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スーパーロボット大戦β アムロ再び③

地球連邦軍が建造したガルダ級超大型輸送機の1機で緑系統のカラーリングで塗装されているスードリからモビルアーマーに乗り込み出撃する女性パイロットがいた。
「ああオーガスタ研のロザミアか」
スードリのキャプテンながら自ら可変モビルアーマー・アッシマーに乗り、ハイザック部隊を強化人間を嫌うブラン・ブルターク少佐が呟いた。
「いいのでありますか?」
フライトユニットに乗ったハイザックのパイロットが上官に聞き直す。
「強化人間のロザミアの性能チェックもして、英雄アムロ・レイの拉致...シンプルなゲームじゃねえな」
スードリの格納庫ハッチが開きアッシュマーと2台のフライトユニットに乗ったハイザック4機がシャイアン基地に向けて発進された。

「モビルスーツが出撃している…こちらの動きに気付かれたんでしょうか」
グレイファントムの艦橋のレーダーに3機の機影が確認されムラサメ航海長艦長代理の葛城一尉に具申する。
「いえ...どうやらシャイアン基地から出撃したわけではなさそうね〜どちらかと言えば、基地に向かってそうね、あーもう!段取りが台無しよ!」
「基地へ侵入し、アムロ・レイを連れ出す」
VF-1Dのコックピットからシフォンが作戦続行の意思を伝える。
「正規軍と戦うことになってもいいのね?」
既に決まっていた事だが今一度シフォンの気持ちを葛城一尉は確認した。
「遅かれ早かれ、正規軍は我々の敵になる。今は任務を成功させることだけを考える」
「コアブースターより無茶な機動が出来るくらい結構頑丈なフレームしてますか少佐向きの動きが出来るハズですぜ!」
「了解だ若!」
機体の最終調整を済ませタラップから降りるシゲオ整備班主任を確認してコックピットキャノピーを降ろす。
「追っかけでこっちでもMS出すから!」
「任せる!VF-1Dシフォン出る!」
全体の判断は葛城一尉は任せシフォンはVF-1Dを発進させた。

シャイアン基地の滑走路に輸送用としてか基地には配備されていなかったミデアが配置されていた。一年戦争当時の地球連邦軍の物資輸送任務を担っていた輸送機で、かなりの物資を輸送することが可能であるうえにVTOL機能も持つため、滑走路の未整備な最前線への補給活動には最適であった。だが今アムロの目の前にあるミデアは特徴の一つである機体色のイエローでは無く所謂ティターンズブルーで塗装されていた。
「俺を何処に連れて行くきか?」
「我々は大尉をミデアまで護衛しろとしか命令されておりません!」
アムロ自身流石にこのまま連れて行かれる気は当然無い。
「7年間...長かったのか短かったのか...」
そう言いうとアムロは左手腕に嵌めていた腕時計式のコンソールパネルを展開して何かを打ち込んだ。
それと同時にシャイアン基地内の熱処理用のプールの水が2つに割れMSが姿を現していた。
「COAL!GUNDAM.!」
アムロが叫ぶとほぼ同時に一機の白いMSがミデアとアムロの間に割り込んだ。
「が、ガンダム!」
護送していた特務部隊兵は明らかに怯えの声を上げる。彼らにとって最悪の組み合わせである敵味方に白い悪魔と言われたガンダムとアムロが目の前に揃ってしまったのである。
ガンダムの顔の横に装備されたバルカンポットが特務兵に向かって威嚇射撃を行った。
既に戦意喪失していた彼は蜘蛛の子散らす様に敗走する。
「ギリアム...やはり備えておいて正解だったよ」
コックピットに乗り込んだアムロは旧友の名を言いながら素早くシステムチェックを済ませる。
「チェーン状況は?」
「味方のコードが出ては居ますが3機こちらに向かっています。あ、それとは別に別方向から1機こちらに向かっています。」
「3機の方はおそらく僕を拉致しようとしていた連中だろ」
「ではもう1機は?」
「僕の勘ではそっちは味方だ...」
アムロはMk-Ⅱのバーニアを噴かし慣性飛行で応戦する。だが空中ではアッシマーのが一枚上手かバルカンポットの弾丸がアッシマーに当たるが効果は薄い。
「バルカンではこの程度だなぁそんな装備でこのアッシマーに勝てると思っているのか!」
「データ取得用とはいえチューンしたマークⅡだ!やってみせる!」
アムロは標的をハイザックに変えガンダムMk-Ⅱはバルカンポットを撃つ。ハイザックのモノアイを潰し怯んだ隙に装備されていたバックパックのビームサーベルで右腕を斬り落としそのまま相手の装備していたライフルを奪いアッシュマーに牽制を仕掛ける。

長年の勘がそうさせるのか、シフォンはシャイアン基地に向かうのをやめ3機が来た方角に進路を変えた。程なく緑色のロケットブースター付きの機体に遭遇すれ違う。スードリから発進したロザリアが操るギャプランも何か感じたのかロケットブースターを切り放しドックファイトが勃発した。
単独で空を飛べる可変モビルスーツは他のモビルスーツに対して大きなアドバンテージを得る。
高機動を売りにしているギャプランだが同じ様なコンセプトのシフォンの操るVF -1には苦戦を強いられていた。
太陽に向かってお互いの機体を急上昇させていた次の瞬間、VF -1の「売り」の一つ「ガオークモード」変形させ急ブレーキの様な機動をさせるシフォン。
そのエアーブレーキに似た挙動に惑わされロザミアは後ろを取られる形になり同じ急制動をかける形で
モビルスーツ形態に変形させるがそのわずかな隙を逃すシフォンではなかった。
「墜ちろぉぉぉ!!」
シフォンの気合いと共に頭部ユニット装備RöV-20 11mmレーザー機銃、主力兵装のGU-11 55mm3連ガトリングガンポッドの同時射撃がギャプランの変形時の稼働モーターに直撃。撃破とまでは行かなかったは撤退を余儀なくさせる程には損傷を与えたようだ。

