【好きなベーシスト紹介】ジャコ・パストリアス


なんとなく思いつきで好きなベーシストを紹介する記事を書いてみたくなったので、やってみようと思います。


第一弾はみんな大好きジャコ・パストリアスです。

ジャコの話はすでにたくさん語られていて他にも紹介は日本語でもたくさん見つけられると思うので、今さら何を書くのかって話なのですが、今回はジャコの演奏ってチェロっぽいよね、という話をしてみたいと思います。


一般的にジャコを紹介する言われる言葉はやっぱり、
・これまでのエレキベースの常識を超えた革新的なテクニック
・フレットレス・ベースの使用
・エレキベースを花形楽器に変えた
あたりだと思います。


筆者は昔チェロをちょろっとやっていたことがあるんですが、はじめてジャコを聴いた時(あるいは弾いた時)、このテクニック面だったりアプローチに関して、すごくチェロっぽい!と感じました。

というか実際に、本人もインタビューも音大のセミナーでチェロの影響を話しているんですよね。

ジャコがここで言及している自由かつ広範に指板を駆使するプレイ、メロディックなアプローチは特にチェロ的だなと思います。
動画で言及しているドッツァウアーのエチュードはチェリストにはお馴染みですね。


では、具体的にどのへんがチェロっぽいか。
例えば、バッハの無伴奏チェロ組曲では「一本の楽器で各弦を駆使して複数の声部を再現する」といった奏法が使われます。

Continuumだったりでジャコが使うアプローチに近しいところあるのではないでしょうか。
Black Birdのカバーで弾いているような重音奏法も影響あるかもですね。


あるいはPortrait of Tracyで使うようなフラジオレット。

このショスタコーヴィチのピアノ三重奏の冒頭で使われてますね。


Liberty Cityで聴けるような指板ギリギリの使用も、チェロではソロ曲あるいは近代以降の曲では比較的よく出てきます(どれもきつい)

この曲では、主だったテクニックが片っ端からでてきますね。こんなもん弾けるか…!


さらに、フレットがなく自分で音程を作ることが前提のクラシックの弦楽器の場合、平均律ではキレイに響かない重音だったりを響かせるために音程をコントロールします。(重音に限ったことではないので、楽曲全体の和声進行に合わせて音程を取っていくと言った方がいい正確かも)
このへんを考えると、ジャコが目指した表現をするためには、フレットレスであることは必然だったのかな〜という気もしてきます。

こうやってみると、革新者だと思っていたジャコも一つ一つの要素は、それぞれの世界で培われてきた伝統的なものだったと言えるのではないでしょうか。
ジャコのすごいところは、それぞれ違った複数の伝統をエレキベースに翻訳し、自分のスタイルとしてひとつに昇華したこと、そしてそれがユニークであると同時に、続くプレイヤーに過去と未来、異なるジャンルをつなぐ開かれたものだった、というところにある気がします。
もちろん彼のスタイルに影響を与えてる音楽は、クラシック以外にもジャズ、R&B、ロック、カリビアンと多岐に渡ります。もしかしたら他のジャンルを知れば、もっと彼の魅力を理解してプレイの秘密にも近づけるんじゃないかと、そんなことを考えてみたり。

なんだかざっくりした記事になってしまいましたが、このへんについて詳しく書いてあるやつがパッと見つからなかったので書いてみました。本とかならあるのかな…?詳しい人いたらぜひ教えて下さい。

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