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スーパーロボット大戦β 恐竜帝国が滅ぶ日

新西暦と呼ばれる時代……。
宇宙へと進出した地球人類は、人類初の宇宙戦争を経験。
新西暦179年。
地球連邦政府とジオン公国との間に起きた一年戦争の末期、L5宙域に突如出現した巨大な物体が、双方の宇宙艦隊の大半を巻き込みながら南太平洋・南アタリア島に落下した。後にASS-1と名づけられるその巨大な物体は調査の結果、地球外知的生命体の巨大宇宙戦艦であったこと、また太陽系外で大規模な恒星間戦争が行われていたことが判明する。
この騒動で一年戦争は停戦となるが、地球連邦政府は異星人との恒星間戦争に陥った場合に備え、軍備の増強を開始する。ASS-1を解析した技術・EOTを組み込んだ機動兵器や、超大型宇宙戦艦・ヱクセリヲンの開発、さらにはASS-1を修復・改修して作られたマクロスを中心とした、連邦特別宇宙軍・SDFが結成された。
 その際に落下してきた隕石によりもたらされた超技術、EOTにより、著しい発展を遂げていった。
しかし、EOTI機関のビアン・ゾルダーク博士は外宇宙からの脅威を危惧し、警鐘を鳴らす。
結果、地球圏外からの侵略者や地球征服を狙う者たちの襲撃。
地球連邦軍内部の腐敗による勢力の台頭や反抗組織の活動。
正体不明の生命体、謎の組織の暗躍という『人類に逃げ場なし』と云わしめる状況に陥ることになった。

地球連邦軍防衛長官の岡は初動対応について過ちを認めざるを得なかった。
地球連邦軍高官にして、甲賀流十七代目の忍者である彼はビッグファルコンの司令官も一時兼任したが、現在は極東方面軍司令官伊豆基地司令の任についていた。
地上へと降り注ぐゲッター線の増加により、対抗する戦力が失われたと思っていた恐竜帝国だが、人類に対して最後の戦いを挑もうと日本各地で部隊を展開させ、超巨大恐竜戦艦が時間差で方向より侵略中。
第一陣は平塚方面
第二陣は千葉方面
第三陣は新宿方面へ
各方面へ既に連邦軍MS部隊を展開させてはいるが苦戦を強いられている。
(なんという事だ!恐竜帝国にまだこれほどの戦力が残っていようとは...時間差で攻めて来た奴らの作戦にうかうか乗って戦力を分散し過ぎてしまった。せめて開発中の超電磁ロボが一体でも完成しておれば...)
「光子力研究所への呼び出しを続けていますが未だ応答ありません!」
「新宿に向かった部隊はどうだ!」
「既に全滅した模様...いえまだです!まだ1機現在活動中の機体を確認!ゲッターロボです!」
通信兵の言葉に対し岡は一つの決断をする。
「新宿方面に対しては入間の部隊を展開、ゲッターチームを支援!平塚方面は伊豆でなんとか持ち堪えろ!千葉は百里と木更津で対処!」
「長官!特殊戦技教導隊のシフォン少佐から入電!千葉方面に向かうとの通信が入りました!」

地球連邦軍所属のペガサス級強襲揚陸艦であり、準ホワイトベース級強襲揚陸艦にも分類されるグレイファントムの艦橋もスクランブルがかかり慌ただしく発進準備が進んでいた。
三沢基地で新型パーソナルトルーパー(PT)の運用テストに当たっていたシフォン・ロマーネ少佐率いる特殊戦技教導隊にも恐竜帝国の侵略に対する戦力の一環としてスクランブルが掛かっていた。
地球連邦軍がMSに変わる新たな戦力として開発していたパーソナルトルーパーは10mを超える人型あるいは多脚の機動兵器に対抗するための人型機動兵器につけられたコードネームである。
「若!現状の可動状況は?」
「芳しくないですね〜PTは当然ですが少佐の「G-3」もいい加減フルメンテが必要でとても通常戦闘には耐えれませんぜ!立ってるだけで精一杯ですね」
シフォンの愛機で一年戦争時代のサイクロン小隊時代から受理され運用して来たMSタイプの機体でありマグネットコーティング仕様のガンダムタイプRX78‐3 通称「G-3」である。
シバ シゲオ整備班主任の声がグレイファントムの艦橋に響く。
彼も一年戦争時代を共に生き残った数少ない戦友の1人で整備員からは「若」と呼ばれ陽気な性格で、整備の知識、技術は1級品である。
そんな状況下でグレイファントムの通信兵である艦橋メインモニターがジャックされ1人の女性の姿が映し出された。