「さっきの閃光はやはり戦闘だったのか」
シャイアン基地の滑走路で鹵獲したミデアへ物資搬入中のアムロ達の前にガオークモードのVF-1Dをシフォンは着陸させた。
「元特殊戦技教導隊のシフォン・ロマーネです!アムロ大尉ですね!」
「そうだ!」
「ブライトキャプテンに命令で大尉をお迎えに参りました!」
「ブライトが地球に降りているのか?!」
「合流ポイントまで護衛しますので」
「了解した第二波があるとも限らない急いで離れよう、それにしても…元気だったか、『蒼い閃光』」
「その言い方…相変わらずですね、アムロさん」
「今は君の方が階級は上なんだ。さん、はつけなくていいぜ」
「そんな…あなたを呼び捨てになんか出来ませんよ」

テスラ・ライヒ研究所(Tesla Reich Institute)通称は「テスラ研」とは、かつてビアン・ゾルダーク博士によって設立された、北米コロラドにあるオーバーテクノロジーの総合研究機関である。
現在は彼の手は離れてロボット工学の権威であるジョナサン・カザハラの手によって運営させている。
シャイアン基地で鹵獲したミデアと共にグレイファントムは合流ポイントのテスラ研に到着していた。
「アムロ、フラウ…それにカツ。久しぶりだな…無事で何よりだ」
「ええ…ブライトも」
一早く到着していたアーガマ隊の面々はアムロとフラウ婦人達の無事を祝った。
「じゃあ、ブライト。私はカツと一緒にホンコンのミライさんの所へ行きます」
「うむ。クワトロ大尉がカラバに掛け合って君達の護衛を手配してくれたホンコンへは問題なく到着出来るだろう…向こうでミライに会ったら、私は元気だと伝えてくれ」
「ええ。お互い、家庭を持つと大変ね…」
「ああ、そうだな」
アムロはカツに右手を差し出し握手をした。
「カツ、フラウのことを頼むぞ」
「わかりました。」
「じゃ、アムロ…身体に気をつけて…頑張ってね」
「ああ。フラウも元気で…」
アムロはフラウの頬に軽くキスして送り出した。
「どうした、アムロ?」
「さっきのフラウの言葉…ホワイトベースで戦っていた時によく言われていたと思ってなブライトはアムロの懐かしむ感じを共感していた。
「ブライト…俺を迎えに来たのか」
「そうだ、アムロ。我々エゥーゴに協力してもらいたい」
即答せず沈黙する…
「7年という歳月が経ち、立場や環境が変わっても人の本質は変わらないな」
「そうだ。そして、それはお前にも言えることだこれからの戦い、頼りにさせてもらうぞ、アムロ」
「…まだ昔の勘は取り戻せていないが、こんな俺でもみんなの役に立つのなら…」
「大尉なら、大丈夫です」
「そう言ってくれると助かるよ、シフォン。それと…クワトロ・バジーナという人はどこにいるんだ?」
「クワトロ大尉ならブリーフィング・ルームに降りて行くの見ましたが...」
「わかった..ありがとう...」

「さすがだな、アムロ君。7年間のブランクを感じられない戦いぶりだったと報告は受けている」
ブリーフィングルームに向かうエレベーターの前でアムロはクワトロと接触した。
「何故、地球圏に戻って来たのです?」
「君を笑いに来た…そう言えば、君の気が済むのだろう?」
「好きでこうなったのではない。それはあなたにだってわかるはずだ」
「しかし、同情が欲しいわけでもない。ならば、カツ君の期待にも応えるアムロ・レイであって欲しいそれが私に言える最大の言葉だ」
少しの沈黙の後、意を決してアムロは問う。
「何故、地球圏に帰って来たのだ?シャア」
「ララァの魂は地球に漂っている。火星の向こうにはいないと思った…」
「ララァ…7年前、休戦条約がもっと早く結ばれていればララァ=スンは戦わずに…いや、死なずに済んだ…」
「あれは…運命だ。ララァは死にゆく運命だったのだ」
「…その言葉は昔にも聞いた」
「そう割り切らなければ、あの宇宙で戦うことは出来ない。そして、来るべき災いにを生き延びることもな…」
「来るべき災い…?」
「それとも、自分の殻の中に閉じこもり、地球連邦やティターンズに力を貸すことを選ぶかね?」
「俺の決意は先程、証明してみせたはずだ」
「…そうだな。だが…カゴの中の鳥は鑑賞される道具でしかないと覚えておいてくれ」
「心配は無用だ、シャア。俺は上がって見せるさ、宇宙に…」

「う~ん。よく考えりゃ、今のアーガマ隊には連邦と旧ジオンのトップエースが揃ってるんだな」
グレイファントムの第二格納庫でVF-1Dの戦闘データを調べてている時シフォンは思わず呟いた...
「?少佐それ、どういう意味ですか?」
そうか若はクワトロ中尉とクワトロ大尉の違いが分かっていないのか...
「さあてね。ま、エゥーゴにとっちゃ戦力が増強されて都合がいいってことさあまり気にするな...」

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