうございます」 その言葉を聞いたわたしは拍子抜けしていた。医師の話が耳を滑っていく感覚で、「え? 本当ですか?」を繰り返してみても、どうやら数値はそう物語っているらしい。しかもそこそこ良好な数値らしい。 待合室に戻ってパソコンを開いて仕事をしてみたけどどこか上の空で、モニターでの呼び出しに気づかなかったわたしは直接看護師に呼ばれて予定日などの説明を受ける。それでもどうも自分ごととは思えなかった。え? 本当に? 「まだ全然体調にも現れないので、

          不妊治療しているけど妊娠するなんてありえないと思っている、思っていたのに

          聞きたくなかった話とひとりで抱えられなくなった話

          5回目の移植を終えた後、会社に戻ると何やらこそこそと話す声が聞こえる。どうやら一つ年上で不妊治療を続けていた人が妊娠したらしく、子育て中の社員と話しているようだった。最後の移植で授かったらしい。 おいおい聞こえているよ……と呆れながらも「あの人もあっちに行ってしまったのか」という気持ちと「わたしはどうなるんだろう」という気持ちとで、シンプルに聞きたくなかったなと思っている。シンプルに聞きたくなかった。 わたしは今日が移植日なのに、アルコール依存性の夫は昼まで待っても家に帰

          聞きたくなかった話とひとりで抱えられなくなった話

          4回目の移植を何もなく終えたけど、前に進めているはずだから

          4回目の移植。結果はなし。 クリニックで担当医から話を聞いて、「まあ、わかってはいたけれど」と納得しながら少し傷ついている自分がいた。何に傷ついていたのかは、今も正直わかっていない。心のどこかでまだ母になる自分を想像していたのかもしれないし、こんなに痛い思いを日々しているのに結果が出ないことに虚しさを感じていたのかもしれない。たぶん後者だけど、「あ、わたし今少し凹んでいる」と気づいて驚いていた。 「妊娠できなくて少し凹んでいる」と素直な気持ちを夫に言ってみたら、移植期に入

          4回目の移植を何もなく終えたけど、前に進めているはずだから

          子どもはいらない、とわたしは強く言えなくなってしまった

          「わたし、子どもは全然ほしくないんですよね。時間もお金も自分のために使いたくて」 これはこの前のランチでいくつか年上の女性社員に言われた一言。再婚で今の家庭を築いた彼女に子どもはいない。今の生活が楽しいことは知っていたけれど、語気強めに語られた主張を一身に浴びたわたしは、少し面食らってしまった。 しかし気持ちはわかる。数年前のわたしも同じことを思っていたし、今でもその気持ちを捨て切れてはいない。それでもずるずると不妊治療をしている今のわたしには、「子どもを産まない」とキッ

          子どもはいらない、とわたしは強く言えなくなってしまった

          オンラインカウンセリングを受けてみました

          不妊もトラウマも依存症も仕事も全部ぜーーーんぶもうわからん!!! と爆発しそう! いや爆発していたので、cotreeでカウンセリングを受けました。 申し込むまでの葛藤正直金額も安くはないし、カウンセリングは完全に相性と知っていたので、申し込むまでに相当悩みました。たぶん半年以上は悩んでいます。 悩んでいた理由は、カウンセリングじゃなくていいのではと思っていたから。オードリーの若林さんが「行きつけのスナックをつくりましょう」と言っているのを見ていたので、カウンセリングじゃ

          オンラインカウンセリングを受けてみました

          子どもを授かることは奇跡みたいなものだと、誰か教えてくれたっけ?

          子どもができてしまうことが怖かった。 本当は今でも怖いのだけど、昔話をしようと思って過去形で話を進めている。 高校に入るときに母が提示した約束事のひとつか「子どもは作らないこと」だった。そんなこともあって、子どもを授かると自分の人生が変わってしまうことはなんとなく予感していた。母もきっとわたしを腹に宿してから人生が自分のものではなくなってしまったと感じている。だから、妊娠しない方法については知識を得ていたつもりだ。 でも一方で、いざ子どもを授かりたいときにはどうしたらいい

          子どもを授かることは奇跡みたいなものだと、誰か教えてくれたっけ?

          子どもはいない。トラウマもある。30代を折り返しても、いつも悩んでいるけど

          何から書いたらいいのだろう。 このアカウントを立ち上げて、最初にどんなことを書いたらいいのかと考えている間に時間だけが過ぎていった。それでも答えは見つからなくて、ひとまず書いてみるかとキーボードを叩いているところ。 少し遡ってみよう。 「わたし、やりたいことがある」と明確に思ったのは2023年11月。そのころのわたしは不妊治療を終えたつもりでいて、ようやく自分の幼少期のトラウマと向き合う覚悟ができてきたころだった。そういう移り変わる自分の気持ちを綴ってアウトプットを何か

          子どもはいない。トラウマもある。30代を折り返しても、いつも悩んでいるけど