「シフォン君おひさ♡」
「ミ、ミサト何でお前がこの回線知ってるんだ!」
この忙しい時にとシフォンは思った。
「あら連れないわね。今私出向中で連邦軍所属のツクバ研究所所属だもの回線ぐらい知ってるわよ」
「誰ですあの女性官は?」
グレイファントム艦橋通信オペレーターがミユキ・ムラサメ航海長に疑問を投げかける。
「葛城 ミサト 特務機関NERV(ネルフ)戦術作戦部作戦局第一課所属で階級は一尉 シフォン少佐の同期で私の一個上の先輩...」
「それは置いておいてシフォン君ちょっちツクバまで寄り道しない?」
「ツクバに何があるんだ?」
「それは来てからのお楽しみ〜じゃ待っているからね〜」
ミサトの性格を熟知しているシフォンは拒否権も他の選択肢も無いのは明白だった。
シフォンはグレイファントムをツクバ方面に軌道修正させた。

戦略自衛隊技術研究所技術研究本部
度重なる脅威から世界を解放するために発足。本部は茨城県つくば市、筑波山のふもとに設置され、世界中の軍隊、科学者の英知が対する対策や対応を全て担っている。外部の専門家を集めて対策会議を行っている。
葛城一尉に指定された人造湖の降下ポイントにグレイファントムを降ろすとジオンがまだ自治共和国だった頃のモビルワーカー MW-01 01式
が3機配置されていた。
ジオン自治共和国が独立戦争開戦に向けて、人型機動兵器の初期試作実験機で当時次世代の人型機動兵器としての新たな可能性を頭部センサーには、単眼型可動式カメラである「モノアイ」を採用した機体である。
「時間ないわよ!積み込み作業急いで!」
葛城一尉自ら出向いて陣頭指揮をとっていた。
「これは、メガ・バズーカ・ランチャーなんでこんな物がつくばに..」
「ウチ(NERV)が独自に開発している「陽電子砲円環加速式試作20型」の試作用に色々コネ使って手配して使用する予定だったんだけど目処が付かなくってほっといたの思い出したのよ。でも肝心なガンナーが居ないと思ってたら」
「三沢に俺がいたって訳か...」
「そうゆこと〜」
「これだったら少佐のG -3で運用できますぜ!」
シゲオ整備班主任は新しい「玩具」を目の前に若干はしゃぎ気味だ。
「で、貸したからには実戦データよこせってことか...」
「さすがシフォン君わかってるわね〜」
シフォンと葛城一尉のやり取りの中、
「もたもたしてると、全員人造湖にたたっ込むぞ!」
先代からの昔気質の職人であるシゲオ整備班主任の一括で搬入作業は急ピッチに進められた。

「やっぱりシフォン君はコックピットの方が良いね!」
「茶化すな!だがグレイファントムの指揮件任せるぞ葛城一尉」
シフォンはG -3のコックピット内でシゲオ整備班主任と最終調整をしながらサブモニターの葛城一尉に指揮権の譲渡を確認してた。
「少佐、グレイファントムからのミノフスキードライブがあるとはいえおそらく連射は2発が限度で3発目はチャージに時間かかる筈です」
一撃で多数のMS消滅させる程の破壊的な高威力を備えたメガバズーカランチャーだが反面、莫大なエネルギーを消費するためMS単機とランチャーの組み合わせで発射できるのは一発のみである。それをグレイファントムからのミノフスキードライブを組み込んでさえ膨大なエネルギー源が必要としている。
「目標到達まであと10㎞です!先輩!」
ミユキ航海長が葛城一尉に進言する。
「さーってこっちの電源そっちに預けるんだからぶんまーわしすぎて船落とさないでね!」
「善処しましょ」
グレイファントムの艦橋のメインモニターには
全高420mの無敵戦艦ダイの姿が映し出された。
二体の巨大な恐竜型メカザウルスの上に航空母艦の甲板を連結し、その上に艦橋と巨砲を乗せた構造となっている。4体のメカザウルス、200機の戦略爆撃機などを搭載しており、「戦艦」というより「戦闘も出来る航空母艦」といった性能を持つその姿は圧巻であった。進路を東京に向かって進行中であるらしく被害が拡大していっている。
「現在松戸市上空目標まであと17㎞」
「さーって荒川を越えさせる前にケリをつけましょ!」
通信オペレーターの声に葛城一尉が檄を飛ばす。
「本作戦はこれより作戦名は「鏑矢(かぶらや)作戦」と呼称、荒川を絶対防衛線とし長距離からの一撃でメガザウルスの本体を狙撃沈黙させます。情報だと敵の射程距離は約3キロが限度であるらしくこちらは5キロ圏内を作戦開始区域とします」
(さすがミサトだ俺より堂に入っている...相変わらず作戦名をつけたがる癖は変わらんか。)
シフォンはG -3のコックピット内で最終調整をしながら葛城一尉のを聴いていた。
「急ごしらえですが通常のスコープより精度上げたつもりです。頼んますよ少佐!」
シゲオ整備班主任の言葉を受けシフォンはサムズアップで答えG-3のコックピットハッチを閉めた。

