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【エフェクターレビュー】3 Leaf Audio/Octabvre MKII

第5回は3 Leaf Audioさんのアナログオクターバー、Octabvre MKIIです。

3leafさんはアメリカのメーカーで、ビルダーさん本人もベーシストのようで、エンベロープフィルターやシンセライクなファズなんかも作っています。他のも欲しい。

今回するOctabvreは私が敬愛するベーシスト、ティム・ルフェーブル(Tim Lefebvre)さんのシグネチャーモデルになります。(本人の有料チャンネルにも登録してます!)
ティムさんは特にデビッド・ボウイの最後のアルバム『★』(ブラックスターと読む)での演奏が有名かと思います。他にもテデスキ・トラックス・バンド、ジェフ・ベック、ジャズサックス奏者クリス・ポッターとかなりの大物たちと共演してますね。
個人的には『★』で組んでいたサックスのダニー・マキャッスリン、ドラマーのマーク・ジュリアナ、キーボードのジェイソン・リンダーとの仕事が大好きです。あとは個性派サックス奏者Zhenya Strigalevとの仕事も。
トラディショナルな演奏もこなせるティムさんですが、持ち味のひとつは前衛的な音楽での個性的な音色づかいだと思っています。そんな彼の必殺技が多彩なオクターバー使いです!(他にもあるのでまた別記事で紹介します笑)

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ティムさん。カッコいい!
ベース・マガジンのわかざえもんさんの記事でもちょこっと触れられてますね!

さて、Octabvre(そのままオクターブと読むとのこと)は2チャンネル仕様のアナログオクターバーになっています。

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アナログということで、↑の記事で特集されているBOSS OC-5のだったり、あるいはElectro-Harmonix POG2のようなポリフォニックな(複数の音を同時に出す)オクターブサウンドは出せず、単音のみのトラッキングとなっています。
しかし、それでもなお選ばれる魅力が、やはりアナログオクターバーにはあるように思います。
なんとなくなんですが、いくつか触ってみた印象としてオクターバーの場合、良くも悪くも、デジタルだと音と弾いた感触に「固さ」だったり「距離」、「人工的な質感」みたいなものを感じるというか、いわゆるデジタル臭さみたいなものがある気がしまして…。もちろんデジタルにはデジタルの魅力があって、それを活かすことでサイケデリックだったり変態的なサウンドを作りたい時もあるので、そういう時は積極的に使います。POG2とかめちゃくちゃ欲しいしOC-5もすごく気になってます。マイケル・リーグのソロでの使い方とか最高です。オクターバーではなくWhammyですが、トム・モレロのサウンドなんかはそのへんをすごく活かしてますよね。

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さて、話は少し逸れましたが、次はOctabvreのコントロールについてですね。

まず左フットスイッチがオンオフ、そして右フットスイッチがオクターブサウンドのみになるドライカットスイッチです。ドライカットは設定いじったり2台持ちしなくても、一発でサウンドを切り替えられるのが便利です。スイッチはややソフトなものになっているのでオクターブサウンドをタップするプレイなんかもできます。個人的にはモメンタリーなら、なおうれしかったです笑

コントロールは左から、MixチャンネルのVolume、原音とオクターブのMix、Tone、一番右がオクターブのみにしたときのSub Vol.、さらにMKIIにはローをブーストするTIMスイッチ(いわゆるDEEPスイッチに相当)がついています。
ちなみにBOSS系列とは違い2オクターブ下は出せず、1オクターブ下のみのエフェクトとなっています。

Toneは音色をコントロールするわけですが、左に振り切った状態がOC-2のディープ&スムースなサウンド、右に振り切った状態がMutronのややファズがかったサウンドをそれぞれモデリングしていて、この2つを無段階に調整することができます。このToneとTimスイッチを駆使することでかなりの音色をカバーできるのがこのペダルの最高なところです。曲によって欲しい帯域とニュアンス、キャラクターをコントロールできるのがいいですね。ちなみにToneは後段に歪みを置いた場合の調整にも効果的ですね。

この動画ではちょうどOC-2(Octaveのバージョンですね)との比較をしていますので参考にどうぞ。

TIMスイッチは波形で見ると、聴覚上で聴こえてるよりもかなり強力なブーストがかかってるらしく、後段がブーストされる傾向があったりもするので、相性・状況次第でオンオフしていいと思います。ちなみにブーストの効きが強烈な影響もあって、TIMスイッチがオフの場合の方がToneの効きは明瞭です。オンの場合は、いわゆるトーンのように強調される音域を調整するイメージです。
トラッキングについては大体E線のAくらいが下限ですね。Gはまあ出ますが実用的な音域は超えてる気がします。
全体的なサウンドについては少し長いですがこの動画がわかりやすいかと思います。



ちなみにこの製品いくつかバリエーションがあります。
まず今回紹介しているMKIIの前身MKI。これはTimスイッチがないのであまりオススメしません。
次にMKI、MKIIともに1チャンネル仕様のMiniサイズ版があります。
さらに去年はMiniサイズの筐体に2つのフットスイッチを載せたMKIIIが発売されました。このバージョンはさらにMixだったノブがcleanとoctave個別のボリュームに変更されていて、より音質が向上したとのことです。
サイズ的にもMKIIIが気になるところですが、Miniサイズで2フットスイッチは踏み間違えそうなのが気になるところ。ティムさん本人もデモで踏み間違えてましたしw
ティムさんは仕事毎にボードを組み変える人ですが、ほぼ絶対にこのシリーズのどれかを使っています(これができる前はOC-2でした)。

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これはMKIII。黒い筐体がクールです。ロゴデザイン的にはやはりシンセライクなサウンドをイメージしてそうですね。

ロックではあまりオクターバーを使うことはない気もしますが、ベーシストが使うペダルのなかでは比較的ポピュラーなものかと思います(私が好きなベーシストは大体プレベでオクターバーを使いがちなので一番最初にハマったペダルでした)。
個人的な使い方としては、4弦ベースでは出ない音域を出したい時ももちろん使いますが、どちらかというとやはり、シンセっぽい音が欲しい時だったり、ふつうのベースとは一味違うサウンドが欲しいときに使います。
さらに他のエフェクターと組み合わせるのも楽しいです。自分の場合だと、歪み・エンベロープフィルター・トレモロ・リングモジュレーターあたりと組み合わせることが多いです。
Octabvreは特に設定幅が広いのでファンキーなグルーヴから、ダブ、ヒップホップ、クラブ・ミュージック、インダストリアル、アヴァンギャルドまで幅広く使えるので非常にオススメです。


…と、今まさに投稿しようとしたタイミングで、数日前にMKIIIのカッコいいデモが出ているのを発見してしまった!!!!

ああ、やっぱりMKIIIも欲しいですね…笑


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