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機動戦士ガンダム 星屑の軌道宇宙世紀0080 01月01日 終戦

宇宙世紀0080 01月01日
ア・バオア・クー空域
巡洋艦ベオグラード艦橋内は歓喜に沸いていた。
艦橋内に飛び交う無線は戦闘終了を告げる報告や終戦を告げる無線が飛び交っている。

そんな中MSデッキは騒然としていた。
「バカヤロー!弾薬ありったけ持ってこい!」シバ整備班主任が拡声器を片手に他の整備員に対して怒鳴り付けていた。
「しかしホントに行かせるの?もう戦争終わったんでしょう?」
コックピット内で最終調整するアービスに話しかける。
「だってそのまま出撃しちゃうでしょうちの隊長・・・ならせめて整備位は万全にしておかないとね・・・」
アービスは顔をそちらには向けずに答えた。

MSデッキ横の休憩所でシフォンは激しい嘔吐感に悩まされたが既に吐き出す物は何物無かった。トランク状のケースの中から使い捨ての密着型注射器を取り出し、ノーマルスーツを捲り上げた左腕に押し当てる。栄養補給鎮痛様々な効果を併せ持つ薬品。劇薬の部類に属する。
シフォンは目を閉じたが出来なかった。疲労の余り睡眠すら拒んでいる。宙に浮いたヘルメットが肩に当たり流れ、いつの間にか入り口に立っていたミユキが抱え込む。
「行かせない!もう戦争は終わったんでしょう・・・」
ミユキが泣きながら訴える。
「こわいの・・・生まれて初めてよこんな気持ち・・・悪魔に心臓をつかまれている気分」
ミユキの顔は青ざめている。
「だめよ行かせない!もう・・・終わったのよジオンとの戦争は・・・もう終わったの!!」
そう戦争終わったのだ散漫的に戦闘は行われているが大規模な戦いは既に終了していた。
「だれも・・・これ以上死んじゃいけない・・・そうでしょ?おわったのよ・・・」
シフォンはシートから立ち上がり
「すまん・・・道をあけてくれ・・・」
シフォンはミユキの前に立ち
「なぜ・・・私にはわからない・・・」
ミユキからヘルメットを受け取り
「そうだな・・・俺にもよくわからないけど・・・約束・・・だから・・・男どうしの約束は命よりも重いのかも知れない・・・」
シフォンは愛機の元に向かった・・・

「シフォーン!」
ひとり部屋に残ったミユキはその場に泣き崩れた・・・

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