「敵艦発砲」
「脅しよ!当たらないわよ!」
葛城一尉は艦内放送がオープンになっているのにも関らず、大声を張り上げる。
無敵戦艦ダイのブリッジのような場所にある大砲2門。主砲の近くにある副砲で、前方四門。同時使用して来たが葛城一尉は一括してオペレーターを黙らした。
「葛城一尉ノーマルスーツを着用してください」
レシーバーからの大声と直接の声の大きさに多少の抗議を込めて、ミユキ航海長が、葛城一尉にノーマルスーツの着用を促す。
「指揮官が真っ先にノーマルスーツを着て兵士たちをおびえさせてどうする!」
「こちらG-3セットアップ完了」
「よし、各艦最大戦速、目標敵艦隊旗艦!」
「葛城あと2度左にずらせ!射線にビルが引っ掛かる!」

即座にシフォンからの通信を受け葛城一尉は操舵手に指示を出す。
「目標到達まであと100m」
「頼むわよシフォン君!」
G-3のサブモニターにメガ粒子がフルドライブのメッセージが表示される。
「ミノフスキーエンジンフルドライブ!狙い撃つ!」
メガバズーカランチャーから放たれた光が無敵戦艦ダイからの発砲された弾丸諸共撃ち抜き、艦橋部分と二つの首を同時に焼き尽くしメガザウルスの体積の8割以上を消失させた。
「さすが若この少ない時間でよく調整されてる」
調整された特別仕様のターゲットスコープを後部シートに押し込んだ瞬間コックピット内の電源が全て落ちた。
それはグレイファントムの方も同じ様で艦橋のメイン電源もフルダウン状態だったがなんとか市街地の落とす事なく東京湾に着水させる事は出来た様だ。

「おつかれさん」
そう言って葛城一尉はシフォンにUCCの缶珈琲を投げて横した。
「さすがに麦酒って訳にはいかないでしょ」
「だな」
「それと今、岡防衛長官から入電が入ったけど平塚新宿の方も片付いたみたいよ。」
「本命はやはり新宿か?」
「でしょうね。帝王ゴール自ら搭乗した巨大戦艦をゲッターチームと甲児君のマジンガーzで撃破したって」
「そうか...まずは一先ずは平和になるかな」
「そうも言ってられないわよ...うち(NERV)の諜報部の話だけどバスクのオッさんが何か企んでそうよ」
「キナ臭い話だな」
「そのあたりは岡長官の方にも伝わってるっぽいし」
「さすが甲賀流十七代目の忍者ってとこか」
「じゃ私つくばに帰るからまた近いうち会いそうだけどね、後始末よろしくね〜」
そう言い残し葛城一尉は嵐の様にNERVのロゴの入った垂直離着陸機v-22通称オスプレイで帰って行った。
その後ミユキ航海長が全部押し付け帰ったと言って不満を口に出したが一先ずの平和の時間は守る事が出来た筈である。だがこれから始まる大きな渦の中に入る前である事はこの時のシフォンは思ってもいなかった。

新西暦186年。11月。
その日、地球連邦政府は恐竜帝国との戦争の終結を宣言した。


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