鴨井 / kamoi

日常に溶けて彷徨っています。子どもがいない生活をしながら幼少期のあれこれに今さら向き合…

鴨井 / kamoi

日常に溶けて彷徨っています。子どもがいない生活をしながら幼少期のあれこれに今さら向き合ったり、背を向けたり。

最近の記事

聞きたくなかった話とひとりで抱えられなくなった話

5回目の移植を終えた後、会社に戻ると何やらこそこそと話す声が聞こえる。どうやら一つ年上で不妊治療を続けていた人が妊娠したらしく、子育て中の社員と話しているようだった。最後の移植で授かったらしい。 おいおい聞こえているよ……と呆れながらも「あの人もあっちに行ってしまったのか」という気持ちと「わたしはどうなるんだろう」という気持ちとで、シンプルに聞きたくなかったなと思っている。シンプルに聞きたくなかった。 わたしは今日が移植日なのに、アルコール依存性の夫は昼まで待っても家に帰

    • 4回目の移植を何もなく終えたけど、前に進めているはずだから

      4回目の移植。結果はなし。 クリニックで担当医から話を聞いて、「まあ、わかってはいたけれど」と納得しながら少し傷ついている自分がいた。何に傷ついていたのかは、今も正直わかっていない。心のどこかでまだ母になる自分を想像していたのかもしれないし、こんなに痛い思いを日々しているのに結果が出ないことに虚しさを感じていたのかもしれない。たぶん後者だけど、「あ、わたし今少し凹んでいる」と気づいて驚いていた。 「妊娠できなくて少し凹んでいる」と素直な気持ちを夫に言ってみたら、移植期に入

      • 子どもはいらない、とわたしは強く言えなくなってしまった

        「わたし、子どもは全然ほしくないんですよね。時間もお金も自分のために使いたくて」 これはこの前のランチでいくつか年上の女性社員に言われた一言。再婚で今の家庭を築いた彼女に子どもはいない。今の生活が楽しいことは知っていたけれど、語気強めに語られた主張を一身に浴びたわたしは、少し面食らってしまった。 しかし気持ちはわかる。数年前のわたしも同じことを思っていたし、今でもその気持ちを捨て切れてはいない。それでもずるずると不妊治療をしている今のわたしには、「子どもを産まない」とキッ

        • オンラインカウンセリングを受けてみました

          不妊もトラウマも依存症も仕事も全部ぜーーーんぶもうわからん!!! と爆発しそう! いや爆発していたので、cotreeでカウンセリングを受けました。 申し込むまでの葛藤正直金額も安くはないし、カウンセリングは完全に相性と知っていたので、申し込むまでに相当悩みました。たぶん半年以上は悩んでいます。 悩んでいた理由は、カウンセリングじゃなくていいのではと思っていたから。オードリーの若林さんが「行きつけのスナックをつくりましょう」と言っているのを見ていたので、カウンセリングじゃ

        聞きたくなかった話とひとりで抱えられなくなった話

          子どもを授かることは奇跡みたいなものだと、誰か教えてくれたっけ?

          子どもができてしまうことが怖かった。 本当は今でも怖いのだけど、昔話をしようと思って過去形で話を進めている。 高校に入るときに母が提示した約束事のひとつか「子どもは作らないこと」だった。そんなこともあって、子どもを授かると自分の人生が変わってしまうことはなんとなく予感していた。母もきっとわたしを腹に宿してから人生が自分のものではなくなってしまったと感じている。だから、妊娠しない方法については知識を得ていたつもりだ。 でも一方で、いざ子どもを授かりたいときにはどうしたらいい

          子どもを授かることは奇跡みたいなものだと、誰か教えてくれたっけ?

          子どもはいない。トラウマもある。30代を折り返しても、いつも悩んでいるけど

          何から書いたらいいのだろう。 このアカウントを立ち上げて、最初にどんなことを書いたらいいのかと考えている間に時間だけが過ぎていった。それでも答えは見つからなくて、ひとまず書いてみるかとキーボードを叩いているところ。 少し遡ってみよう。 「わたし、やりたいことがある」と明確に思ったのは2023年11月。そのころのわたしは不妊治療を終えたつもりでいて、ようやく自分の幼少期のトラウマと向き合う覚悟ができてきたころだった。そういう移り変わる自分の気持ちを綴ってアウトプットを何か

          子どもはいない。トラウマもある。30代を折り返しても、いつも悩んでいるけど