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ソロキャンとグルキャン。個人の価値観の尊重。ゆるキャン△について

 この前、ゆるキャン△を見ました。

 コミックFUZで連載中。女の子たちが、キャンプをしていく漫画。

 今度、映画化されるそうです。現在、ニコニコのdアニメチャンネルでは二期まで見ることができます。

 中学の時から、ソロでキャンプを楽しむリン。富士の見える湖畔で、ソロキャンプをしていると、家に帰れなくなったなでしこを助ける。なでしこは転校してきたばかりで、富士山を見に、自転車でやってきた。しかし、到着後、寝過ごしてしまい辺りが真っ暗になることに気づき、キャンプをしているリンに助けを求める。

 リンとなでしこは、そこでカップラーメンを食べ、キャンプをたのしむ。

 次の日、その夜のことが忘れられないなでしこは転校してすぐキャンプ同好会への入会を決意する。一方、リンも次のキャンプの計画を立てていた。

 ソロでキャンプするソロキャンを楽しむリン。グループでキャンプするグルキャンを楽しむなでしこ。

 2人の対比で物語が進む展開に意外性を感じました。女の子どうしの関係性を描いた百合だと聞いていたので、なでしことリンが2人でキャンプする話しだと思っていたんです。

 もちろん、2人でのキャンプやリンが同好会のメンバーとキャンプをする場面はあります。しかし、このアニメではソロでキャンプするリンちゃんを丁寧に描いています。

 1話のプロローグで、5人の女の子をうつさず、外でキャンプ飯を作ってるシーンが出ます。かなり美味しそうでさ。この子たちのキャンプをもっと見たいって思わせるんですよ。その後、軽快なOPの後、キャンプに慣れたリンちゃんがテントを手際よく設営して、焚き火をつけて、富士山の見える湖畔で読書をしているんです。

 キャンプシーンでは、ナレーションで大塚明夫(スネークの声優さん)がリンちゃんが何をしてくれるかを解説してくれます。

 綺麗な自然の中で、自分の時間をつくっている女の子。ここを見てると、すごい綺麗でさ。いいなあ、と思うんだよね。

 キャンプというとさ。バーベキューがあるから、みんなでワイワイするイメージがあるんだよね。プロローグの場面は、まさしくそんな僕のイメージどおりの画なんですよ。

 そこでフィクションを楽しむ心の準備をした上での丁寧な解説付きのソロキャン。見るだけのつもりだったのが、やりたいって気持ちにさせてくれるんですよね。

 そして、僕が次にビックリしたのが展開の意外性です。1話の前半はリンちゃんのソロキャンプ。陽が落ち、夜中になったリンちゃんの前に突然泣きながら現れる少女。その子が2人目の主人公となるなでしこちゃん。元気と好奇心が擬人化したような子で、表情がコロコロ変わって見ていて楽しい。

 ひょんなことから、リンちゃんのソロキャンが二人でのキャンプになる。もちろん、これもすごい楽しそうでいい。

 次の日に学校に登校したリンちゃんとなでしこ。2人は同じ学校に通っていて、お互い気づかずすれ違ってしまう、とこで1話が終わります。

 2話では、なでしこがキャンプ同好会に入会。愉快なメンバーとの交流、学校でやる同好会の活動。合間に昨日のことを回想し、友人とはなすリンちゃん。

 同好会では、これ見よがしに、3人となった我が同好会もあと1人で4人となり部活に昇格できるぞ、て言ってるんですよね。

 そして、2話でついにリンちゃんに気づいたなでしこが、彼女を同好会に誘うとこで終わる。

 ここまでお膳立てするとさ。たぶんリンちゃんも同好会に入るんじゃないかな〜と思うじゃないですか。

 じつは、ソロキャンがしたいリンちゃんはその誘いを断るんですよね。その上で3話でリンちゃんのソロキャンプ。

 1話で見たくなってたシーンが見れたいい話でした。ひょんなことから一食一飯の恩を返しにきたなでしこの料理シーンもよかったです。

 そこで、ソロキャンをしたいリンちゃんの気持ちに寄り添う会話があってさ。そこがいいんですよね。

 次に4話と5話。ついに念願のグルキャンを開始する同好会と、別の場所でソロキャンするリンちゃん。ここの対比が素晴らしい。対比といっても、どっちかの格を下げるみたいなのじゃなくてさ。どっちもいいじゃんって思わせるものになってるんです。

 リンちゃんとなでしこ。ふたりのキャンプを一つのストーリーに乗せるためのアイテムとして、本作ではスマホが活用されています。

 お互いがキャンプでの写真を送り合ってるんです。これがよくてさ。女の子たちの掛け合いが尊ぇ尊ぇ〜ってなるんです。

 5話のラストもいいんですよね。ぜひ、ここまでは見てほしい。

 最後まで見て思うことは、ゆるキャンにはすごい優しい空気感がある。その空気感を支えているのは「個人への尊重」なんだと思います。

 みんなで行動したい人も、ひとりで行動したい人も、それぞれ楽しめることがあるよね、てメッセージが言葉にせずとも伝わるんですよね。

 久々にいいアニメを見ました。

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